鷲尾飛鳥

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第29話『出た! エンジェルスの必殺技』

2013年 01月12日 22:53 (土)

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 ここは絵里香たちの住んでいる鷲尾平市の北西にある高峯町である。今、この高峯町で恐ろしい出来事が起きようとしていた。
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 高峯町上空に小型の飛行機が飛んできて、町の中心部に達すると、白銀色の霧を散布しながら飛び抜けた。霧は町に降り注ぎ、歩いていた人々が急に苦しみだして、数秒後には人々が全て草や木になってしまった。そして建物の中にいた人たちも次々に植物になってしまい、飛行機が飛び去ったあとには、町の中で動くものは何も無くなった。人だけでなく、動物たちも全て植物になってしまったのだ。飛び去った飛行機こそ、ネオ‐ブラックリリーの飛行機魔人であり、散布された霧は、ネオ‐ブラックリリーが開発した『プラントビールス』というバイオビールスで、浴びると全ての生き物が植物になってしまうという、恐ろしい化学兵器だったのだ。
 人通りが全く無くなった高峯町の市街地は、まるでゴーストタウンのように閑散とした状態になり、周辺の市町村に知れて大騒ぎになった。なにしろ人が一人もいなくなったのである。ネオ‐ブラックリリーは邪魔になる人間を全て植物にしてしまい、その隙に町を手っ取り早く占領するという作戦に出たのである。

      *      *      *      *

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「ブルルルルーッ。高峯町の人間植物化作戦は成功です」
「ご苦労だった。飛行機魔人。これで高峯町は我がネオ-ブラックリリーのものとなる。次は周辺の市町村へ進出し、全ての人間という人間を植物にしてしまうのだ」
「ブルルルーッ。すばらしい作戦です」
「ところで飛行機魔人。お前はこれから別任務があるようだが・・」
「ハハッ。大首領様の命令で、コバルト240の実験の立会いがあります。が、その前に、エンジェルスの小娘どもと一戦交えて、あの小娘どもがどれだけのものか確かめてから、任務に戻るつもりです」
「うむ・・ いいだろう・・ 」
 ゼネラルダイアは戦闘員の方を向いた。
「エンジェルスの小娘どもに対する警戒態勢はぬかりないか?」
「ははっ。警備体制は万全です。現在新たな魔人の改造も進んでいます」
「よし。直ちに高峯町を占領する。アジトを出て高峯町へ向かうぞ。当直員以外は全員出動!」
「イィーッ!」
 ゼネラルダイアはアジトの司令室から出て行き、数人の戦闘員達がその後に従っていった。そして飛行機魔人もアジトを出て、空に向かって飛んでいった。ネオ‐ブラックリリーのアジトでは新たな魔人、モウセンゴケ魔人が改造中だった。飛行機魔人は大首領直属の魔人であったため、多種多様な任務があった。それで作戦自体は一回目のビールス散布だけで、そのあとは別任務のため、任務をモウセンゴケ魔人に引き継ぎして、今回の作戦から外れることになっていた。ネオ‐ブラックリリーの作戦に於いて、最も警戒しなければならないのは、エンジェルスによる妨害であったので、作戦の引き継ぎまでの間だけ、ゼネラルダイアは飛行機魔人を一時的に使っていたのだった。
 高峯町の中心部に入ったゼネラルダイアは、市街地にあるオフィスビルの一つを前進基地に決め、そこに司令部を置いた。高峯町に通じる全ての道路は封鎖され、交通網が麻痺状態になって、周辺の市町村にまで影響が出始めていた。事件を知っている人達は、気味悪がって誰も高峯町に近付こうとせず、高峯町は完全に孤立状態になっていた。ゼネラルダイアは、占領したビルの窓から市街地を見下ろしながら呟いていた。
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「エンジェルスの小娘どもは必ずここへ来る。ふふふ… その時こそエンジェルスの小娘どもの命日となるのだ。いまに見ていろ」

      *      *      *      *

「聖奈子、美由紀、美紀子さんから緊急招集よ」
「もしかして、今朝の新聞にあったニュース!?」
「多分そうだと思う。だって、町の人間が全ていなくなるなんて・・・ きっと奴等の仕業だよ」
 絵里香たちは学校が終わると同時にANGELへと急いで向かった。携帯に『至急』という着信があったからだ。ANGELの扉を開けた絵里香たちは、慌しく店内に入った。ANGELに入ってきた絵里香たちに、美紀子は新聞を見せた。

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「みんな、この事件は知ってるわね」
 事件とは、高峯町の町民失踪事件のことである。なにしろ中心市街の人々が全ていなくなったのだから、この騒ぎは当然絵里香たちの耳にも入っていた。
「はい。きっと奴等の仕業だと思います」
「私も同感よ。街から人間が一人もいなくなるなんて、どう考えたって一般の常識では有り得ない事よ。奴等が何か大きな作戦を始めようとしていて、そのために何らかの方法で神隠しのような現象を作り出したとしか思えないのよ。それであなたたちに早速高峯町へ行って調べて来てほしいの」
「わかりました」
「みんな気をつけて」
 せっぱ詰まった雰囲気に、絵里香たちは制服姿のまま、美紀子のテレポートで高峯町へ向かった。美紀子も店を閉めると、絵里香たちを追うように、車を出して高峯町へ向かった。

      *      *      *      *

 高峰町の中心市街に着いた絵里香たちは、自分たちの目を疑った。街中何処を捜しても人通りが無いのだ。町の中はまるでゴーストタウンのようで、冷たい風が吹き抜けている。いないのは人ばかりではなかった。犬や猫も一匹もいない。あまりに閑散とした静けさに、絵里香たちは次第に気味悪さを感じてきた。
「絵里香、本当に誰もいないよ!」
「何だか気味が悪いわ」
「… 本当に、みんなどこへ行ったんだろう」
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 絵里香たちの様子をビルの屋上から双眼鏡で見ている、ゼネラルダイアの姿があった。
「ふふふ… 小娘どもめ、やはり嗅ぎつけてきたな」
「ゼネラルダイア様、どうしますか?」
「もうしばらく様子を見るのだ。ところで飛行機魔人はどうしてる?」
「既に連絡がついています。小娘どもを発見して、攻撃態勢に入っているそうです」
「そうか・・」

「絵里香、美由紀、ちょっとこっちへ来て! 早く!」
 聖奈子が何かを見つけたらしく、絵里香と美由紀を呼びつけた。
「どうしたのよ。そんなに真っ青な顔をして」
 美由紀は聖奈子の顔色を見て、聖奈子に聞いた。聖奈子は目の前で停車しているタクシーを指差している。
「一体何なのよ・・」
 美由紀は聖奈子が指差しているタクシーを見て・・
「ワッ!!」
 美由紀は素っ頓狂な声と共に飛び上がって、後ろにいた絵里香にぶつかった。
「二人ともどうしたのよ・・ ああ・・」
 タクシーの中に植物が生えていたのだ。
「何これ・・」
「タクシーの中に植物が生えているなんて・・ 」
 三人ともあまりの気味悪さに腰を抜かしそうになったが、落ち着きを取り戻して周囲を見回した。
「やっぱり気味が悪い… 」
「落ち着いて周りを良く見回して」
 聖奈子も美由紀も周囲を見回した。すると、なにやらと不自然な現象に気付いた。
「なんか変だよ。変なところに草や木が生えてる」
 よく見ると、道路上に草や木が生えていて、スーパーの駐車場のど真ん中にも木が生えている。しかも舗装の上にである。
「どういうこと? これ…」
「分からない… とにかく全部調べてみよう」
 絵里香たちは市街地の中を小走りに駆け回った。何処へ行っても人の気配が無く、閑散としている。おかしな所といえば、普通ならばありえない場所に草や木が生えている事だった。
「誰もいない・・ あるのは木や植物ばかりだわ。それも変なところに生えてる・・」
「間違いなくネオ-ブラックリリーの仕業だわ。きっとこの町の人達は、何らかの方法で植物にされたのよ」
「でも、何だってこんなこと… 」
「やつらが何かを企んでいるのは確かだわ… ちょっと待って!」
 絵里香の口調が急に変わったので、聖奈子と美由紀は何事かと思ったが、絵里香は二人の手をつかむと、近くにあった建物まで小走りに駆け、建物の壁に張り付いて辺りを窺った。
「聖奈子、美由紀、声を立てないで。何かの気配を感じる・・」
「え?」
 その瞬間、突然近くで爆音が響いて、絵里香たちは両手で耳を覆った。さらに絵里香たちの周辺で急に風が吹き荒れた。
「キャーッ!!」
 風で絵里香たちのスカートがめくれ、三人とも慌ててスカートを押さえた。
「一体何なのよおーっ!」
「聖奈子、美由紀!」
 絵里香が叫んで指差すと同時に、聖奈子と美由紀は絵里香が指差した方向を見た。そこにはネオ‐ブラックリリーの飛行機魔人が立っていた。
「ネオ‐ブラックリリーの魔人!」
「ブルルルーッ! 待っていたぞ小娘ども」
「町の人たちを植物にして、一体何を企んでるの!?」
「知れたことよ。邪魔な人間どもを全て植物にして、この町を占領するためだ」

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 飛行機魔人は絵里香たちに向かって威嚇してきた。絵里香たちはポーズをとると、それぞれ変身して身構えた。
「ネオ‐ブラックリリーの魔人! これ以上お前達の勝手にはさせないわ!」
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「何を小癪な! お前らは俺には勝てぬわ。それっ」
 飛行機魔人は両目からレーザーを放った。
「危ない!」
 同時に絵里香たちはそれぞれ散った。今まで絵里香たちがいた場所でレーザーが炸裂した。
「ファイヤースマッシュ!」
 絵里香がエネルギー波を放った。飛行機魔人は周囲にシールドを張り、エネルギー波を跳ね返した。
「アクアスマッシュ!」
 聖奈子もエネルギー波を放ったが、同じようにシールドで跳ね返された。
「私たちの攻撃が跳ね返される・・」
「ブルルルーッ! 今度は俺様の番だ!」
 飛行機魔人は飛行機魔人は背中から翼を出すと、さらにプロペラを出した。

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「ブルルルーッ!」
 飛行機魔人は奇声と共にプロペラを勢いよく回した。プロペラから発生した強風で、絵里香たちの身体が飛ばされた。
「キャーッ!」
 飛ばされた絵里香たちは、次々と建物の壁に激突した。
「く・・」
「思い知ったか小娘ども。次はプロペラブーメランを食らえ!」
 飛行機魔人のプロペラが回転しながら絵里香たちに向かっていった。
「危ない! みんな伏せて!」
 絵里香たちはその場に伏せた。その上をプロペラが飛び抜けて建物の壁に突き刺さり、壁を引き裂いてから飛行機魔人の元に戻った。今度は絵里香たちがピンチだった。引き裂かれた建物の破片が絵里香たちに向かってバラバラと落下してきた。
「キャーッ! 建物が崩れて落ちてくるーッ!」
 絵里香たちは逃げる事が出来ず、落下してきた建物の破片の下敷きになった。
「ブルルルーッ! ザマァミロ。あっさりくたばりおったわい。エンジェルスの小娘どもの力など知れたものだ」
 飛行機魔人は勝ち誇ったように捲くし立てると、手足を引っ込めて離陸した。
「まだまだ暴れたいところだが、俺様には別の任務がある。これ以上小娘などにかまっている暇はないのだ。ブルルルーッ!」
 飛行機魔人は捲くし立てながら空へ舞い上がり、そのまま空の彼方へと消えた。

「何だと? 飛行機魔人が小娘どもを片付けた?」
「イーッ! たった今、飛行機魔人様から報告がありました」
 ゼネラルダイアは戦闘員の報告を聞いて、首をかしげた。
「そんなにあっさりと、やられるとは思えないが・・」
「確かに建物の下敷きにしたと言っていました」
「よし! 確かめに行け」
「イーッ! かしこまりました」
 数人の戦闘員たちが司令室のあるオフィスから出ていった。ゼネラルダイアは携帯を取り出すと、アジトに電話をかけた。
「私はゼネラルダイアだ。モウセンゴケ魔人の改造手術はどうなっている?」
「・・・ ・・・ 」
「ヨシ! すぐにこちらへ回せ」

 絵里香たちは本当に建物の下敷きになってしまったのか・・
戦いが終わって飛行機魔人が引き揚げてから数十分後。崩れた建物の一部が盛り上がり、まぶしい光がそこから漏れてきた。その中では・・
「危機一髪だったわね」
「うん。美由紀があと少しシールドを張るのが遅かったら、私たちみんな生き埋めになってペッシャンコだったわ」
 建物が崩れて絵里香たちの上から落下してきたとき、美由紀がシールドを張って、崩れた建物の破片を全て跳ね返していたのだ。外からは建物が崩れて絵里香たちが下敷きになったように見えたのである。
絵里香たちは崩れた破片を避けながら外へ出た。相変わらず市街地は閑散としている。そこへ一台の車が走ってきて近付いてきた。
「美紀子さんの車だわ」
 絵里香たちは道路へ出て手を振り、車は絵里香たちの傍に停車した。
「早く乗って」
 絵里香たちは変身を解きながら、美紀子の車に飛び乗り、美紀子はみんなが乗ったのを確認すると、その場から発進させた。

 入れ違いに戦闘員たちがやってきた。
「ここだ。調べろ」
「イーッ」
 戦闘員たちは瓦礫の山と化した建物を調べ始めた。しばらくして戦闘員の一人が報告に来た。
「イーッ! 何も見当たりません」
「何? もっと念入りに調べるのだ」
 しかしいくら捜しても、何も見つからず、戦闘員たちはその場から引き揚げた。

「何・・ 見つからなかった?」
「イーッ。瓦礫の周辺も捜しましたが、見当たりませんでした」
「ん・・ スカーレットエンジェルがやってきたな・・ 小ざかしい真似を・・」
 そこへ別の戦闘員がやってきた。
「報告します。ゼネラルダイア様。モウセンゴケ魔人様が到着いたしました」
 報告と同時に、戦闘員を伴ってモウセンゴケ魔人が入ってきた。

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「ビビビーッ。モウセンゴケ魔人只今出頭いたしました」
「うむ。早速お前を人類植物化作戦の責任者に任命する」
 ゼネラルダイアはテーブルの上に地図を広げた。
「ここが現在地。お前はこれから神代市へ行って、人間どもを全て植物にするのだ。手段は選ばなくてもいい」
「ビビビーッ! かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 モウセンゴケ魔人は戦闘員を引き連れ、司令室から出て行った。

      *      *      *      *

「え? 攻撃を跳ね返して受け付けない?」
「はい。あの飛行機みたいな化け物は、今まで戦ってきたやつより遥かに強いです。私たち三人が束になってかかっても・・」
「美由紀、弱音を吐いちゃダメよ」
「聖奈子・・ そんな事言ったって」
「空から攻撃してくる以上、今のままではどうにもならないわ。美紀子さん、どうしよう・・」
 美紀子は考え込んでいた。確かに今のままではネオ‐ブラックリリーには太刀打ち出来ない。絵里香たち自身も、飛行機魔人の攻撃に、防御するだけで精一杯だったのだ。絵里香たちが帰ったあと、美紀子は自室でさらに考え込んでいた。
「もう・・ あの技をあの子達に開放するしかないのか・・ でもあの技は・・」

 その日の真夜中・・
 神代市の貯水池に怪しい人影がたむろしていた。モウセンゴケ魔人と戦闘員たちだった。その傍らには散水車が停まっていて、ホースが貯水池まで延びていた。
「準備はいいか!?」
「イーッ」
「よし! やれ」
「イーッ」
 戦闘員たちが散水車のバルブを開け、液体が貯水池の中に放水された。この液体こそ、プラントビールスが混入されたものだったのだ。
「よおーし。これでこの貯水池の水道を利用している者は、全て植物になってしまうのだ。ビビビーッ。よーし、引き揚げだ」
「イーッ」
 モウセンゴケ魔人と戦闘員たちは、乗ってきた車に分乗し、その場から引き揚げていった。
 そして翌朝・・ 神代市の市内で動いている者は一人もいなかった。水を利用した人たちがみな植物になってしまったのだ。ゼネラルダイアは高峯町のビルの司令部で満足げに報告を聞いていた。
「ふふふ・・ 小娘ども。植物だらけの中では戦うことは出来まい。どの草木が人間だったのか分からぬのだからな。ハーッハッハッハ」
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 ゼネラルダイアは机の上に地図を広げ、次の作戦を検討していた。神代市は既にネオ‐ブラックリリーの占領下になり、モウセンゴケ魔人は次の作戦区域の指示を待つため、待機中だった。ゼネラルダイアは組織の科学者たちに命じて、最初に高峯町で使用した薬物をさらに強力化したものを作らせていた。それには伝染力があり、植物にされた者に触った者も植物になってしまうという、恐ろしい物であった。その強化されたビールスが神代市で使われたのだ。ゼネラルダイアは部屋の外にいる戦闘員を部屋に呼び、指示を出した。
「モウセンゴケ魔人に連絡! いよいよ近隣地区への侵略を開始する。現在科学者どもに作らせている薬物を量産したものがもうすぐ完成し、運ばれてくる。その薬物が届き次第、行動に移るように伝えるのだ」
「イーッ! かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 戦闘員は敬礼すると、部屋を出ていった。
「ふふふ… 見ていろ。愚かな人間ども… 日本中の全ての人間を植物に変え、ネオ‐ブラックリリーの大自然公園にしてやる。そして、全世界の人類もいずれは植物に変えてやる。もはやエンジェルスの小娘など恐るるに足らん。我がネオ‐ブラックリリーの勝利は間違い無いのだ。はっはっはっはっは!」

「ええっ!? 今度は神代市が??」
「そう・・ 全滅よ。何処もかしこも人影が無いそうよ。あるのはあちこちに茂った植物や木ばかりだって、ニュースで言ってたわ。どうやら奴等は薬品か、細菌。もしくはビールスを使っているようね。まだそれが何なのかははっきりしないけど、おそらくその物質は人間・・ いや全ての動物を植物に変えてしまう威力があるのよ。今私が調べているけれど、解明するにはあと少し時間がかかるわ」
「許せない・・ 絶対に許さない」
 聖奈子は拳を握りしめた。もう今にも飛び出して行きそうな勢いだった。絵里香と美由紀も同じだった。
「みんな待って」
「でも美紀子さん」
「慌てないで。私に考えがあるの」
「考え?」
「そう。いままであなたたちの事を考えて、封印していた特殊能力の必殺技があるのよ」
「何ですかそれは・・」
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「その必殺技は・・ エンジェルの全てのエネルギーを使うものよ。しかしそれは、私自身の変身能力を奪った諸刃の剣。宇宙人だった私はともかく、あなたたち生身の人間が使えば、命の危険がある。だから今まであなた達には言わなかったの」
 エンジェルスには、一人一人に『最後の武器』という、必殺の秘密兵器がブローチの奥底に隠されていたのだが、この武器はいわゆる両刃の剣で、これを使えば使った本人の生命にかかわるという危険性があった。かつて美紀子はこの武器でブラックリリーの大首領に挑み、相打ちとなって変身能力を失っていたので、美紀子はこの武器のことを絵里香達に話していなかった。いや、言えなかったのだ。
「美紀子さん… 」
 絵里香たちの悲観的な表情を見て、美紀子は重い口を開いた。
「あなた達が変身して戦士の姿になったとき、胸のブローチの中にあなた達の武器が粒子の形で内蔵されていることは前に話したわね。特殊能力とは、あなたたち一人一人が持つ最終兵器なの。この力はキーワードで覚醒させてあなた達の身体そのものを変化させるの。絵里香は炎、聖奈子は水、そして美由紀は稲妻と電光。でも、もしもの事を考えて私がそれを封印したのよ。この力を使えばあなた達は無敵の力を得ることが出来、すべての物質を破壊して消滅させることが出来る。でも、力を使うことによって、あなた達の持つ全エネルギーが使われるため、最悪の場合、あなた達の命にかかわる、つまりあなたたち自身の体そのものまで破壊してしまう、いわゆる両刃の剣なのよ。私は以前、ブラックリリーの大首領、つまりクイーンリリーと戦ったときにこの力を使ったの。でもその時変身能力を失ってしまった。だからあなた達を私と同じ目に合わせたくなかったのよ」
 美紀子の話に、絵里香は少し考えてから美紀子に言った。
「美紀子さん、それじゃ封印を解いて私たちに特殊能力を解放して下さい。お願いです」
 美紀子は首を横に振ってから、絵里香に言った。
「ダメよ。いくら平和を守ることが使命だといっても、命に関わるような武器を使わせるわけにはいかない。あなたたちの代わりはこの世にはいないのよ。そして、エンジェルスの代わりも…」
 絵里香だけでなく、聖奈子と美由紀も言った。
「私たちにその能力を解放してください。お願いです。お願い!」
 絵里香たちは泣き顔で美紀子に迫った。美紀子は一瞬考え込んだが、絵里香たちの思い詰めたような表情を見て、絵里香たちの願いを断ることが出来ず、ため息混じりに言った。
「分かったわ。それじゃみんな変身して」
「はい。エンジェルチャージ!」
 絵里香たちはエンジェル戦士の姿に変身した。美紀子はスティックを出し、絵里香たちに向けてキーワードを唱えた。
「エンジェルミラクルチャージアップ!」
 すると、スティックが眩しく輝いて光の粒子が絵里香たちの身体に取り付き、絵里香たちは光に包まれた。そして光が消えたとき、絵里香たちは戦士の姿から元の絵里香の姿に戻っていた。
「これであなたたちは特殊能力を使うことが出来る。でも、あなた達の体のことを考えて、あなた達がこの力を使ったとき、エネルギーがすべて体外へ放出されるようにしたわ。これならば力を使っても、あなた達の身体には負担がかからないから、命に関わることはない。でも、無敵のパワーを持てても、その力の持続時間は5分だけよ。そして力を一度使えば全エネルギーが放出されてしまうから、6時間変身能力を失なうことになるの。この点だけは気をつけてね」
「はい! 美紀子さん、ありがとうございます」
 こうして絵里香はエンジェルスの特殊能力を身につけることとなったのである。

 その頃、ネオ‐ブラックリリーの司令室では、ゼネラルダイアがモウセンゴケ魔人を呼び出し、次の作戦の打ち合わせをしていた。
「神代市の人間植物化作戦も成功し、完全に我がネオ‐ブラックリリーのものとなった。そこで、いよいよ近隣地区への作戦を開始する。まず、鷲尾平の北隣にある新間町を次の作戦地域とする。それから鷲尾平東隣の小山田町、南にある城間市の順で侵略していく。こうして鷲尾平を囲むように周辺地域の人間共を植物に変え、鷲尾平を包囲し、最後に鷲尾平を我が手中に収めてしまえば、作戦の第1段階は終了する。そして、これらの市や町を橋頭堡とし、さらに周辺へと侵略を開始し、やがてはこの国の全ての人間どもを植物に変え、ネオ‐ブラックリリーのための自然公園にしてしまうのだ。もはやエンジェルスなど恐るるに足りぬ。モウセンゴケ魔人よ、思う存分に暴れまくるがいい」
「かしこまりました。ゼネラルダイア様。ビビビーッ」
 そのとき、司令室に置かれたスピーカーから大首領の声が響いてきた。
「ゼネラルダイア、今度の作戦は大いに期待しているぞ」
「ははっ! 大首領様、エンジェルスの小娘どもをプラントビールスで植物にし、大首領様に献上してみせましょう」
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「よろしい。ゼネラルダイア、必ず作戦を成功させるのだ」
「ははーっ! 」
 大首領との会話を終えたゼネラルダイアは、モウセンゴケ魔人の方に向き直った。
「すぐに作戦の実行に移れ! 工作員を編成し、新間町へ行くのだ! どんな手段を使っても良い。エンジェルスの小娘どもを誘き出して抹殺しろ」
「ははーっ! かしこまりました。ビビビビーッ」
 モウセンゴケ魔人は敬礼すると、司令室から出て行き、作戦区域である新間町へと向かっていった。ちなみに事件は連日のように新聞を賑わせていたが、誰もネオ‐ブラックリリーの仕業だと気付く者は無く、またネオ‐ブラックリリーの存在自体を信じる者もいなかった。

 しかし、信じる者もいた。ここはANGEL・・・
「叔母様。やつら今度は新間町を狙ってます」
「佐緒里、本当なの?」
 佐緒里は地図を持ってきて、テーブルの上に置き、ある場所を指差した。そこには新間町の浄水場と新間川があった。佐緒里はスカーレットエンジェルであり、美紀子には無い鋭い直観力と霊能力のようなものを持っていた。以前も何度かその力でネオ‐ブラックリリーの作戦を見抜き(19話・20話・26話を参照)、ネオ‐ブラックリリーの作戦行動を阻止する手伝いをしていたのだ。地図を眺めていた聖奈子は大きな声で言った。
「美紀子さんヤバイよ! この浄水場に薬を流されたら、新間町だけじゃなくて、この鷲尾平や隣の城間市だって・・ それに、もしも、川に流されたら下流の地域は全滅するわ」
「大変だ! すぐに行かなきゃ」
 聖奈子と美由紀が立ち上がったのを、美紀子が制した。
「待って。そのまま行ったら危ないわ。みんな慌てちゃダメよ」
 美紀子はそう言って立ち上がると、自分の部屋へ行って小型のケースを持ってきて、絵里香たちの前に置き、ケースを開けた。
「これは?」
「ワクチンよ。例の物質がビールスだと分かって、私が解毒用のワクチンを作ったのよ。これを飲めばあなたたちは植物にされないわ。みんなこれを飲んで」
 絵里香たちはそれぞれワクチンのカプセルを取ると、それを飲んだ。
「行きましょう。これ以上奴等の思い通りにさせるわけにはいかない」
 美紀子が立ち上がり、絵里香たちも立ち上がった。
「佐緒里は留守番をお願い」
「はい。叔母様。みんな気をつけて」
 
      *      *      *      *

 その頃モウセンゴケ魔人は、戦闘員を引き連れて新間町の浄水場に来ていた。浄水場の周辺は公園になっていて、さらにその周りには住宅地があった。モウセンゴケ魔人はまず周辺の住宅地を襲って人々や動物を全て植物に変え、さらに公園にいた人たちを襲って全て植物にしてしまった。公園内はどれが本物の植物で、どれが人間から変えられた植物なのか分からなくなった。それがネオ‐ブラックリリーの狙いだった。エンジェルスが来たとき、攻撃しにくい状況を作ったのだ。さらに浄水場の周りには、いたる所に罠を仕掛けているという周到さだった。

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 美紀子の車は新間町へと向かって走っていた。新間町に入っても沿道の様子はこれといって変わった所は無く、人も歩いているし、車も普通に走っている。
「まだ作戦行動に出ていないようだわ・・」
「美紀子さん急ごう!」
 浄水場まであと1kmの場所まで来たところで、見張りの戦闘員に発見された。
「こちらA地点。ただいまやつらが通過しました」
 浄水場に陣取っていたモウセンゴケ魔人は、周りにいた戦闘員に向かって命令した。
「小娘どもがやってくるぞ。戦闘準備」
「イーッ」
 戦闘員たちはそれぞれ持ち場に散っていった。
 美紀子の車は浄水場から200mほど離れた場所に停まった。ちょうど罠が仕掛けられている場所から100mくらいの所だった。
「目標はB地点の手前で停止しました」
「クソッ。感付かれたか・・」
 さらに・・
「目標が移動します」
 美紀子は車を浄水場から見えない場所に移動して隠した。見張っていた戦闘員は地団太踏んだ。
「クソッ。これでは何処にいるのか分からないぞ」
 戦闘員の報告を聞いたモウセンゴケ魔人は、美紀子たちの行動に特に意識した様子は無く、陣取っている浄水場の真ん中で平然としていた。

「みんな降りて。いよいよ阻止作戦開始よ」
「はい!」
 絵里香たちは車から降りると、すぐに変身した。
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「奴等のことだから、きっと周囲に罠を仕掛けているわ。だから、テレポートで一気に浄水場の敷地内に突入するわよ」
「わかりました」
 美紀子はスティックを出すと、絵里香たちに向けて一振りした。美紀子を含め、絵里香たち3人の姿がその場から消え、同時に浄水場の建物の屋根の上に現れた。絵里香たちはすぐに全員その場に伏せて、上から下の様子を窺った。
「案の定・・ 周囲に散って待ち伏せしていたわね」
「化け物は、この前見たのとは違うやつよ」
「みんな気をつけて。あの魔人がどんな能力を持っているのか、まだ分からないんだから」

 浄水場の中央にある広場では、モウセンゴケ魔人が戦闘員に指示を与え、浄水施設に薬を流す準備を始めていた。
「ものども用意はいいか?」
「イーッ! 準備オーケーです。モウセンゴケ魔人様。いつでも薬を流すことが出来ます」
「よし! エンジェルスの小娘が来るまで待つのだ」
「その必要はないわ! ネオ‐ブラックリリー! これ以上お前達の勝手にはさせない!」
 モウセンゴケ魔人と戦闘員たちは慌てて辺りを見回した。
「何処だ!? 小娘ども、出て来い」
「どこ見てんのよ。私たちはここよ! ネオ‐ブラックリリーの化け物!」
「あっ! モウセンゴケ魔人様、あそこに!」
 戦闘員の一人が、建物の屋根を指さした。そこにはエンジェルに変身した絵里香たちの姿があった。
「みんな行くよ!」
 絵里香たちは屋根の上から一斉にジャンプし、空中で一回転して着地すると、ポーズを取って身構えた。
「来い! ネオ‐ブラックリリー」
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「ものどもかかれっ!」
 戦闘員が一斉に襲いかかり、絵里香たちは武器を出して身構えた。
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「皆殺しにしろ!」
「イーッ」
 戦闘員が武器を手に襲いかかってきて、絵里香たちと戦闘員とで格闘戦になった。戦闘員の間からモウセンゴケ魔人が出てきて、一番近くにいた聖奈子に向かって口からビールスを吐いた。それに気付いた聖奈子は、自分に斬りかかってきた戦闘員を突き飛ばした。
「イ゛―ッ」
 戦闘員は絶叫と共に、煙を吐きながら一本の木になった。モウセンゴケ魔人は戦っている絵里香たちに向かって捲くし立てた。
「小娘ども。周りを見ろ!」
 絵里香たちがモウセンゴケ魔人の声に反応して、周りを見渡すと、あたり一面所々に草が茂り、木が立っている。
「お前達の周りにある草や木は、人間どもが植物になった姿かもしれんのだ。もしそれらに傷をつければ、人間だったものはみな死ぬのだ。ビビビーッ」
「何ですって!?」
「絵里香・・ ヤバイよ。あたしたち、植物になった人たちのど真ん中にいるみたいだよ」
「畜生・・ 奴等・・ これが狙いだったのか。これじゃ戦えない」
「卑怯だぞ。ネオ‐ブラックリリー」
「何とでも言いやがれ。ビビビーッ」
 モウセンゴケ魔人はジャンプして空中で一回転し、絵里香たちの正面に着地した。周りの草木が、どれが本物で、どれが人間だったものなのか分からない以上、絵里香たちが劣性の状態にいることは否めなかった。戦闘員達は絵里香たちの周囲に群がり、絵里香たちを包囲する形で徐々にその輪を縮めながら、次々と絵里香たちに襲いかかってきた。
 絵里香たちは襲ってくる戦闘員と格闘して倒していったが、自分たちの周りにある草木に気を使いながらの戦いは不利だった。次から次へと襲ってくる戦闘員の攻撃に、ついに絵里香たちは体勢を崩した。そこへモウセンゴケ魔人の粘着弾が飛んできた。
 ドバッ・・ ドピュッ・・ドピュッ
「キャッ!」
 美由紀と聖奈子の体に次々と粘着弾が命中し、二人ともその反動で後にあった木にぶつかり、ビッタリと張り付いてしまった。
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「うっ・・ と・ 取れない・・」
 聖奈子と美由紀は何とか逃れようとしてもがいたが、モウセンゴケ魔人はさらに粘着弾を発射し、二人とも完全に木に貼り付けられてしまった。
「ざまぁみろ小娘ども。いくらもがいても無駄だ。ビビビーッ。それはただ粘着するだけではないのだ」
「何!? え・・ あ・ 熱い・・」
 粘着弾で貼り付けられた聖奈子と美由紀の体から、ジューっと白い水蒸気のようなものが立ち込めた。
「熱い・・ 熱い・・ このままじゃ、か、体が溶ける・・」
「その粘着弾には、溶解液も入っているのだ。小娘ども、溶けてしまえ! ビビビーッ」
「聖奈子! 美由紀! 頑張って! 今助けるから」
 しかしモウセンゴケ魔人が絵里香に向かって、ジリジリと迫ってきた。
「今度はお前だ。地獄へ送ってやる」」
 モウセンゴケ魔人は左手を鞭に変えると、絵里香めがけて飛ばしてきた。鞭は絵里香の体に巻きつき、締め付けてきた。絵里香は逃れようとしてもがいたが、鞭から出てくる粘液のため、体が動かせない。さらに粘液がスライムのように絵里香に絡みついてきた。
「き、気持ち悪い・・ 嫌アーッ」
「何? 気持ち悪いだと? 今楽にしてやるぜ。ビビビーッ」
 モウセンゴケ魔人は鞭から溶解液を分泌した。ジューッと、水蒸気が立ち込め、絵里香の身体に降りかかる。
「ぐ・・ 熱い・・ か、体が・・」
「溶けろ溶けろ。お前がドロドロに溶けるところをしっかりと見届けてやる」
 そう言いながらモウセンゴケ魔人が絵里香に近付いてきた。
「(今だ!) ファイヤースマッシュ!」
 絵里香は自由になっていた右手からファイヤースマッシュを放った。至近距離からまともにエネルギー波を喰ったモウセンゴケ魔人は、反動で吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。絵里香を締め付けていた鞭も吹っ飛んだ。起き上がったモウセンゴケ魔人は、激しい形相で絵里香を睨み付けた。
「おのれ、くたばり損ないめ! 殺してやる!」
 絵里香は身構えたが、ダメージが大きく、体がよろけた。成り行きを見ていた美紀子は、絵里香に向かって叫んだ。
「絵里香! 私が開放した技を使うのよ!」
「(このままでやられる・・ よし、一か八か・・ 美紀子さんが開放してくれた技を使おう)」
 モウセンゴケ魔人は近くにいた戦闘員から剣を奪うと、絵里香めがけて突進してきた。絵里香は右手をブローチにあてて叫んだ。
「エンジェルミラクルチャージアップ!」

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 その瞬間、絵里香の胸のブローチが強い光を放ち、モウセンゴケ魔人は眩しさに目が眩んで後ずさりした。その光は透明からやがて真っ赤になり、光はやがて炎へと変わって絵里香の身体を包み込んだかと思うと、絵里香の身体そのものが真っ赤な炎の塊になった。モウセンゴケ魔人はあまりの熱さにその場から逃れようとしたが、炎の塊になった絵里香はモウセンゴケ魔人めがけて突進し、そのまま炎の塊の中にモウセンゴケ魔人ごとすっぽりと包み込んだ。
「ギャアーッ! ビビビーッ!」
 モウセンゴケ魔人は鋭い絶叫を上げながら、紅蓮の炎の中で真っ黒い炭のようになって、そのまま消滅した。その衝撃で、周囲にいた戦闘員たちも吹き飛び、さらにビールスの液体を満載した散水車も全て爆発した。そして爆発が止むと辺りには静寂だけが残された。
 モウセンゴケ魔人が倒れて、聖奈子と美由紀を縛り付けていた粘着液が消え、二人とも自由になった。一方、高峯町のビルに司令部を置いていたゼネラルダイアは、作戦の失敗を知ると早々に撤収した。
「くそっ! 今に見ていろ小娘どもめ… このお返しは必ずしてやる」

 自由の身になってホッとした聖奈子と美由紀だったが、絵里香の姿が見えないので、絵里香を捜した。
「絵里香、絵里香あーっ! どこにいるの?」
 絵里香を捜していた聖奈子と美由紀は、倒れている絵里香を見つけた。絵里香は特殊能力を使ったために、変身が解けて生身の姿に戻っていた。
「絵里香、絵里香!」
 聖奈子は倒れている絵里香のそばに来て、絵里香の身体を揺すりながら大きな声で叫んだ。
「絵里香! 絵里香、しっかりして!」
「う… ん」
 絵里香は聖奈子に抱きかかえられ、身体を揺すられてゆっくりと目を覚まし、聖奈子と視線を合わせた。
「聖奈子… それに美由紀」
「よかったぁ… 絵里香… 」
 絵里香が気がついてホッとしたのか、聖奈子と美由紀は目に大粒の涙を溜め、そのまま絵里香に抱きついて泣き崩れた。成り行きを見ていた美紀子も傍にやってきた。
「ご苦労様。みんなよくやったわ。あとは私が作ったワクチンでみんなを元に戻せば全て解決よ」
 そう言って美紀子はスティックを出し、空に向けて掲げた。するとスティックから大きな光の塊が空高く舞い上がり、やがて光のシャワーが降り注いできて、施設内や公園内にあった植物を包み込み、植物にされた人々が全て元の人間に戻った。それから2時間ほど経過した頃には、植物にされた全ての人々が元に戻り、町には再び平和が訪れた。
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      *      *      *      *

 動物を植物にしてしまうプラントビールスを使ったネオ‐ブラックリリーの作戦は失敗した。しかし、ネオ‐ブラックリリーはまた新たな作戦で挑戦してくるのだ。負けるなエンジェルス!


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 次回予告
 第30話『キャプテン‐プランドラーの財宝?』

 読者の諸君。私はネオ‐ブラックリリー大幹部ゼネラルダイアだ。実は我がネオ‐ブラックリリーに耳寄りな情報が入った。海賊キャプテン‐プランドラーの財宝が、日本に隠されていることが分かったのだ。しかも、その財宝の在り処を示す地図と古文書を、あの憎っくきスカーレットエンジェルJrのガキが解読できることも分かった。財宝は絶対に我々が頂く。誰にも邪魔はさせん。行け! ヤシガニ魔人。小娘をさらって協力させるのだ。決して手段を選ぶな。

 次回 美少女戦隊エンジェルス第30話『キャプテン‐プランドラーの財宝?』に是非とも期待してもらおう。ワーッハッハッハッハ!!!

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