鷲尾飛鳥

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第30話『キャプテン-プランドラーの財宝』

2013年 03月04日 19:53 (月)

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 某日・・ 日曜日午後8時・・ ANGELのリビングでは、美紀子と佐緒里が、日〇テレビで日曜日の午後8時から始まる、世界の果てまでGO! GO! GO!という番組を見ていた。
「さあ、今週も始まりました。世界の果てまでGO! GO! GO! 本日のワールドミステリーは、何と・・ 何と日本であります。ここにある資料を見ますと、18世紀に七つの海を航海し、世界中を荒らしまわった海賊、キャプテン‐プランドラーの財宝の一部が、日本国内に隠されているということであります。そしてこれが財宝の位置を示す地図と、財宝に関係した古文書であります。それではワールドハンター、エモトアヤカの登場です」
「どーも。どーも。エモトでございます」

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 セーラー服のコスプレと、独特の眉毛でメークしたエモトの登場で、拍手と共に歓声が上がり、番組が盛り上がる・・ 
「今週は『エモトの財宝探索60分一本立て』でお送りいたします。それでは・・ 世界の果てまでGO! GO! GO!」
 番組では財宝の場所を示した地図と古文書を元に、ワールドハンターのエモトが、財宝の場所を探し当てるという内容だった。テレビの画面では、財宝の位置を示す地図と、古文書のコピーが公開され、デカデカと表されていた。そしてそれらの資料をエモトが持ち、エモトを先頭に数人のスタッフがつき従い、地図の場所へと向かっていく様子が映し出されている。

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「ねえ叔母様、昔の海賊の財宝なんて、本当に日本にあるのかしら。キャプテン‐プランドラーっていったら、イギリスの海賊でしょう? いくら世界中の海を駆け巡ったっていっても、日本まで来たのかなぁ・・ それに、18世紀の日本ってことは、江戸時代じゃない。確か・・ 鎖国の時代だから、外国人は日本に来れなかったんじゃないの」
「うーん・・ 何とも言えないわね。確かにロマンあふれる話だけど、佐緒里はどう思うの?」
「私は、本当でも嘘でも、想像するだけで楽しいわ」
「私も同感よ。こういう番組・・・ 私好きよ」

      *      *      *      *

 結局番組内において、エモトは財宝までたどり着く事が出来ず、次の特番の時に改めて財宝探索隊を編成して再度チャレンジすることが決まった。目的を達成できなかったのは、古文書を読める専門家がいなかったことと、その古文書には暗号のような要素があって、解読しなければ文書にならないということが分かったからである。そして地図にも印が一箇所あるだけで、その場所が何処なのかを絞りきれなかったのだ。つまり、古文書を解読しなければ、地図の場所も特定出来ないという事なのである。
 ところで、この番組は当然多くの視聴者がいるわけなのだが、視聴者の中には財宝マニアや探検オタクのような人物もいて、我こそは財宝を絶対に見つけてみせるという輩も現れ始めた。そして・・ その情報はネオ‐ブラックリリーにも伝わっていた。

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 ここは某所にあるネオ‐ブラックリリーのアジトである。司令室ではゼネラルダイアが大首領クイーンリリーのメッセージを聞いていた。
「ゼネラルダイア。財宝の情報は聞いているな?」
「ハイ。大首領様」
「我がネオ‐ブラックリリーのコンピューターの解析では、キャプテン‐プランドラーが日本に隠したという財宝は、現在の価値で、時価数十億円相当のものであるという答えが出ている」
「時価数十億円・・ ですか。それは素晴らしい」
「ゼネラルダイア。何としても財宝を手に入れるのだ。良いか!?」
「ハハーッ。必ず手に入れてみせます」
 通信が終わり、ゼネラルダイアは戦闘員の方を向いた。
「例の番組を再生しろ」
「イーッ」
 ゼネラルダイアの命令でモニターのスイッチが入れられ、再生された番組が映し出された。しばらく見入っていたゼネラルダイアは、ある場面で指示を出した。
「止めろ」
 画面がストップした。
「少し戻せ」
「イーっ」
 リモコンが操作されて画面がゆっくりと戻っていく。
「よし。そこだ」
 再び画面がストップして、画面にはエモトと、エモトが持っている地図と古文書が映し出されていた。
「ヤシガニ魔人を呼べ」
 戦闘員が司令室から出て行き、暫くして戦闘員に伴われたヤシガニ魔人が、司令室に入ってきた。

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「ギギギギーッ。ヤシガニ魔人ただ今参りました」
 ゼネラルダイアはモニターを指さして言った。
「この女が持っている地図と古文書を奪うのだ。行動を開始しろ」
「ギギギギーッ。かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 ヤシガニ魔人と数人の戦闘員が司令室から出て行った。

      *      *      *      *

 ここは日○テレビのテレビ局のスタジオである。スタジオでは次の回の『世界の果て』の収録を終えて、出演者やスタッフたちがスタジオからゾロゾロと出てきて、それぞれ自分たちの控え室へと向かってるところだった。その中にいつものコスプレとメークをしたエモトがいた。
 エモトは自分の控え室に着くと、ドアを開けて中に入った。そのエモトが室内で見たものは、部屋の中で待ち伏せしていた、黒ずくめの服を着た不気味な男だった。自分の控え室に見知らぬ男が入っていたのを見て、エモトは慌てた。
「だ・・ 誰?」
 男が近寄ってきたので、エモトはドアを開けて外へ逃げようとした。が、ドアが開かない・・
「あ、開かない・・」
 男は後ろからエモトの襟首をつかみ、自分の方を向かせた。すると男は醜怪なヤシガニ魔人の姿になっていた。
「ひっ・・ か、か、怪物・・」
「おい、女! テレビで見せていた地図と古文書をよこすのだ」
「た、助けて・・ 助けて」
 ヤシガニ魔人は右手のハサミを開いてエモトの首筋に突きつけ、エモトに向かって威嚇した。
「女! 死にたくなかったら、おとなしく地図と古文書を渡せ、逆らえばこの場でお前の首と胴体は生き別れだぞ」
「こ・・ ここ・・ ここには無いです。あれはディレクターの三峰さんが持ってます」
「その三峰とやらはどこだ。何処にいる!」
「も・も・ もうすぐ打ち合わせでここに来ます。つ、つ、次の特番の時に、この前の続きをやるから、し、資料もそ、その時に一緒に持ってきます。お願い助けてぇ」
 その時ドアがノックされ、部屋の外からディレクターの三峰が話しかけてきた。
「エモトちゃん。『世界の果て・・』の特番の打ち合わせをするよ。入っていいかい?」
 声を聞いたヤシガニ魔人はエモトに向かって言った。
「中に入れろ」
 ドアがもう一度ノックされた。エモトは既に両足がガタガタと震えている。
「ど・・どうぞ」
 三峰は返事を聞いたので、ドアを開けて中に入った。エモトは正面にいた。三峰はエモトの様子がおかしいのに気付いた。
「どうしたの? 顔が真っ青だよ」
 同時にドアがバタンと閉まり、ドアの脇に隠れていたヤシガニ魔人が出てきた。
「ギギギギーッ」
「ワワッ・・ ば、ば、化け物」
 ヤシガニ魔人はエモトの首筋にハサミを突き付けながら、三峰に向かって言った。
「お前が持っている財宝の地図と古文書をこっちへよこせ。さもないと、この女の首と胴体を生き別れにしてやるぞぉ」

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「た・・ 助けてぇ三峰さん・・ 死にたくないよぉ」
「わ、分かった。渡すから、エモトを助けてやってくれ」
 三峰はそう言って、自分が持っていた資料入りのケースを、ヤシガニ魔人の前に放り投げると、ドアを開けて外へ逃げ出そうとした。が、外から戦闘員が入り込んできて、逆に押し戻された。
「馬鹿め! 逃げられると思ってか」
 ヤシガニ魔人はそう言いながら、三峰が放り投げたケースを、戦闘員に拾うよう促した。戦闘員は床に落ちていた資料入りのケースを拾い、ケースの中から資料を取り出して、ヤシガニ魔人に見せた。
「よし。これで資料が手に入った。これでお前らは用済みだ。死ね」
 ヤシガニ魔人は口から泡を吹き、正面にいた三峰めがけて噴射した。
「ウワアァーッ! ギャアーッ」
 泡をモロに被った三峰は、絶叫とともに体から水蒸気を噴出し、体が溶けて白骨になって床に倒れた。ヤシガニ魔人は今度はエモトの方を向いて威嚇した。
「女! 次はお前だ」
 しかし、三峰の様子を目の当たりに見たエモトは白目を剥いて失神し、その場に倒れた。ヤシガニ魔人は気絶したエモトを眺めて、何かを思いついた。
「ん・・ この女は利用出来そうだな。こいつは生かしておく。連れて行け」
「イーッ」
 戦闘員たちは気絶したエモトに布を被せ、担ぎ上げると、窓を開けてそこから飛び出して消えた。続いてヤシガニ魔人も窓から飛び出して消えた。

      *      *      *      *

 朝・・ 通学路で佐緒里と佳奈子が雑談しながら歩いていた。話題は当然『世界の果て・・』だった。二人ともこの番組のファンで、もし出来ることなら、自分たちがワールドハンターとして世界を駆け巡りたいという願望があった。

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「佐緒里ちゃん、昨日の『世界の果て』見た?」
「うん。財宝の話、面白かったよ」
「私が見つけてみたいなぁ・・ 想像するだけでもワクワクしちゃう」
 その日は学校でも『世界の果て』で放送された財宝の話題で持ち切りだった。教室では誰かがその話を持ちかけ、授業でも先生がその話を間に入れてくるほどだった。

「ただいま」
「おかえりなさい」
 学校が終わって佐緒里がANGELに帰ってくると、店内には絵里香と聖奈子がいた。絵里香と聖奈子の話題も『世界の果て』だった。佐緒里は自分の部屋へ行こうとしたが、聖奈子に呼ばれて二人の会話の中に混じった。
「絵里香さんたちも世界の果てのファンなんですか」
「その通り。私たちもその財宝とやらを、一度で良いから拝んでみたいわ」
「でも・・・ キャプテン‐プランドラーの時代っていったら、日本は鎖国の時代だったわけでしょ。プランドラーが直接日本に上陸したとは考えにくいな」
「確かに・・ でも色々と推測は出来るわ。たとえば・・ 当時日本では藩政をしいていたから、プランドラーがどこかの藩の領主に財宝を献上して、その領主が幕府の役人に知られないように密かに隠したとか・・ 」
「全てはあの古文書と地図が鍵を握っているって事ね・・」
「でも、エモトは財宝の場所まで行けなかった・・」
「あの古文書を読める人がいれば、きっと地図の場所も特定できるよ」
 実は佐緒里は持ち前の能力で、その古文書の一部を解読していたのだ。テレビに映っていたものが古文書の全てではなかったので、自分が見えたものだけだったのだが、佐緒里はそういうものを解くのが得意だったのだ。佐緒里が分かっていたのは、プランドラーが当時の日本の誰に、自分の持っていた財宝の一部を献上したのか・・ ということだった。
「そういえば、今度『世界の果て』の特番の時に、専門家を呼んで解読させるそうだけど」
「でも古文書だからね・・ 読める人なんて限られてるよね・・」
「私ちょっと着替えてくる」
 そう言って佐緒里は自分の部屋へ行き、それから10分ほどして、着替えた佐緒里は紙切れを持って戻ってきた。
「絵里香さん、聖奈子さん。これを見てください」
「何これ・・」
「ちょ・・ ちょっと・・ 佐緒里ちゃん。これ・・」
 聖奈子が何かを感じた。聖奈子はさすがに学年トップクラスの秀才らしく、佐緒里が持ってきた紙切れに書いてあったものを、それが何かを瞬時に察知したのだ。
「どうしたのよ聖奈子」
「例の古文書を解読したものよ。全部じゃないけど・・ これ・・ もしかして佐緒里ちゃんが解読したの?」
「うん」
 絵里香と聖奈子は唖然とした顔で佐緒里を見た。

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「でも、テレビの画面で見えたものだけだよ。だから内容も断片的だし、肝心要の財宝の隠し場所については何も分からないわ」
「でも凄いよ。佐緒里ちゃんってそういう才能があったんだ」
「ところで美由紀さんは?」
「美由紀は弟と一緒に市内の学習塾を探してる。美由紀の住んでいる家の近辺には塾が無いし、城間の塾の場所が遠いから、鷲尾平市内の塾に通いたいって、弟君が言ってるのよ。そろそろここに来るんじゃないかな。あたしたちもここで待ち合わせしてるのよ」
 丁度その時店の扉が開いて、美由紀が篤志を連れて入ってきた。
「あ・・ 来た来た」
「美由紀、こっちだよ」

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「遅くなってごめーん。篤志がなかなか塾決めないもんだから」
「それで何処に決めたの?」
「駅前にある向学館」
「あ、そこ・・・ 私も週3回行ってる」
「佐緒里ちゃんが?」
「うん。私は英語と国語だけなんだけど」
「それじゃ塾で僕と会えるかもしれないんだ」
「篤志、あんた1年でしょ? 佐緒里ちゃんは2年なんだよ」
「あ・・ そっか・・」
 篤志は残念そうな表情を見せた。
「それより美由紀、今、例の財宝のことで話してたんだけど」
「あ。それそれ。何でも、今度特番やるって言ってたね。見つけられるのかなぁ」
「それでね。佐緒里ちゃんが古文書を解読したのよ」
 そう言って聖奈子が紙切れを見せた。
「えーっ? 佐緒里ちゃん凄い。わぁ・・ 随分詳しく解読したんだね」
「でも、全部じゃないから、肝心のお宝が何処なのかは分からないわ」
「つまり、その古文書が全部あれば、佐緒里ちゃんの解読で、お宝をゲット出来るって事か」
 ANGELでは財宝の話で話題が盛り上がっていた。

      *      *      *      *

「これが財宝の在り処を示す地図と古文書か」
 ゼネラルダイアは、ヤシガニ魔人が奪ってきた地図と古文書を眺めながら呟いていた。しかしゼネラルダイアではその古文書を読むことも、地図の場所を特定することも出来ない。ゼネラルダイアは傍にいる戦闘員に命じた。
「コンピューターで、大至急古文書を分析しろ」
「イーッ。かしこまりました」
 奪ってきた古文書は、早速アジトのコンピューターにかけられた。そしてそれから約30分が経過して、戦闘員がやってきた。
「ゼネラルダイア様。古文書の内容は分かりましたが、文書が意味不明の綴りになっていて、コンピューターではこれ以上分析出来ません」
「何だと? どういう事だ」
「文書が暗号のようになっていて、それを解読しなければ、読むことが出来ないのです」
「んー・・ 暗号か。よし! コンピューター班を呼べ」
「イーッ」
 しばらくしてコンピューター担当の戦闘員達が入ってきた。
「この古文書の暗号を解読出来る人物を大至急割り出せ」
「イーッ。かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 コンピューター担当の戦闘員が出て行き、ゼネラルダイアはヤシガニ魔人に連れてこられて、ガクガクと震えているエモトの方を向いた。

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「ヤシガニ魔人。その女をどうするつもりだ」
「この女は例の番組で、財宝の在り処を探ったやつです。今度の作戦で利用出来そうなので、連れてきました」
「うむ・・ エモトとかいったな。お前の言うとおり利用出来そうだ。おい、女!」
 そう言いながらゼネラルダイアはエモトの方に近寄ってきた、
「お・・ お願い助けて・・ 」
 ゼネラルダイアはエモトの顔を自分の方に向かせた。
「ひっ・・」
「私の目をよーく見るのだ」
 そう言いながらゼネラルダイアは目をピカッと光らせた。瞬時にエモトは目がトローンとなって、催眠状態になった。
「お前は我がネオ‐ブラックリリーの手先となり、我々の言う通りに動くのだ」
「はい・・ わかりました。ゼネラルダイア様」
 催眠状態になったエモトは自我を失い、虚ろな状態でその場に立ち尽くしていた。その時コンピューター班の戦闘員が書類を持って入ってきた。
「イーッ。ゼネラルダイア様。これが古文書の暗号を解読できる者のリストです」
 リストには全部で5人の人間の名があった。ゼネラルダイアはリストを眺めていて、ある人物の前で目を止めた。
「こいつは・・」
 ゼネラルダイアが見たリストの中に、赤嶺佐緒里という名があったのだ。
「赤嶺佐緒里といったら、スカーレットエンジェルのガキではないか。こいつが文書の暗号を解読出来るというのか・・ うーん・・」
 ゼネラルダイアは、今度はエモトに向かってリストを突き付けながら話しかけた。
「この中に、お前が出演している例の番組で、テレビ局から依頼されている者、もしくはこれから番組に協力しようとしている者はいるか?」
「はい・・ この人とこの人。そしてこの人です」
 催眠状態になっていたエモトは、あっさりと3人の人物を指し示した。一人は名古屋にある中部大学の教授で、名前を岩槻啓二といい、古今東西の古文書の解読の専門家だった。二人目は東都大学の史学の権威で、名前を大宮清一郎といい、テレビ局の正式な依頼を受けて、地図と古文書の写しを与えられていた。三人目は若手推理作家の荒川嵐山(あらかわらんざん・ペンネーム-本名は的場翔太)で、例の古文書に興味を持ち、独自のルートで資料を入手していた。残る二人のうち一人が赤嶺佐緒里で、佐緒里は前述の三人のような専門家ではなく、技量も到底及ばないが、自分が持つ能力で古文書を解読する事が出来た。そしてもう一人は某大学の学生で、名前は吾野健史。俗に言う探検オタクで、今回の財宝騒ぎに便乗して、一山当てようと考えていたのだが、古文書解読の知識は、他の四人よりも劣っていた。
「ヤシガニ魔人!」
「ギギギーッ。何でしょうか。ゼネラルダイア様」
「このリストにある人間を、スカーレットエンジェルのガキ以外は一人残らず消せ。そしてガキを捕えてここへ連れてこい。我々以外の者が絶対に財宝を探す事が出来ないようにするのだ。行け!」
「ギギギーッ。かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 ヤシガニ魔人は返事をすると、戦闘員を伴って司令室から出て行った。

      *      *      *      *

 道路を走っている一台の車・・ 運転しているのは岩槻教授だった。そこへ横から一台の車が飛び出してきて、岩槻の車の前で急停車した。
「ウワーッ!!」
 岩槻の車はブレーキをかける間もなく、まともに衝突した。激しい衝撃と轟音を伴い、車は二台とも炎上して爆発し、乗っていた岩槻は焼死した。
 そして某所の住宅地・・・
 作家の荒川嵐山が近所のコンビニで買い物をして帰宅途中だった。そこへ黒ずくめの男たちが現れ、荒川の前に立ちふさがった。
「何だおまえ達は」
「荒川嵐山。貴様にはここで死んでもらう。ギギギギーッ」
「な、何だって!?」
「ギギギギーッ」
 男の一人が奇声と共にヤシガニ魔人になった。
「わわわ・・ か、怪物」
「死ねえーッ!!」
「ギャアーッ」
 ヤシガニ魔人は荒川めがけて泡を噴射し、泡を浴びた荒川は絶叫と共に全身から水蒸気を吹き上げ、体が溶けて白骨死体になった。
 そして次は某邸宅の中・・
 その家の主人、大宮清一郎が書類に目を通していた。書類はテレビ局から送られてきた例の古文書と地図のコピーだった。大宮はテレビ局より依頼されて、古文書の解読をしていたのだ。そして特番の時には財宝探索隊に加わり、エモトと行動を共にすることになっていた。そのとき突然書類が火を噴いて燃え出した。
「ワッ!」
 突然の事に、大宮は驚いて火のついた書類を投げ捨てた。そこへ窓を割ってヤシガニ魔人が戦闘員と共に飛び込んできた。
「ワーッ。ば、化け物」
「大宮。貴様に古文書の解読はさせん! 死んでもらうぞ。ギギギーッ」
「た、助けてくれーッ」
 大宮は逃げ出したが、ヤシガニ魔人は大宮を追いかけて、後から右手の鋏を振り上げ、大宮の背中を突き刺した。
「ギャアーッ」
 大宮は絶叫と共にその場に倒れて絶命した。
「これで三人・・ よーし。引き揚げろ」
「イーッ」

      *      *      *      *

「ええっ!? 東都大学の大宮教授が何者かに自宅で殺された?」
 ANGELで電話で話をしていた美紀子は、突然の事に愕然とした。電話の相手は美紀子の知り合いの秋元結だった。

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「大宮教授だけでなく、中部大学の岩槻教授も事故で・・ そうですか・・ 分かりました」
 美紀子は電話を切ると、隣で話を聞いていた佐緒里の方を見た。佐緒里は学校から帰ってきたところで、ちょうど美紀子が電話中だったため、傍で立っていたのだ。
「佐緒里。帰っていたのね。おかえり」

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「ただいま叔母様。殺されたって・・ 一体何があったの?」
「古文書学専門の教授が二人も殺されたのよ」
「それ、もしかして、今度の財宝騒ぎに関係があるんじゃないか? ・・」
 そう言ったのはカウンターにいた孝一だった。
「孝一君が言うように、確かに今度の財宝が関係しているわね・・ もしかすると、奴等の仕業かもしれない」
「奴等って・・ ネオ‐ブラックリリー!? そうか・・ 奴等の仕業だとすると、きっと財宝を狙っているんだわ。だから、他の人が財宝を見つけられないようにするため、専門家の人たちを狙っているのよ」
「佐緒里ちゃん、それって変だな・・ だったら殺すよりも、拉致して古文書を解読させた方が、手っ取り早いんじゃないか? 俺だったら間違いなくそうするぜ」

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「孝一君の言うことにも一理あるわね。確かに殺すよりも拉致して協力させた方が、奴等にとってはメリットがあるはず・・」
 そこへ絵里香たちが慌しく入ってきた。
「大変大変!!」
「どうしたのよみんな。そんなに慌てて。何が大変なの?」
「作家の荒川嵐山が自宅の近くで殺されたんだって。道路に半分白骨化した荒川嵐山の死体と、本人の所有物らしいものが散乱してたって。もう上へ下への大騒ぎよ」
「荒川・・ って、あの若手推理作家の?」
「そう」
「これではっきりしたわね。殺された三人の全てにネオ‐ブラックリリーが関係している」
「どういう事ですか。美紀子さん」
「三人とも、今度の財宝騒ぎに関わっているのよ。東都大学の大宮教授と中部大学の岩槻教授は、ともにテレビ局からの依頼で財宝の古文書を調べていたわ。そして推理作家の荒川嵐山も、テレビ局に協力を申し出て資料を調査していたのよ」

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「つまりネオ‐ブラックリリーが財宝を狙ってるって事?」
「でも、何で財宝なんか・・」
「聖奈子、美由紀、奴等のやる事よ。その気になれば総理大臣だって狙うわよ。財宝を狙っているのは、恐らく組織の活動資金にするためだと思うわ」
「なるほど・・ 資金か・・ 絵里香、いい所に気付いたね」
「あ! そうだ」
「どうしたの孝一君」
「今日の新聞のニュースで、タレントのエモトアヤカが失踪したって言ってた。テレビ局の控え室から忽然と姿を消したって・・ 。そうか! 奴等の狙いはやっぱり財宝だ。みんなそう思わないか!? だってエモトは『世界の果て・・』に出演していて、今度の財宝の話題の中心的存在だぜ。きっとエモトは奴等に捕まってるんだよ」

 同じ頃、ここは新間川の堤防・・
「な、何だお前ら」
 リストに載っていた人物の一人、吾野が黒ずくめの男達に囲まれていた。
「お前なんぞに財宝は渡さん。死んでもらうぞ」
「な、何だって!?」
 男の一人が奇声を上げながらヤシガニ魔人の姿になった。
「わわわ・・ 化け物。た、助けてくれぇーッ」
「俺様の溶解泡を食らえ」
 ヤシガニ魔人が溶解泡を噴射した。
「ウギャアーッ」
 泡を浴びた吾野は、たちどころに体が溶けて白骨死体になった。
「馬鹿なやつめ・・ 好奇心で身を滅ぼすとはな」
 そこをたまたま帰宅途中だった佳奈子が、その光景を目の当たりに見てしまい、ヤシガニ魔人と視線が合った。
「見たな小娘」
 佳奈子はヤシガニ魔人に背を向けて一目散に逃げ出したが、つまずいて転んでしまった。
「痛ったーっ・・・」
 転んだ佳奈子はヤシガニ魔人に追いつかれ、鋏で首をつかまれた。
「嫌あーっ。助けて。助けてぇーッ」
「俺様の姿を見た者は死んでもらう」
「待て。ヤシガニ魔人」
 そこへゼネラルダイアが現れた。
「ゼネラルダイア様」
「こいつはスカーレットエンジェルのガキの友人であり、エンジェルブルーの妹だ。利用価値は存分にある。殺さないで連れて行け」
「分かりました」
 ヤシガニ魔人が合図をすると、戦闘員達が何処からとも無く現れ、佳奈子の両腕をつかんだ。
「助けて。嫌あーっ」
 戦闘員たちは嫌がって抵抗する佳奈子を引きずるように連れて行き、止めてあった車に押し込んで車を発進させた。

      *      *      *      *

 ANGELの店の扉が開き、絵里香たちが出てきて、それぞれ自分たちの家へ帰ろうとしていた。孝一も今日のバイトを終え、店を出て外に止めてある自分のオートバイの方へ向かっていた。佐緒里は駅前にある塾へ行くため、駅のほうへ歩いていった。そして塾の入り口の前で佐緒里の携帯に着信が入った。
「(誰かな・・)はい赤嶺です」
「・・・ ・・・ ・・・」
「何ですって!? それで佳奈子ちゃんは? 私にどうしろって言うの!?」
『友達を返してほしければ、アジトまで来い。さもないと、お前の友達を殺すぞ』
「・・ 分かった。それで、どうすればいいの?」
『今お前がいる場所から50m東の路上に車が停まっている。そこまで歩いて来い』
 佐緒里は言われた通りの場所を見た。確かに一台の車が停車している。
「分かったわ。言う通りにする」
 佐緒里は携帯を切ると、指定された場所まで歩いていった。入れ違いに篤志が塾の入り口の前にやってきて、歩き去っていく佐緒里の後ろ姿を目で追った。
「あれぇ? 佐緒里さん・・ 塾に行かないで、何処へ行くんだろう」
 篤志が見ていると、佐緒里は停車している車の前で立ち止まった。するとドアが開いて、佐緒里は引きずり込まれるように車に乗せられ、車が発進した。
「た、大変だ。佐緒里さんが誘拐された」
 そこへ孝一がオートバイに乗って通りかかり、篤志のそばで停まった。
「よおっ。篤志君じゃないか。どうしたんだよ。そんな青い顔して」
「あ・・ 孝一さん。大変なんだ。佐緒里さんが怪しい奴等に誘拐されたんだ」
「何だって!?」
 篤志は走り去っていく乗用車を指差した。
「篤志君、乗るんだ! しっかりつかまってろよ」
 孝一は篤志に備え付けのヘルメットを渡し、篤志はヘルメットを被ると、オートバイにまたがった。孝一は篤志が乗ったのを確認すると、アクセルをふかしてオートバイを発進させた。
佐緒里を乗せた車は東へ向かっていたが、すぐに北へ進路を変え、新間町の方へ向かった。孝一が運転するオートバイの後ろに乗っていた篤志は、自分の携帯を取り出すと、姉の美由紀に緊急信号を送った。もしもの事があった時、美由紀から緊急信号の使い方を聞いていたからだ。

 帰宅途中の美由紀は鷲尾平の駅で電車に乗る直前だった。そこへ篤志から緊急信号が入ったので、ホームにあるベンチのそばへ走った。
「篤志からの信号だわ・・ メールも入っている」
 美由紀はメールを開いた。すると『サオリガユウカイサレタ。コウイチトツイセキチュウ』という表示があった。
「大変! すぐ絵里香と聖奈子に連絡だ」

 絵里香は駅前のコンビニで美由紀からの電話をとった。
「はい絵里香です。美由紀どうしたの? ええっ!? 佐緒里ちゃんが? 分かった。すぐにANGELへ行くから」
 一方、聖奈子は既に家に帰っていた。
「佳奈子のやつ・・ まだ帰ってきてないな。何処ほっつき歩いてんだろう」
 そこへ美由紀からの連絡が入った。
「はい聖奈子です・・ 佐緒里ちゃんが誘拐された??・・ もしかしたら・・ とにかく詳しいことは合流したら聞くわ」
 聖奈子はすぐに家を飛び出し、オートバイに乗るとアクセルをふかしてANGELに向かった。

      *      *      *      *

「さっさと入れ! 小娘」
 佐緒里は目隠しをされて両手に手錠を嵌められ、両腕を戦闘員に抱えられて、アジトの一室に連行されてきた。そこで目隠しを取られた佐緒里が見たものは、両手を鎖で繋がれて吊るされ、足に鉄球を嵌められた佳奈子と、その傍らで縛られて座らされているエモトだった。

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「佳奈子ちゃん。それに、エモトさんまで・・ やっぱりエモトさんは捕まっていたのね」
 そこへゼネラルダイアがヤシガニ魔人を伴って入ってきた。
「よく来たな赤嶺佐緒里。待っていたぞ」
「佳奈子ちゃんたちを放してあげて。私が二人の身代わりになるわ」
「その必要は無い。お前が我々に協力するなら、二人は助けてやっても良い」
「協力って・・ 一体私に何をしろって言うの?」
 ゼネラルダイアは佐緒里のそばに来ると、例の古文書と地図を佐緒里に突き付けた。
「これは・・ 」
「キャプテン‐プランドラーの財宝の事が書かれた古文書だ。お前がこの古文書の暗号を解読出来る事をコンピューターが弾き出したのだ。早速解読してもらおう」
「そうか・・ それで古文書学の専門家を殺したのね」
 今度はヤシガニ魔人が返事をした。
「その通りだ。我々以外の者に財宝を見つけられては、都合が悪いのだ」
 佐緒里はゼネラルダイアとヤシガニ魔人を睨みつけた。
「小娘。そんな反抗的な態度をとっていいのか? お前の返事次第では、そこにいる女と、お前の友達の命がかかっているのだぞ。さあどうする」
 佳奈子が佐緒里に向かって叫んだ。
「ダメ! 佐緒里ちゃん。こんな奴等に協力しちゃダメ」
 ゼネラルダイアは右手を少し上げると、パチンと鳴らした。
「イーッ」
 戦闘員は返事をすると、傍にあるレバーを上げた。すると佳奈子の両手を繋いでいる鎖が巻き上げられ、佳奈子の体が宙吊りになった。佳奈子の両足首には、足枷と鉄球が括り付けられている。
「ああっ・・ い、痛い・・ 痛い! あーっ! 嫌―ッ」
 佳奈子は自分の腕と足が抜けそうな痛みに、叫び声を上げながら顔を歪ませた。傍にいたエモトが顔を背ける。
「佳奈子ちゃん!」
「どうだ佐緒里。これでも嫌だと言うか? お前の友達がどうなってもいいのか」
「ダメェ・・ さ、佐緒里ちゃん。言うこと聞かないで」
 佐緒里が黙っていると、ゼネラルダイアは戦闘員に命令した。
「よし! もっと痛めつけてやる。鎖をもっと引き上げろ」
「待って! 協力する。解読するから佳奈子ちゃんを助けてあげて」
「佐緒里ちゃん・・ どうしてぇ・・」
「佳奈子ちゃんの命には代えられないよ」
 ゼネラルダイアは佐緒里の返事を聞くと、戦闘員に命令した。
「小娘を降ろして鎖を外してやれ」
 戦闘員がレバーを下げ、鎖が緩められて佳奈子の足が床につき、佳奈子は両手の鎖と足枷を外されてそのまま床の上に座らされた。ゼネラルダイアは古文書を佐緒里に突き付けた。
「佐緒里。さあ解読してもらおうか」
「その前に私の条件も聞いてくれる?」
「言ってみろ」
「財宝が見つかったら、私とそこにいる二人にも拝ませて」
「ふっ・・ まあ良いだろう。お前の望みを叶えてやろう」

      *      *      *      *

 ANGELに戻ってきた絵里香たちは、美紀子を交えてテーブルを囲んで座っていた。
「佐緒里ちゃんが誘拐されたって?」
「うん。篤志からの緊急信号があったのよ、しかも篤志は孝一君と一緒に奴等の後を追っているわ」
「やばいよ。奴等の仕業だったら、二人が危ない。早く行き先を確かめて助けに行かなきゃ。それにもしかすると、佳奈子も捕まっているみたいなのよ」
「聖奈子、どういうこと?」
「家に帰ったら、帰っているはずの佳奈子がまだ帰ってきてないのよ。あたしの推測だと、佐緒里ちゃんは佳奈子を助けるために、奴等に捕まったんだと思うのよ」
「そうか! もしかしたら、奴等は佐緒里ちゃんの能力を利用しようとしてるんだわ。ねえみんなよく考えて。これまでの全ての事は、今度の財宝騒ぎに関係があるのよ。そう考えれば、古文書を解読できる人たちが殺されたっていうのも辻褄が合うわ」
「そうか・・ そういえば佐緒里ちゃんは、あの古文書を解読出来るんだわ。それで佳奈子ちゃんを誘拐し、それをネタにして佐緒里ちゃんを誘拐したのよ」
 美紀子の前には小型の受信機が置かれていて、規則的にピーッというアラーム音を発していた。音に気付いた絵里香たちは、立ち上がると美紀子の後ろからモニターを眺めた。モニターには赤い点が点滅している。
「点の動きが止まっている・・ 美紀子さん、ここは?」
 美紀子は傍においてある地図の一点を指差した。
「ここから北北東約15kmの地点。このあたりに奴等がいるわ」
 絵里香たちは勿論のこと、エンジェルに関係した者が持っている携帯電話には、全て緊急信号を送る事が出来るよう、美紀子が改造をしていた。そして一度緊急信号が発せられると、美紀子が持つ受信装置に、自動的に転送されるようになっているのだ。
「みんな早く行こう!」
 聖奈子が真っ先に立ち上がったのを、美紀子が制した。
「待って! 焦らないで。やつらの作戦からすると、佐緒里が古文書を解読したら、やつらは必ず次の行動に移るわ」
「そうか! つまり解読したデータをもとに、財宝を探すって事か」
「そう。財宝が見つかるまでは、佐緒里は殺されないし、捕まったみんなも無事って事よ」
「でも、このままじゃ孝一と篤志君が心配だわ」
「よし。それじゃあたしが行くわ。絵里香と美由紀は美紀子さんと一緒にここに残ってあたしの連絡を待って」
 聖奈子は立ち上がるとヘルメットを抱えて出入り口へと向かった。美紀子はそれを見ながら絵里香に言った。
「絵里香。あなたも一緒に行きなさい」
「はい」
 絵里香は立ち上がると、聖奈子を追っていった。店を出ると、聖奈子はオートバイのエンジンをかけて発進するところだった。
「聖奈子待って。私も一緒に行く」
 聖奈子は後ろの席の横にかけてあったヘルメットを指差し、絵里香はそれを被って聖奈子の後ろに跨った。
「絵里香行くよ!」
 聖奈子はアクセルをふかすと、オートバイを発進させた。


「孝一さん、あそこだ」
「篤志君。隠れろ」
 佐緒里を乗せた車を追ってきた孝一と篤志は、神社の建物にあるアジトの入り口を発見し、物陰に隠れて様子を見ていた。入り口には見張りの戦闘員が立っているのが見える。
「見張りはたった一人か・・ 随分無用心だな。よし。裏から回り込んでいくか。篤志君。君は俺が合図したら、あいつの前に飛び出すんだ」
「分かった。孝一さん気をつけて」
 孝一は傍に落ちている棒切れを拾うと、森の中を大きく回って神社の建物の裏に達した。建物の周辺には監視用のカメラが設置されていたが、孝一のいる場所は死角になっていた。孝一は建物の壁伝いに出入り口に近付き、篤志に向かって手で合図をした。その様子は隠れて見ている篤志からも見えた。
「孝一さんの合図だ。よし! 今だ」
 篤志は隠れていた場所から勢いよく飛び出し、境内の真ん中に立った。
「何だ小僧! 何処から出てきたんだ」
 見張りの戦闘員は、篤志に気付くと篤志に向かって行こうとした。
「ヤアッ!!」
 そこへ孝一が棒切れを振り上げ、かけ声と共に戦闘員の脳天に唐竹割りの如く打ち込んだ。さらに間髪を入れず、戦闘員の喉めがけて鋭い突きを入れた。
「イィーッ・・・・・・・  」
 戦闘員はその場に倒れた。
「凄い! 孝一さん」
「篤志君、感心している場合じゃないぞ。今からアジトに潜入する。君には悪いけど、俺に捕まる役をやってもらうぞ」

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 孝一は倒れている戦闘員の服を剥ぎ取ると、自分がそれを着込み、さらに倒れている戦闘員の足をつかんで引きずりながら神社の床下に運んだ。
「これでしばらくは気付かれないだろう・・ 篤志君行くぞ」
 そこへ出入り口から戦闘員が二人出てきた。それに気付いた孝一は、咄嗟に篤志を羽交い絞めにした。
「おい。見張りの交代だ。ん・・ その小僧は何だ!?」
「イーッ。こいつが境内をうろついていました」
「連れて行け!」
「イー」
「何するんだ。放せ。放せぇっ」
 幸いな事に、これまでの一部始終は監視カメラには映っていなかった。戦闘員の服を着て変装した孝一は、怪しまれずに篤志と一緒にアジトの中に入り込んだ。

 それから約10分・・ 絵里香と聖奈子がオートバイで、神社のある小山の下までやってきた。
「美紀子さんが言っていた場所はここだよ」
「絵里香あそこ!」
 聖奈子が指差した所に、孝一のオートバイが置いてあった。
「孝一のバイクだわ。やっぱりここまで来ていたのね」
「行こう絵里香」
 絵里香と聖奈子はオートバイから降りると、石段を登った。上りきったところで建物の前に戦闘員が立っているのを見て、咄嗟に脇にある木の陰に隠れた。
「奴等だ・・」
「二人の姿が見えないって事は、捕まったか・・」
「うん・・ もしくは潜入したって事ね」
「このままじゃ二人が危ない・・ 強行突破しよう」
「その前に美紀子さんに連絡を入れるわ」
 絵里香は携帯を取り出すと、美紀子に発信した。

      *      *      *      *

 同じ頃・・・ アジトの中では・・
 佐緒里は佳奈子、エモトと一緒に司令室に連行され、そこで佐緒里は古文書の解読をしていた。両手の手錠は外されていたが、周囲は武器を持った戦闘員達に囲まれていた。傍では佳奈子とエモトが不安そうな顔で佐緒里を見ている。自分のナップザックを返された佐緒里は、中から筆記用具とノートを取り出し、テーブルの上で古文書を見ながら、ノートに内容を書き記していた。既に自分が見た部分は分かっていたので、解読にはさほど時間はかからず、30分程度で全て解読に成功した。
「出来た・・」
「何? もう解読したのか。よし見せろ」
 ゼネラルダイアは佐緒里の隣に座ると、佐緒里が解読した文書を眺めた。解読した文書は次のようなものだった。文字がはっきりしない部分は佐緒里には分からず、その部分は〇〇で表示されている。
『我輩は、〇〇海賊キャプテン‐プランドラーである。〇〇の月の〇の日、我が船〇〇嵐に遭遇し〇〇彷徨った末、陸地を発見してその地へ上陸した。〇〇そこで出逢ったショウヤセイベイなる人物と、その仲間達によって助けられ、我輩と我輩の部下達は手厚い接待を受けた。我々が漂着した所はセイベイによりニッポンのミウラ半島にあるミハマなる場所と知る。我輩はセイベイに対して敬意を持って〇〇、我輩が〇〇航海〇〇得た財宝の一部をセイベイに贈り、セイベイは財宝を〇〇した。その財宝の隠し場所はセイベイの知るミウラ〇〇ミハマ〇〇の洞窟で、地図に示す場所に存在する〇〇神社よりその道が〇〇』
「地図をもってこい!」
「イーッ」
 ゼネラルダイアは戦闘員に地図を持ってこさせると、テーブルの上に広げ、佐緒里が解読した文書と古地図とを見比べた。
「ここだ!」
 ゼネラルダイアは三浦半島西北部にある、逗子近郊の御浜海岸を指差した。古地図に描かれた地形と御浜海岸付近の地形がほぼ一致していて、印の部分には神社を表す記号もあった。ゼネラルダイアは隣にいる佐緒里に言った。
「佐緒里。どうだ?」
「確かに・・ 地図の地形と似ている。古文書の内容からしても、この場所でほぼ確実だわ」
「よし! 直ちに三浦半島へ向かう。準備しろ」
「イーッ」
 ゼネラルダイアの命令で、戦闘員が一斉に動き出した。そこへ孝一が変装した戦闘員が、篤志を連れて司令室に入ってきた。
「イー。この小僧がアジトの周りをうろついていました」
「篤志君!」
 佐緒里は篤志を見て、驚きのあまり立ち上がったが、すぐに傍にいた戦闘員に押さえ付けられ、再び座らされた。
「小僧。お前にも財宝を拝ませてやるぞ。一緒に来い」
 ゼネラルダイアは古文書の内容が分かったので上機嫌だった。そこへ別の戦闘員がゼネラルダイアの傍にやってきた。
「イーッ。ゼネラルダイア様。アジトのすぐ近くで怪しい電波をキャッチしました。携帯電話のものと思われます。それと、監視カメラに怪しいやつらが映っています」
 ゼネラルダイアはカメラのモニターを眺めた。
「エンジェルスの小娘どもだ。ヤシガニ魔人!」
「ギギギーッ」
「お前は外にいる小娘どもを撃退しろ。我々は直ちにアジトを放棄して三浦半島へ向かう」
「かしこまりました」
 ゼネラルダイアは戦闘員に命じて、佐緒里たちと篤志をアジトから連れ出させた。戦闘員の中には変装した孝一も混じっていた。一方のヤシガニ魔人も残りの戦闘員を引き連れてアジトを出た。

 絵里香と聖奈子は隠れていた場所から飛び出した。それを見た戦闘員たちは、奇声を上げながら二人に向かっていき、格闘になった。そこへヤシガニ魔人が姿を現した。
「ギギギーッ! 小娘ども。死んでもらうぞ」
「出たわね化け物」
 ヤシガニ魔人は両目からレーザーを発射した。絵里香と聖奈子は反射的にジャンプし、二人を外れたレーザーは狛犬に命中して、狛犬が吹っ飛んだ。
「エンジェルチャージ!」
 二人は空中で変身し、エンジェルの姿になって着地した。
「炎の戦士エンジェルレッド!」
「水の戦士エンジェルブルー!」

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「小癪な! まとめて片付けてやる。かかれっ!」
 戦闘員が奇声を上げながら襲いかかってきた。ヤシガニ魔人は溶解泡を噴射した。格闘していた絵里香と聖奈子は咄嗟に自分の傍にいた戦闘員を突き飛ばし、泡が戦闘員にかかった。
「イーッ」
「ウギャアーッ」
 泡を被った戦闘員は水蒸気を吹き上げ、溶けて白骨になった。それを見た絵里香と聖奈子は後退りした。
「見たか俺様の力を。椰子の実爆弾で吹っ飛ばしてやる」
 ヤシガニ魔人は腹の部分を開くと、中から椰子の実型の爆弾を飛ばしてきた。爆弾は二人の周辺に落ちてきて爆発し、絵里香と聖奈子は身を竦めた。
「もっと食らえ」
 一発が至近距離で爆発した。
「キャーッ!」
 爆風で二人とも吹っ飛ばされたが、空中で一回転してうまく着地し、再び身構えた。そこへ戦闘員がやってきてヤシガニ魔人に何かを告げると、ヤシガニ魔人は絵里香と聖奈子に向かって捲くし立てた。
「小娘ども。これ以上お前たちなんぞにかまっている必要は無い。さらばだ」
 ヤシガニ魔人はジャンプすると、その場から消え、戦闘員も一斉に消えた。絵里香と聖奈子は今までヤシガニ魔人がいた場所に駆け寄って、周囲を見回した。
「逃げられた・・ 奴等一体何処へ・・」
 その時携帯の着信音が鳴り、絵里香と聖奈子は変身を解いて、絵里香は携帯を開いた。
「はい絵里香です。はい・・ 分かりました。すぐに向かいます」
 絵里香は携帯を切ると聖奈子の方を向いた。
「絵里香。美紀子さんから?」
「うん。やつらは佐緒里ちゃんたちを連れて、三浦半島へ向かっているわ」
「孝一君と篤志君もきっとその中にいるわね」
「行くよ聖奈子」
「オッケー」
 絵里香と聖奈子は駆け出すと、神社の下に置いてあったオートバイのそばへ行った。聖奈子はヘルメットを被るとオートバイに跨り、絵里香も孝一のオートバイに跨ってエンジンをかけた。
「ちょ・・ ちょっと絵里香。運転大丈夫なの?」
 絵里香は制服の胸ポケットから免許証を出して聖奈子に見せた。
「自動二輪・・ 絵里香、いつの間に・・」
 絵里香はヘルメットを被りながら聖奈子に返事した。
「孝一が免許取るって言ったとき、私も一緒に教習所に行ったのよ。行くよ聖奈子」
 絵里香と聖奈子はアクセルをふかすと、オートバイを発進させた。


「地図と古文書の内容からすると、このあたりだ」
 三浦半島に到着したネオ‐ブラックリリーは、ゼネラルダイアを先頭にして、財宝が隠されていると思われる場所を探索していた。ゼネラルダイアの後に戦闘員に両側を挟まれた佐緒里が続き、さらにその後から佳奈子たちが続いていた。佐緒里は手錠を外されていたが、佳奈子たちが人質になっているので、黙ってついてきていた。そしてついに地図に載っている神社を探し当てた。
「あの神社だ」
 神社の入り口の看板には『御浜神社』と書かれている。戦闘員に変装している孝一は、看板の横に立てられた案内板を注視した。その表示の一部に『御浜神社は元々はこの場所よりも100mほど海寄りにあって、関東大震災による地盤沈下と社の倒壊により、昭和3年にこの場所に移転された』と書かれていた。神社のある場所から100mほど先を見ると、その場所には陸地は無く、海になっている。
「(これは・・ もしかして・・ これが本当なら、地図にあった場所は今は海の底・・)」
「おい。何してる。早く行け」
「イー。すみません」
 うしろの戦闘員に煽られ、孝一は足早に歩いていった。神社の前まで来たゼネラルダイアは、佐緒里の方を向いて言った。
「ここで間違いないか?」
 佐緒里が答える前に、佐緒里のうしろにいた篤志が出てきてゼネラルダイアに言った。
「残念だけど、財宝は今はもう海の底だ。僕は春に学校の遠足でここに来て、その時ガイドの人から聞いたんだ。 この神社は昔はここから100mくらい海の方にあったらしいんだ。でも関東大震災の時に神社が倒壊し、周辺の土地も地盤沈下して海の底に沈んでしまったんだ」

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「何だと!? 小僧。いい加減な事を言うな」
「嘘じゃないぞ。入り口の案内板にも書かれていたぜ。このあたりの地形は、プランドラーが来た頃とは変わってしまってるんだ」
 そう言いながら孝一はマスクを外した。
「えーっ!? それじゃ財宝は・・ 財宝はもう無いの・・??」
 エモトががっかりしたような顔で言った。
「その通りよ。私も調べてみたんだけど、このあたりの地形はすっかり変わってしまっているのよ」
 そう言いながら美紀子が美由紀と一緒に出てきた。
「す、スカーレットエンジェル・・ いつの間に」
「お前たちの行きそうな場所くらい分かるわよ。当てが外れて残念だったわね。ゼネラルダイア。お前の作戦もこれで終わりよ」
「お、おのれぇ・・ こうなったら皆殺しだ。どうせ人質は用が済んだら、全て始末するつもりだったのだ。者どもやってしまえ!」
 戦闘員が一斉に身構え、佐緒里は佳奈子たちを庇う体勢をとった。そこへヤシガニ魔人が戦闘員を従えて現れた。
「ギギギーッ」
「ヤシガニ魔人。こいつらを皆殺しにしろ」
「かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 ゼネラルダイアは捲くし立てると、マントを翻して姿を消した。
「かかれっ!」
 ヤシガニ魔人の命令で、戦闘員が一斉に襲いかかってきた。
「美由紀、みんなを助けるのよ」
「了解! エンジェルチャージ!」
 美由紀はかけ声と共にジャンプし、エンジェルイエローになって着地すると、美紀子と一緒に戦闘員の中に割って入った。
「佐緒里、みんなを連れて逃げて」
「はい叔母様」
 佐緒里は返事をすると、佳奈子たちを連れて逃げ、その後を数人の戦闘員が追いかけた。逃げる佐緒里たちに戦闘員が追いつき、襲いかかってきた。
「ヤアッ!」
 佐緒里は組み付いてきた戦闘員にハイキックをお見舞いし、戦闘員は反動で吹っ飛ばされた。
「早く! こっちだ」
 孝一と佐緒里が先導して、佳奈子たちを援護したが、ついに戦闘員に周りを囲まれた。そこへ絵里香と聖奈子がオートバイで突っ込んできて、戦闘員を跳ね飛ばした。
「お待たせ!」
「孝一。バイク置いてきたでしょ。届けに来たわよ」
 絵里香と聖奈子はオートバイから飛び降りると、近くにいた戦闘員と格闘して倒した。
「みんな早く安全なところへ逃げて」
 そう言いながら絵里香と聖奈子は神社の方へ走っていった。それを見届けながら孝一は佐緒里と一緒に佳奈子と篤志、そしてエモトを誘導し、神社とは逆の方へ駆けた。

 神社の周辺では美由紀と美紀子がヤシガニ魔人と戦闘員相手に奮闘していた。そこへ絵里香と聖奈子が突入した。
「お前たちの野望もこれまでよ」
「うるさい! これでも食らえ」
 ヤシガニ魔人が溶解泡を絵里香と聖奈子めがけて噴射した。泡は二人の手前にぶちまけられ、発火して燃え出した。美由紀が絵里香と聖奈子に向かって叫んだ。
「絵里香、聖奈子。変身して」
 絵里香と聖奈子はジャンプして空中でかけ声と共に変身し、着地して美由紀の傍に駆け寄った。
「美紀子さん。みんなは安全な場所へ逃げたわ。美紀子さんも早く逃げて」
「分かった。気をつけてね」
 美紀子は絵里香たちの傍を離れて走っていき、それを見届けた絵里香たちは、ヤシガニ魔人のほうへ向き直った。
「来い化け物!」
「何を小癪な! 小娘ども。ぶっ殺してやる」
 ヤシガニ魔人は鋏を振り上げながら、絵里香たちに向かって突進してきた。
「みんな散って!」
 絵里香の一声で、聖奈子と美由紀はそれぞれ散開した。突進してきたヤシガニ魔人の鋏が、神社の境内にある木を挟んで、木が真っ二つに折れて倒れた。向き直ったヤシガニ魔人は、聖奈子めがけて両目からレーザーを放った。聖奈子は体を捻って避けると、ソードと楯を出して身構えた。美由紀もバトンを出した。
「椰子の実爆弾を食らえ」
 ヤシガニ魔人は腹を開くと、椰子の実型の爆弾をポンポンと飛ばしてきた。その爆弾が絵里香たちの周囲に次々と落下してきて爆発した。絵里香たちの周りにいた戦闘員が吹っ飛び、絵里香たちも爆発で吹っ飛ばされた。
「キャーッ!」
 さらにレーザーが放たれた。
「エンジェルシールド」
 美由紀がバトンを組んで四角いガラス状の物体を作り出し、レーザーが跳ね返された。
「クソッ! 接近戦も遠距離戦も奴に分があるわ」
「聖奈子、弱音を吐いちゃダメよ」
 絵里香たちは武器を手に身構えた。
「聖奈子、美由紀。奴が爆弾を吐き出す瞬間を狙うのよ」
「オッケー」
「分かった」
 ヤシガニ魔人が威嚇しながら迫ってきた。
「小娘ども。とどめを刺してやる」
 ヤシガニ魔人が腹を開いた。
「今よ!」
 絵里香の声と同時に三人は一斉に武器を前に突き出した。
「トリプルエンジェルアタック!」
 3人のエネルギー波が一つの球体になって、ヤシガニ魔人の腹に吸い込まれ、腹から出てきた椰子の実爆弾が爆発して、発射態勢にあった爆弾も誘爆した。
「グアーッ!!」
 ヤシガニ魔人は絶叫と共に大爆発し、木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「やった!」
 絵里香たちは今までヤシガニ魔人がいた所に駆け寄った。
「跡形もなく吹っ飛んだわね」

「おーい!」
 そこへ逃げていたみんなが戻ってきた。
「いけない。早く変身を解除しよう」
「そうだね。エモトさんに知られたら大変な事になりそうだわ」
 絵里香たちは急いで変身を解いた。それからしばらくしてみんながやってきて、絵里香たちの周りに集まってきた。
「あれ? 怪物は」
 エモトが辺りを見回した。が、何を思ったのか、神社の建物を通り越して海辺へ向かって走っていった。絵里香たちはその様子を見ていた。その時絵里香たちの間を誰かが走りながらすり抜けていった。佐緒里と佳奈子だった。佐緒里と佳奈子は海辺で座り込んでいるエモトの傍に駆け寄った。エモトは自分が目指していたものが無くなってしまった事で、沈下したと思われる土地の方向を見ながら、失望のあまり泣いていた。
「エモトさん。財宝は無くなった訳じゃないのよ。地震で地盤が沈下しただけだから、元々の場所に残っている可能性があるのよ。だから諦めるのは早いわ」
「そうよ。海底を調べれば、見つかるかもしれないのよ」
 エモトは涙を拭うと、佐緒里と佳奈子の方を見た。その表情はいつもテレビの画面の向こうにいるエモトと同じだった。
「そうか! 海底に沈んだんだったら、海底を調べればいいんだわ。そうそう・・ まだまだ望みが無い訳じゃない」
「そうよ。エモトさん。頑張って! あなたのファンの一人として、財宝が見つかる事を祈っています」
「私も祈ってる。私たちは『世界の果て』の大ファンなの。エモトさんの事はいつも見ていますから。だから頑張って財宝を見つけてください。折角一歩手前まで来てるんだから。あと少しじゃないですか」
 エモトは立ち上がると、佐緒里と佳奈子に向かって右手を差し出した。
「有難う。絶対見つけてみせる」
 佐緒里と佳奈子はエモトと代わる代わる握手をした。
「私たち、ずっと応援してます」

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 いつのまにか、絵里香たちと美紀子、そして孝一と篤志も傍まで来ていた。
「みんな帰ろうか。エモトさん、送っていくわよ」
「有難うございます」
 みんなは車が置いてある場所まで行くと、美紀子の車にエモトと佐緒里、美由紀と篤志が乗り、孝一のバイクには絵里香が、聖奈子のバイクには佳奈子が乗って、それぞれ発進して帰途についた。

      *      *      *      *

 ネオ-ブラックリリーの財宝強奪作戦は、エンジェルスとその仲間達の手により、挫折を余儀なくされた。しかし、ネオ-ブラックリリーは新たな作戦を立て、再び牙をむいてくるのだ。負けるなエンジェルス!

      -------------------------------------------------------

 次回予告
 第31話『戦隊壊滅・・ エンジェルスの危機』

 ネオ-ブラックリリーは以前失敗した学校占領作戦をN県の天間村近郊で再び始める。しかしその作戦は、別の作戦を秘匿するための陽動作戦だった。その作戦とは果たして何か・・・ ネオ-ブラックリリーの動きを知った絵里香たちは、美紀子と共に天間村に向かうが、待ち伏せしていたネオ-ブラックリリーの罠にはまり、聖奈子と美由紀が捕まって洗脳されてしまう。さらに美紀子と佐緒里までが洗脳され、ネオ-ブラックリリーが占領した学校の生徒たちとともに絵里香に迫ってくる。

 次回 美少女戦隊エンジェルス第31話『戦隊壊滅・・ エンジェルスの危機』にご期待ください。



     *      *      *      *

 おまけ

 半年後・・・

 三浦半島の御浜海岸の沖約50mの海上に、アクアラングスーツを着たエモトが浮かんできた。世界の果てまでGO GO GO!の特番で、海底に沈んだキャプテン-プランドラーの財宝の探索が行われていたのだ。その探索のための古文書解読には、エモトの依頼で佐緒里が一役買っていたのは言うまでも無い。
 佐緒里はその功績によって、エモトの推薦により、番組のロケに招待されていた。海上に浮かび、海岸まで歩いてきたエモトは、待っていた佐緒里に向かって、ウインクをしながらVサインを送った。エモトに続いて二人のスタッフが、貝殻にびっしりと覆われた金属製の箱を持ってあがってきた。テレビカメラがその様子を写している。
「どーもどーも。エモトでございます。さあ! ついに箱が上げられました。果たしてこの中に財宝が入っているのでしょうか。世紀の瞬間です」
 エモトがいつものノリでトークをすると、エモトは佐緒里を自分のそばに呼び、小声で佐緒里に話しかけた。
「二人で開けるよ」
 佐緒里は頷くと、エモトと一緒に箱に手をかけ、一気に押し上げた。その瞬間、周囲にいたスタッフ達から歓声が上がった。箱の中からは夥しい宝石類のほか、金貨や銀貨が出てきたのだ。長い間海水に浸っていたため、かなり汚れていたものの、間違いなく財宝だった。エモトは立ち上がって佐緒里の両手を取ると、飛び跳ねながら歓声を上げ、佐緒里も一緒になってエモトにあわせた。
 そして開けられた財宝の箱の前で、エモトと佐緒里は記念写真に収まった。





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ジャンル : 小説・文学