鷲尾飛鳥

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第34話『6人の戦士たち』

2013年 05月31日 22:29 (金)

03-34-00.png

 ACA(アンチ・カバル・アソシエーション)が作成したネオ‐ブラックリリーに関する秘密データ『ACAファイル』は、早苗を通じて無事美紀子たちに渡り、絵里香たちも無事に美紀子の元に戻ってきた。そして傷ついたエンジェルスを助けるため、佐緒里がスカーレットエンジェルJrになり、エンジェルブルー(聖奈子)、ミルキーピンク(麻美)とセイントパープル(紫央)の三人で急造エンジェルスを結成。ミルキーピンクがクラゲ魔人を倒してネオ‐ブラックリリーを撃退した。しかし、人質との交換でネオ‐ブラックリリーの手にもデータが渡ってしまった。
 美紀子たちとネオ‐ブラックリリーのどちらが先にデータを解析出来るのか。また、ネオ‐ブラックリリーの新しい作戦とは何なのか・・・・・  そして新たに現れた阿修羅魔人と怪人二世部隊とは・・・・  

      *      *      *      *

 美紀子がACAの秘密データを受け取ってから一週間が経過した。今のところネオ‐ブラックリリーの表立った動きはなく、絵里香たちは普段通りに学校へ行っていた。そして絵里香たちは学校が終わるといつものようにANGELにやってきた。
34001

「美紀子さん、何か分かりましたか?」
 絵里香の言葉に、美紀子は首を横に振った。
「ネオ‐ブラックリリーが何か大きな作戦を始めようとしているのは、私にも分かるんだけど、今のところは何の動きもないし、データの解析がまだ全部終わっていないから、もう少し待って。それにACAとのコンタクトが全く取れないのよ。データを提供してくれた宮代さんも単なる繋ぎ役で、ACAのメンバーと直接接触したわけでもないし」
 美紀子は聖奈子がACAに助けられたことを思い出した。
「聖奈子。あなたACAの人たちに助けられたのよね。その時何処にいたの?」
「分からない・・・  あの人たちは自分たちの事をまわりに知られるのを恐れていて、かなりガードが硬いんです。あたしも和久井村まで送ってもらった時、県境を越えるまでは目隠しをされてたんです。きっと常にネオ‐ブラックリリーに狙われているためだと思う」
 美紀子はひとつため息をついた。
「とにかく・・  みんな、何かあったらすぐに言うから、それまでは様子を見るしかないわ」
「分かりました」

      *     *     *     *

 同じ頃、ネオ‐ブラックリリーのアジトでは、ゼネラルダイアがデータの解析を今や遅しと待っていた。
「ACAのデータは人質を餌にして奪い取ったが、頭のキレるスカーレットエンジェルのことだ。きっとコピーを作っているだろう。とにかく奴等よりも早くデータを解析し、ACAの全貌を掴んで、一網打尽にせねばならん」
 司令室のデスクに座っていたゼネラルダイアの所へ、戦闘員が報告に来た。
「イーッ。ゼネラルダイア様、秘密データの解析に成功しました」
「そうか。ご苦労だった」
 ネオ‐ブラックリリーのアジトでは、奪い取った秘密データの解析作業が行われていて、ついに全データの解析に成功した。そのとき大首領の声が流れてきた。
「ゼネラルダイア、でかしたぞ。早速我がネオ‐ブラックリリーの秘密を知る者どもをこの世界から消し去るのだ」
「かしこまりました。大首領様」
 アジトの作戦室内に緊張感が漂った。そして解析されたデータが、ゼネラルダイアの立ち会いの元で、再度コンピューターにかけられた。
「モニタースクリーンに映し出せ」
 ゼネラルダイアはスクリーンを眺めた。それは地図、写真、そしてACAが調べ上げたネオ‐ブラックリリーの詳細な情報だった。
「写真と地図、それに情報の内容から、奴等の力量・能力、それにメンバーの構成や秘密基地の位置が手に取るように分かるぞ・・  阿修羅魔人を呼べ」
 暫くして通信機のモニターに阿修羅魔人が出た。
「お呼びでございますか。ゼネラルダイア様」
「阿修羅魔人。作戦開始だ。直ちに怪人二世部隊を率いて日本国内にあるACAの秘密基地を片っ端から叩き潰すのだ。必要な資料は今から電送する」
「かしこまりました」
 その時、戦闘員の一人が報告のため、ゼネラルダイアの前に来た。
「イーッ。ゼネラルダイア様。命令で呼び出した魔人たちが到着しました」
 報告と同時にミイラリー、サムライリー、黒猫リー(いずれもスカーレットエンジェルに登場したエージェントたち)、そしてイソギンチャク魔人が司令室に入ってきて、ゼネラルダイアの前に立った。

03-34-02暗殺部隊

「大儀であった。お前たちは阿修羅魔人が率いている二世部隊とは別行動をとってもらう。お前たちの役割はエンジェルスの小娘どもやスカーレットエンジェルに協力した、ミルキーピンクとセイントパープル、そして和久井村の診療所の医者を消す事だ! こいつらは我がネオ‐ブラックリリーの秘密を知っている。生かしておくと厄介なのだ。直ちに行動を開始せよ」
「待て! ゼネラルダイア」
 突然スピーカーから大首領の声が響いた。
「ゼネラルダイア。殺さずに生け捕りにするのだ」
「大首領様。それはどういう事ですか?」
「考えてみろ。生け捕りにすれば、エンジェルスやスカーレットエンジェルらを誘き寄せて罠にかけ、一網打尽にするための格好の人質になるではないか」
「なるほど・・・  そういう事でしたか。分かりました。大首領様」
 そこで会話が終わり、ゼネラルダイアは新たに命令を下した。
「聞いての通りだ。殺さずに生け捕りにするのだ」
「かしこまりました。イーッヒッヒッヒッヒ」
 魔人たちは敬礼すると戦闘員たちを引き連れて司令室から出ていった。

 ゼネラルダイアが上記の怪人を選んだのは、ミルキーピンクとセイントパープルの能力を分析してのことだった。ネオ‐ブラックリリーのコンピューターに、過去の作戦データが残されており、今は亡きドクターマンドラに関する記録の中に、ミルキーピンクとセイントパープルが妖怪と戦う戦士だとあったから(halka著:正義のヒロインミルキーピンク&美少女戦隊エンジェルスの前後編を参照)で、それで二人への対策として、妖怪に近い能力や戦闘力を持った魔人・怪人たちが選ばれたのだ。

      *     *     *     *

 ネオ‐ブラックリリーは作戦行動を開始した。しかし連絡係の早苗が、秘密データ“ACAファイル”がネオ‐ブラックリリーに渡ってしまった事を、ACAに事前に知らせていたため、隊員の大部分が襲撃前に基地やアジトを放棄して潜伏していたので、ACAの隊員や関係者等の人的被害は少なくて済んだ。しかし日本国内に点在するACAの主な秘密基地は、作戦開始後僅か二日で殆ど潰され、ネットワークも壊滅して基地同士の連絡も不可能になった。作戦開始三日目になって、ACAの部隊で組織的な行動が可能なのは、聖奈子が匿われていた天間村の秘密基地と、そこにいる数人の隊員だけになっていた。
 一方で絵里香たちの方は何も分からないまま、3日が経過していた。今日は土曜日で学校が休みだったので、絵里香たちは朝からANGELに来ていた。美紀子は自分の私室でデータの解析作業をしていて、カウンターには佐緒里と孝一がいた。
「佐緒里ちゃん。まだデータの解析は出来ないの?」
「ごめんなさい。叔母様も一生懸命やってるんだけど。とにかく叔母様の話ではデータの量が膨大で、それらを分別するのに手間取っているみたいなんです」
 その時ベルの音と共に店の扉が開いて客が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
 そう言いながら佐緒里がカウンターから出た。客は紫央だった。
「あら。相守さん。いらっしゃい」
 紫央は絵里香たちを見つけると、絵里香たちが座っている所まで来た。
「みんな、おはよう。久しぶり」
 聖奈子が紫央に聞いた。
「紫央おはよう・・ あれ? 今日は紫央一人? 相棒はどうしたの?」
「麻美の事? 麻美なら昨日の夜から和久井村に行ってる。早苗さんが心配みたい」
 それから暫しの沈黙・・  それを破るように、美紀子が私室から出てきた。
「みんな。分かったわよ。私の部屋に来て」
 それを聞いた絵里香たちは一斉に立ち上がった。
「孝一君は店番をお願い。何かあったらそこのベルを押して呼んで」
 孝一はカウンターの隅にある呼び鈴を見て返事をした。
「わかりました」
 絵里香たちと佐緒里、紫央を部屋に入れた美紀子は、再びパソコンの前に座ってパソコンと対面した。その後ろでは、絵里香たちが成り行きを見守っていた。美紀子の私室にあるプリンターからは、データが次々と印字されていた。パソコンを操作する美紀子を囲んで、みんなは時の経つのも忘れ、緊迫した表情でその成り行きを見ていた。画面上に次々とデータが現れる毎に、みんなは生唾を飲み込んだり、ギョッとした表情を見せた。
「ACAというのは、早苗さんが言っていたアンチ・カバル・アソシエーションの略語よ。この組織はみんなもう知ってると思うけど、インターポールの特務機関で、悪の秘密結社や国際陰謀団対策用に、私の養父だった源太郎さんが作った組織なの」
 美紀子はこれまでに出てきたデータの全てをプリンターに印字し、コピーして絵里香たちに渡した。それを読んでいた聖奈子が呟いた。
「いろいろな人がいるのね・・  ネオ‐ブラックリリーに拉致されて脱走した人たち、家族を殺された人たち、それにそうそうたる名前が並んでいるわ。科学者、技術者、学者… 」
「待って聖奈子さん、静かに!」
 佐緒里は何かを感じたのか、聖奈子の言葉を遮った。
「どうしたの佐緒里ちゃん」
「みんな静かにして。あそこに何かが・・・・ 」
 佐緒里はそう言ってから室内の一点を指さした。電話が置かれている台の下だった。聖奈子が行って調べてみると、テーブルの下に超小型の盗聴器が仕掛けられていた。
「畜生! いつのまに仕掛けたのよ!?」
 聖奈子は盗聴器を外すと、床にたたきつけて踏みつけた。
「あたしたちの会話を聞かれていたわね・・・ 油断出来ないやつらだわ」

      *     *     *     *

 美紀子がデータの解析に成功し、絵里香たちを交えてネオ‐ブラックリリーの今後の動向を探っていた頃、こちらは和久井村にある診療所。早苗は近くの家に看護師( 診療所に常駐ではなく、村の医療センターから派遣されてくる)とともに往診に行っていて留守で、診療所では麻美が留守番をしていた。が、ネオ‐ブラックリリーの魔手が迫ってきている事にはまだ気づいていなかった。ネオ‐ブラックリリーの魔人たちは戦闘員を率いて、診療所の周辺に集まっていたのだ。
「あの診療所だ」
 そこへ偵察に行った戦闘員が戻ってきた。
「イーッ。現在診療所にいるのは、小娘一人だけです」
「医者はいないのか・・・ 。よし。まず小娘から生け捕りにする。行くぞ」
 魔人たちが一斉に動き出した。

 留守番していた麻美はリビングで雑誌を読んでいた。その時急に部屋の中が暗くなって、麻美は体全体に寒気を感じた。
「何・・・ なんだか変な予感がする」
 麻美は何かを感じたのか、窓を開けてベランダに出た。同時に触手が次々と飛んできて、麻美に巻きついてきた。
「な・・ 何・・ く、苦しい・・」
 不意をつかれた麻美は、ミルキーピンクに変身する事が出来ず、触手はさらに体全体に巻きついてきて、雁字搦めにされた。そこへネオ‐ブラックリリーの戦闘員が、奇声をあげながら次々と現れ、醜怪なイソギンチャク魔人が姿を現した。触手はそのイソギンチャク魔人のものだった。
「ね・・ ネオ‐ブラックリリーの化け物!!」
「ビビビーッ! ざまあみろ小娘! どうあがいても無駄だ」
「畜生! 放せ。化け物」
 麻美危うし! そこへ往診を終えた早苗が帰ってきた。麻美はそれを見て大声で叫んだ。
「早苗姉さん逃げてぇーっ! 来ちゃダメェーっ!」
 しかし遅かった。早苗が車から降りてくると同時に、隠れていたミイリーの包帯が飛んできて、早苗に次々と巻きついて雁字搦めにし、早苗は叫ぶ暇もなく全身をミイラのようにグルグル巻きにされて、その場に放り出された。

03-34-03早苗ヒロピン

「早苗姉さーん!」
「小娘。次はお前だ」
 そう言いながらイソギンチャク魔人は電流を流してきた。
「うぐ・・  うわああーっ! ・・・・・・ あ・・ ぁ」

03-34-04麻美ヒロピン

 いくら麻美でも、生身のままでは普通の女の子だった。電流を浴びて数秒後には失神した。
「ビビビビーッ」
 イソギンチャク魔人は触手の締め付けを緩めると、気絶した麻美をその場に放り投げた。そこへゼネラルダイアが姿を現し、二体の魔人と戦闘員たちがゼネラルダイアのもとに集まってきた。
「ご苦労だった。連れて行くのはその医者だけでいい。その医者一人だけでも利用価値は絶大だ。小娘はそのままにしておけ」
「かしこまりました」
「直ちに次の作戦に移る。全員引き揚げだ」
 戦闘員たちは包帯でグルグル巻きにした早苗を抱え上げると、用意していた車に押し込め、車を発進させた。ゼネラルダイアはマントを翻してその場から姿を消し、魔人と戦闘員は潮が引く如くその場から引き揚げていった。

      *     *     *     *

「みんな。天間村へ行くわよ。支度して」
 美紀子たちはデータの解析を完了し、天間村へ行く準備をしていた。データの解析から天間村にACA日本支部の本拠地があることが分かったからだ。ネオ‐ブラックリリーにデータが渡っている以上、ネオ‐ブラックリリーが嗅ぎ付けてくる前に、ACAの組織と接触する必要があったからだ。その時紫央の携帯に着信が入った。
「(麻美だ・・・) はい紫央です。えっ? 何? 早苗さんがどうしたって? ちょっとどうしたのよ麻美。麻美しっかりして。麻美。麻美!」
 そばにいた絵里香が紫央に話しかけた。
「紫央さん、どうしたの? 顔が真っ青だよ。一体何があったの?」
「早苗さんが奴等に捕まった・・・  麻美もやられた・・ 助けに行かなきゃ」
「ええっ? 宮代先生が捕まった? 麻美さんがやられたって・・ 一体何が・・」
 みんなの間でざわめきが起こった。一番動揺していたのは紫央だった。その様子を察した美紀子が紫央の傍に寄ってきた。
「相守さん。早苗さんと麻美さんは必ず助けるわ。だから落ち着いて」
「紫央、行ってみよう。あたしも一緒に行くから」
 聖奈子は紫央に言ってから、美紀子に言った。
「美紀子さんは絵里香と美由紀を連れて先に行ってください。あたしは紫央を連れて和久井村の診療所へ行きます」
「分かった。聖奈子、頼んだわよ。それから絵里香も一緒に行きなさい。オートバイに乗れるのはあなたと聖奈子だけだから」
「は、はい」
「みんな出発よ」
 みんなは美紀子の私室を出て、店内に入ってきた。美紀子はカウンターにいた孝一に話しかけた。
「孝一君。これから店を閉めてみんな出かけるのよ。悪いけど今日はあがってもらえる?」
「分かりました」
 返事をした孝一は絵里香と目が合った。孝一は絵里香が何を言いたいのか瞬時に分かった。
「絵里香。もしかしてこれか?」
 孝一はバイクのキーを出して、絵里香に向けてポンと放り、絵里香はキーを受け取った。
「持ってけ」
「ありがとう」
 全員が店の外へ出ると、絵里香と聖奈子はそれぞれバイクのエンジンをかけた。美紀子は車庫から車を出すと、美由紀と佐緒里に乗るよう促した。聖奈子は紫央にヘルメットを渡して後ろに乗るよう促してから、自分もヘルメットを被り、紫央を乗せてバイクを発進させた。続いて絵里香もそのあとからバイクを発進させて聖奈子を追い、美紀子も車を発進させた。

      *     *     *     *

 その頃、ネオ‐ブラックリリーのアジトでは、司令室に入ってきたゼネラルダイアが、近くにいた戦闘員を呼び付けて聞いた。
「阿修羅魔人からはまだ何の連絡も無いか?」
「イーッ。先ほど連絡がありました。現在各地に分散した部隊を集合させて、こちらへ戻ってくる途中であるということです」
「そうか。分かった。急がせるよう連絡しろ」
「イーッ」
「奴らのデータでは、この天間村の何処かに秘密基地がある事が分かっている。何としてもACAの居場所を突き止めて叩き潰してやる。いつまでも姿を隠していられると思うなよ。必ず見つけだして撃滅してやる」
 そこへ別の戦闘員が報告に来た。
「イーッ。ゼネラルダイア様。生け捕りにした例の医者を連れてきました」
「こっちへ連れてこい」
「かしこまりました」
 ゼネラルダイアの命令で、イソギンチャク魔人とミイラリーが、捕らえた早苗を司令室に連れてきた。ゼネラルダイアは早苗の前までやってきた。

03-34-05捕まった早苗

「お前はミルキーピンクとかいう小娘の従姉だそうだな。それにACAとコンタクトをとっていた連絡係だということも分かっているぞ」
 早苗は黙ったままゼネラルダイアを見据えていた。ゼネラルダイアは電光剣を引き抜くと、早苗の喉元に突き付けた。
「単刀直入に聞こう。ACAの秘密基地がこの天間村にあることが分かっている。それは何処にあるのだ?」
「知らないわ。私は単なる連絡係で、彼らと接触した事は全然無いのよ。たとえ知ってたってお前たちなんかには言うもんか!」
 ゼネラルダイアは電光剣を突きつけたまま、早苗に向かって言った。
「ふん! 生意気そうな女だ。別にお前から聞き出そうなどとは思ってないわ」
 ゼネラルダイアは戦闘員に命令した。
「地下牢に放り込んでおけ」
「イーッ」
 戦闘員は早苗を司令室から連れ出し、地下牢の前まで連れてくると、戦闘員の一人がスイッチを押して扉を開け、もう一人の戦闘員が早苗を牢の中に放り込んだ。
「しばらくこの中に入っていろ」
 扉が閉められ、戦闘員が扉の脇にあるスイッチを押して扉をロックした。

      *     *     *     *

 絵里香と聖奈子は紫央を伴って和久井村に到着し、診療所の駐車場に乗り入れた。駐車場には早苗の車が置いてある。停止したバイクから飛び降りた紫央は、辺りを見回しながら叫んだ。
「麻美! 麻美いーっ」
 絵里香と聖奈子も診療所の周りを探り、聖奈子がベランダで倒れている麻美を見つけた。
「紫央! いたよ」
 紫央はベランダまで駈けてきて、携帯電話を握り締めたまま気を失っている麻美を見ると、駆け寄って麻美を抱き起こした。
「麻美。麻美! しっかりしてぇ。何があったのよ」
 最後はもう涙声だった。紫央は何度も麻美を揺すってみたが、気絶したまま全く動かない。聖奈子が傍に来て、麻美の胸に耳をあてた。
「大丈夫。生きてる」
 絵里香が来てザックから小瓶を取り出し、中から薬を出した。
「美紀子さんから預かってきた気付け薬が効くかどうか・・・  誰か水持ってきて」
 紫央が真っ先にベランダから室内に入り、コップに水を汲んで持ってきた。絵里香は麻美の口を開けると、水と一緒に薬を飲ませた。しばらくすると麻美の顔色に生気が戻り始め、うっすらと目を開けた。
「よかった… 気が付いたわ」
「麻美。麻美」
「紫央・・・ 」
「麻美。一体何があったのよ」
 麻美は紫央ではなく、絵里香たちに向かって言った。
「早苗姉さんが奴等にさらわれたのよ。助けなきゃ。絵里香さんたちも協力して。お願い」
「勿論よ。私たち親友じゃないの。それに早苗さんは私たちの恩人なんだよ」
「そうだよ麻美。お願いだなんて水臭いよ」
「ありがとうみんな・・」
 麻美の声はもう涙声になっていた。そんな麻美に絵里香と聖奈子は右手を差し出しながら言った。
「麻美さん。泣いちゃダメよ。私たちみんなが一緒になれば、怖いものなんか何も無いよ」
「そうだよ麻美。みんなで一致団結して、ネオ‐ブラックリリーの野望を叩き潰そう!」
「麻美。早苗さんは絶対に助かるよ。信じようよ」
 そう言いながら紫央も右手を差し出した。
「ありがとう絵里香さん。聖奈子、紫央・・・ 」
 麻美は右手で涙を拭うと、みんなと同じように右手を差し出し、絵里香が大きな声で言った。
「みんな! 頑張ろう」
「オーッ!!」

 絵里香たちは止めてあったバイクのそばへ行った。
「とにかく急ごう。このままでは早苗先生が危ない。早くやつらのアジトを見つけなければ」
 その時絵里香の携帯が鳴った。
「あ、美紀子さん… ええ… 麻美さんは大丈夫です。はい分かりました。ペンションですね」
 電話を切った絵里香は聖奈子、麻美、紫央の方に向き直った。
「今から天間村へ向かうよ。麻美さん、紫央さん。乗って」
 麻美は絵里香の、紫央は聖奈子の後ろにそれぞれ乗った。
「行くわよ」
 絵里香と聖奈子はアクセルをふかすと、その場から発進して一路天間村へと向かった。

      *     *     *     *

 その頃、ANGELから直行した美紀子と美由紀、佐緒里の3人は天間村のペンションに到着していて、一階の食堂で誠人・久美子とともに絵里香たちの到着を待っていた。
「2人とも。絵里香たちはあと一時間くらいで着くって言ってたわ」
「早苗先生はどこにいるんだろう・・・ 無事でいてくれるといいんだけど」
「すぐには殺さないと思うわ。きっと私たちを誘き寄せるために利用するはず。とにかく、今はやつらの出方を待つしかないわ」
 その時はすぐに来た。ペンションの周囲が急に暗くなり、外から大きな声が聞こえてきた。美由紀は窓際へ行き、カーテンを少しずらして外を見た。
「美紀子さん、ネオ‐ブラックリリーの魔人が!」
 美由紀が外の状態を見てみんなに向かって叫び、美紀子も外を見た。
「すっかり周りを取り囲まれている。蟻の這い出る隙間もないわ」
ペンションの周囲を魔人や戦闘員たちが遠巻きに包囲し、ペンションの中の様子を伺っている。よく見てみると、 魔人の数だけで10体近くいるし、戦闘員の数は見えているものだけで50人ほど認められる。魔人の一人、ピラニア魔人が拡声器で叫んだ。
「その建物は完全に包囲した。おとなしく降参してそこから出てこぉい。10分だけ待ってやる。10分経っても返事がなければ一斉攻撃を開始し、お前らを皆殺しにしてやる」
「叔母様、どうしよう… 」
「佐緒里ちゃん。考える必要はないよ。降伏したって結局は殺されるだけだよ。戦うしかないよ」
「待って2人とも。ここには誠人君と久美子ちゃんがいるのよ。この二人を巻添えには出来ないわ」
「あと5分だぞ! 返事はまぁだかぁ」
 外から甲高い声が響いてきた。
「誠人君と久美子ちゃんは屋根裏部屋に隠れていて。奴等は私たちが目的なんだから、私たちがここから出ていけば、奴等も引き揚げていくはず」
「わ・・ 分かった美紀子姉さん」
「美紀子さんも、みんなも気をつけてね」
 誠人と久美子は食堂から出ていった。
「あと1分!」
「待ちなさい!」
 玄関の扉が開いて美紀子と美由紀、佐緒里が出てきた。魔人たちはそれを見て戦闘員たちに来るように合図しながら美紀子たちに近づいてきて、ピラニア魔人が美紀子の前まで来た。
「潔く出てきたか。ん… ? ほかのやつらはどうした?」
「私たちだけよ。ほかには誰もいないわ」
「嘘をつけ! 隠すとためにならないぞ。おい! お前たち中を調べろ」
「イーッ」
 戦闘員が一斉にペンションの中に入って探し回ったが、数分たって戦闘員が全員出てきた。
「イーッ。他には誰もいません」
「うーむ・・  まあいい。よし! こいつらを連れて行け」
 魔人たちは戦闘員に命じると、美紀子たち三人を縛り上げて敷地の外へ連れ出した。
「よーし。この三人をそこに並ばせろ」
 戦闘員たちは、縛り上げた美紀子たちを横に並ばせた。
「お前たちはこの場で直ちに処刑する」
 美紀子たち三人を取り囲むように、10体の魔人が立った。普段ならばそうそう物に動じない美紀子だったが、この時ばかりは動揺した。美紀子はわざと捕まってアジトの場所を知ろうとしたのだが、その目論見が外れたのだ。美由紀も佐緒里も同じだった。
「いよいよエンジェルイエローとスカーレットエンジェル、そしてジュニアのガキの最後のようだな・・・ 先にあの世へ行って後から来る仲間を待っていろ!」
 魔人達が美紀子たちに向けて攻撃態勢をとったその時、大量の催涙弾と煙幕弾が飛んできて魔人や戦闘員の周辺に落ちてきた。催涙ガスと煙があたり一面に充満し、魔人も戦闘員も右往左往して、パニック状態になった。縛られていた美紀子たちも、煙に巻かれて苦しんだ。
「な、何なの一体… 」
「く、苦しい・・ 」
 煙の中から防毒マスクを被り、迷彩服を身に纏った数人の男が出てきて、縛られていた美紀子たちのところまで来ると、美紀子たちを縛っている縄をナイフで切った。
「我々と一緒に来てください。こっちです」
 美紀子たちは誘導されるままにそのあとをついていき、止めてあったワゴン車に乗るように言われ、言われるままに車に乗り込んだ。運転席にいた男は全員が乗ったのを確かめると、アクセルを思いっきり踏み込んでその場から発進させた。一方、パニックになっていた魔人と戦闘員達は、煙が晴れて美紀子たちの姿が見えないのに気付いた。
「くそぅ… 逃げられたか! 恐らくACAの連中に違いない。アジトに連絡だ。早くしろ!」
「イィーッ」

 アジトではゼネラルダイアが苛立っていた。未だにACAの基地を見つけられないのと、黒猫リーとサムライリーの作戦が、紫央がいなかった事で空振りに終わったからだ。そこへ戦闘員が報告に来た。
「イーッ。ゼネラルダイア様。ペンションを襲撃した部隊から連絡が入りました」
「モニターに映し出せ」
 ゼネラルダイアがモニターの前に立つと、モニター越しにピラニア魔人が立っていた。
「ゼネラルダイア様に申し上げます。奴らがいるペンションを襲撃し、捕らえたやつらを処刑しようとしたところを、突然現れたACAの連中に邪魔されて、逃げられました」
「それでやつらが何処へ行ったのかは分かっているのだろうな?」
「やつらの車に発信機を取り付けましたので、既に一隊が追尾中です」
「分かった。お前たちは奴らの隠れ家を必ず見つけろ」
「かしこまりました」

      *     *     *     *

 美紀子たちがネオ‐ブラックリリーに殺されそうになり、ACAの組織に助けられてからおよそ30分後、絵里香と聖奈子、麻美と紫央の4人がペンションに到着した。バイクから降りた絵里香たちは辺りの様子がおかしいのに気付いた。
「聖奈子、様子がおかしいわ」
「確かに・・・ このあたりの焼け焦げた木や土・・ 何だかここで戦闘があったような感じだわ」
「一体ここで何が・・ 」
 麻美と紫央も建物の周りの様子をうかがった。建物の脇には美紀子の車が置いてある。
「美紀子さんの車があるわ」
「とにかく、中に入ってみよう」
 4人が警戒しながらペンションに近づくと、中から誠人と久美子が出てきた。
「絵里香さん、みんな。美紀子さんたちは誰かの車に乗って行きました」
「誰かの? どういう事?」
「少し前に、ここがネオ‐ブラックリリーに襲撃されたんだ。その時美紀子さんたちは俺たちを守るためにここから出て行って、奴らに捕まったんだけど、見慣れない集団の人たちに助けられて、その人たちと一緒に行ったんだよ」
「ACAの人たちだわ・・ 」
「何処へ行ったんだろう・・・ あたしは彼らの秘密基地に匿われてたんだけど、場所までは分からないのよ」
 その時絵里香の携帯に着信が入った。
「美紀子さんだ・・  はい絵里香です。はい・・ はい分かりました。すぐ向かいます」
 絵里香は電話を切ると、携帯の緊急モードをオンにした。
「聖奈子、行くわよ。美紀子さんからのナビで目的地へ行けるわ」
「オッケー」
 絵里香たちはバイクに乗ると、アクセルをふかして発進させた。

      *     *     *     *

 その頃美紀子たちを乗せたワゴン車は、天間岳北麓にある霧伏高原上にある別荘地の一角に置かれていた。美紀子達はここで車を降り、別荘の中の一つに案内されて、建物の中の一室にいた。グループのリーダーらしき男が美紀子たちに説明した。

3410

「ここが我々ACA、つまりアンチ・カバル・アソシエーションの秘密の隠れ家です。あなた達がネオ‐ブラックリリーと戦っているということを知り、我々はネオ‐ブラックリリーの情報を教えるためにここへ連れてきたんです。さあどうぞ」

03-34-07野上誠二郎

 リーダーの男は名を野上誠二郎といい、年は30前後で中肉中背の体形をしていて、濃い茶色のサングラス越しに見える氷のように冷たい視線に、美紀子は一瞬目をそらした。

 そして・・  ネオ‐ブラックリリーも発信機を手繰ってついにここへやってきた・・・・ 
「ついに見つけたぞ。ここがやつらの隠れ家だったのか。よし! 我々だけで片付けてやる」
 ネオ‐ブラックリリーの魔人や戦闘員たちは、屋敷の敷地内に入り込もうとしたが、壁のようなものにぶつかったかと思うと、猛烈な勢いで跳ね返され、悲鳴を上げた。
「何だ! 一体どうしたというのだ」
「見えない壁のようなものがあって、敷地内に入る事が出来ない」
「くそっ! バーリアが張ってあるのか。すぐにアジトに連絡だ」
 アジトではゼネラルダイアが通信を受けた。
「ついに隠れ家を見つけたか。うむ・・ バーリアで中に入れない? よし。お前達は監視の部隊を残して、ひとまずその場から引き揚げろ」
「かしこまりました」
 ACAの隠れ家である別荘の周辺には『バーリア』という、肉眼では見えない電磁波の壁が張り巡らされていたのである。ネオ‐ブラックリリーの基地では、ゼネラルダイアがその連絡を受けたが、別に何事も無いように平然と構えていた。
「ふん・・ バーリアか。小賢しい手を使いおって。そんな事だろうと思って、ちゃんと手は打ってあるのだ。阿修羅魔人を呼び出せ」
 戦闘員が通信機を操作し、通信機のモニターに阿修羅魔人が出た。
「阿修羅魔人。ACAの隠れ家が見つかった。直ちに怪人二世部隊を率いて行動を起こし、ACAの組織を壊滅させるのだ」
「かしこまりました」

 ACAの基地は別荘の地下にあって、司令室のモニターがバーリアに引っかかった魔人の姿を映し出していた。
「畜生! ネオ‐ブラックリリーめ。ついにここまで嗅ぎ付けてきたか」
「すみません。私たちのせいでこんな事になってしまって」
「あなたたちのせいではありません。遅かれ早かれここを知られるのは覚悟していたんです。でも、この建物の周りにはバーリアが張ってあるので、やつらは中まで入っては来れませんから安心してください」
 一方、絵里香たちは緊急モードのナビを頼りに天間村の道路を走りつづけ、やがて霧伏高原の別荘地に達して、その中の一つの別荘を探り当てた。
「あの別荘にみんながいるわ。行こう」
 絵里香たち4人はお互いの顔を見合って頷いた。そして絵里香を先頭にして、別荘に向かって歩き出した。その姿はACAの司令室にあるモニターに映し出され、モニターを見た美紀子は野上に言った。
「あの子たちは私たちの仲間です」
「そうだったんですか。おい、バーリアを開けて中に入れるんだ」
 バーリアのスイッチが切られ、絵里香たちは建物の前までやってきた。そして玄関の戸が開けられて、美紀子と美由紀、佐緒里が出迎えた。

      *     *     *     *

「えっ? アジトを爆破する?」
 作戦会議の席上で、美紀子たちは衝撃的な発言を耳にし、愕然とした。アジトには早苗が囚われたままなのだ。
「そうです。我々は独自の捜査網を使って、ネオ‐ブラックリリーのアジトを発見し、さらにそのアジトにネオ‐ブラックリリーの大首領クイーンリリーがいるという情報を、我々のメインコンピューターが弾き出したのです」
 ACAのリーダー、野上がそう説明した。ACAの基地ではリーダーの野上誠二郎と、サブリーダーの新郷唯史、石原信行を中心に、ネオ‐ブラックリリー壊滅作戦を展開しようとしていて、既に一隊が石原を指揮官としてネオ‐ブラックリリーのアジトに向かっていた。今、基地の会議室では作戦行動中以外のACAのメンバー、美紀子と絵里香たち、そして麻美と紫央が作戦会議に参加して、作戦計画を練っていた。だが、アジトを爆破するという話を聞き、麻美と紫央が猛烈に反対した。
「待ってください。アジトには私の従姉が捕らわれているんです」
「爆破作戦はせめて、麻美の従姉を助け出してからにしてもらえませんか?」
「そうはいきません。既に作戦は開始されているんです。我々の同志が既にアジトに向かっています。それに、これは大首領クイーンリリーを倒す絶好のチャンスなんです。気の毒ですが、囚われている人は犠牲になってもらうしかないでしょう」
「そ、そんなぁ!」
 そう言いながら麻美は目に涙を浮かべながら両手でテーブルを叩き、紫央も野上の冷たい態度に我慢が出来なくなった。
「麻美! 私たちだけで早苗さんを助けに行こう」
「うん! こんな冷たいやつらに頼ることなんか無いわ」
 麻美と紫央は席を立つと会議室から飛び出した。
「2人とも待って」
 絵里香が2人の後を追って会議室を出た。麻美と紫央は建物の外へ出ると、後ろから追ってくる絵里香には見向きもせず、走り去っていった。呆然としている絵里香の後ろから美紀子がやってきた。
「美紀子さん、どうしよう… 」
 美紀子は首を横に振った。
「しょうがないわ。早苗さんはあの子たちにとってはかけがえの無い人なのよ。麻美さんにとっては従姉なんだし。絵里香だって同じ立場なら、おそらくあの子たちのようにしたと思うわよ」
 美紀子の言葉に、絵里香は納得したように小さく頷いた。そこへ聖奈子と美由紀、佐緒里、さらに少し遅れて千晶と新郷がやってきて、千晶が美紀子に言った。

03-34-08新郷と千晶

「紅林さん、どうかリーダーのことを悪く言わないでください。リーダーの野上さんはネオ‐ブラックリリーに家族と恋人を殺されていて、人一倍ネオ‐ブラックリリーを憎んでいるんです。前はあんな冷たい人じゃなかったんですけど」
「分かっています。明戸さんって言ったわね。聖奈子を助けてくれてありがとう。私たちもアジトの場所がわかったんで、これで失礼します」
「分かりました。それでは私たちが送りましょう」
「ありがとう」
 そばにいた絵里香が美紀子に言った。
「美紀子さん。私たちはあの二人を追いかけるんで、先に行きます」
「分かった。気をつけて。私もあとからすぐ行くから」
 絵里香たちはバイクの所まで行くと、エンジンをかけた。そして美由紀が絵里香の後ろに乗り、絵里香と聖奈子はバイクを発進させた。そのあとから美紀子も佐緒里を伴い、千晶とともに新郷が運転する車に乗って絵里香たちを追った。

      *     *     *     *

 その頃既に石原を隊長とした襲撃部隊はアジトが見える場所まで到達し、爆破作戦の準備に取りかかっていた。

石原

「あれが奴等のアジトだ。爆薬と起爆装置の用意だ。手はず通りにやれ」
 石原は、一緒にやってきた四人の部下に向かって指示を出した。部下が行動に入ろうとしたとき、突然石原たちの背後からネオ‐ブラックリリーの戦闘員が姿をあらわし、気がつくと周囲をすっかり取り囲まれていた。そして戦闘員の囲みの外から醜怪な阿修羅魔人が出てきて、石原たちに近づいてきた。

03-34-14阿修羅魔人

「馬鹿め。お前たちが来ることは、既に分かっていたのだ。まさに飛んで火に入る夏の虫だ」
「畜生! ここまで来て… 」
 石原は地団太踏んで悔しがったが後の祭だった。四人の部下たちは阿修羅魔人の三つの口から放射された火炎で焼き殺され、残る石原に阿修羅魔人が迫ってきた。
「死ね!」
 阿修羅魔人は目からレーザー光線を発射し、それを浴びた石原はあっという間に絶命した。同時にクマ魔人・イカ魔人・バッファロー魔人が出てきた。
「よーし! お前たち、こいつらに化けろ」
 三体の魔人が石原の部下に化け、阿修羅魔人は石原の姿に化けて、何食わぬ顔でアジトから離れ、ACAの隠れ家がある別荘へと向かって行った。これがゼネラルダイアの言っていた『手を打ってある』というやつで、大首領がアジトにいるという偽の情報を流して、ACAを誘い込んで罠にかけ、メンバーを殺してそのメンバーになりすまし、隠れ家に潜入するという作戦だったのだ。

 麻美と紫央はネオ‐ブラックリリーのアジトに向かってひたすら走っていた。ACAがアジトの場所を突き止め、アジトを爆破するための行動を起こしていたので、何としても爆破される前にアジトに突入し、早苗を助けなければならなかった。麻美と紫央はアジトの手前約500m位の所まで来て、そこで石原が部下を連れて歩いてくるのを見つけ、小走りに石原の方へ向かった。
「あなた達はACAの人達ですか?」
「そうです」
 麻美はアジトに捕らわれている早苗が気がかりで、石原に食ってかかった。
「アジトはどうしたの? まさか… 爆破したの?」
「いいえ。本部から指令があって、爆破作戦は中止になりました。我々は基地へ戻ります」
 そう言うと石原は部下を連れて別荘がある方向へと歩き去っていき、麻美はホッとしたように、その場に座り込んだ。二人とも石原たちが既に殺され、魔人が化けているとは気づかなかった。
「麻美。行こう」
 紫央に促されて麻美は立ち上がった。そこへ後ろから爆音とともに絵里香と聖奈子のバイクが走ってきて、麻美と紫央を追い越したところで止まった。絵里香たちはバイクから飛び降りると、麻美と紫央のそばへ駆け寄った。
「麻美さん。紫央さん。気持ちは分かるけど、先走っちゃダメよ」
「そうだよ。あたしたち一蓮托生じゃないの!」
「私たちだけでも、麻美ちゃんたちだけでも、どちらかだけでは奴らには対抗できないのよ。みんなの心を一緒にしなきゃ」
「うん・・・  ゴメン・・ 」
「そんな事より急ごう。アジトが爆破されたら元も子もないよ」
「爆破は中止になったって。ついさっきすれ違ったACAのメンバーの人たちが言ってたわ」
「中止 ?? 何でまた急に・・・ 」
「中止ならそれでいいじゃん。早苗さんはまだ無事だってことなんだから。とにかく奴等のアジトまで行こう」
 聖奈子がそう言い、絵里香は地図を見ながらまわりを見回した。
「この辺はアジトがある場所まで500mくらいの所よ。ここからは歩いていこう。罠が仕掛けてあるかもしれないから、気をつけて」
 絵里香たちは周囲を警戒しながら歩き始めた。

      *      *      *      *

 ACAの隠れ家にある野上の私室では、野上が机の上にある二つの写真立てを手に取り、見つめながら呟いていた。その写真の一つは自分の家族が写っていて、もう一つには自分の恋人だった女性が写っていた。
「もうすぐネオ‐ブラックリリーの最後だ。ようやくお前たちの仇がとれるぞ… 」
「そんなに家族や恋人が愛しかったら、今すぐお前を家族と恋人の所へ送ってやる」
 扉の外から奇妙な声が聞こえてきて、野上は思わず扉のほうを見た。
「誰だ!?」
 野上が怒鳴ると同時に部屋のドアが開き、石原が入ってきた。
「何だ、石原か。今変な声がしなかったか?」
「いや・・・ 何も聞こえなかったが」
「アジトの爆破は成功したか?」
「ああ。跡形も無く吹っ飛んだ」
 野上は作戦の成功を知り、胸をなでおろしかけたが、石原はさらに話を続けた。
「そして、ここも跡形も無く吹っ飛ぶのだ」
「な、何だと? お前いったい何を言ってるんだ」
「こういうことだ」
 石原は両手で顔を覆い、その手をゆっくりと下ろして正体を暴露した。そこには醜怪な姿をした阿修羅魔人が立っていた。
「ね、ネオ‐ブラックリリーの化け物!」
「シュラララーッ。石原は俺様が殺した。さっきお前が聞いた声は俺様の声だったのだ。さっきも言ったように、お前を愛しい家族や恋人の元へ送ってやる」
 野上は手元にあった登山ナイフを持って身構え、阿修羅魔人に切りかかったが、所詮生身の人間が魔人に敵うはずが無い。軽くあしらわれた野上は床に転げた。
「死ね!」
 阿修羅魔人が両手にサイを持ってクロスさせると、閃光とともに高圧電流が放電され、野上に降りかかった。
「ウワアァーッ! ギャアァーッ!!・・・ 」
 野上は絶叫しながら悶絶して絶命した。野上が死んだのを確認した阿修羅魔人は、そのまま野上に乗り移り、何食わぬ顔で起き上がった。隠れ家にいた他の隊員たちも、石原の部下たちに化けた魔人の手にかかって全て殺された。
「よーし。ここを爆破して跡形もなく吹っ飛ばしてやる」
 阿修羅魔人は爆破装置のスイッチを入れて隠れ家から出た。基地の中に仕掛けられた爆薬が一斉に爆発し、基地は勿論、別荘の建物も爆発して吹き飛んだ。
「ざまあ見ろ。我がネオ‐ブラックリリーに刃向かう愚かな人間ども。これでACAは壊滅した。後は目障りなエンジェルスの小娘どもと、助太刀に来た戦士どもを倒せば、我がネオ‐ブラックリリーの勝利は間違いなーいのだ! シュラララーッ」

      *      *      *      *

「叔母様。あそこにバイクが止まっている」
 佐緒里が前方を指差した。
「新郷さん。止めてください」
 新郷は止まっているバイクの脇に車を停止させ、美紀子は佐緒里とともに車から降りた。
「このあたりは奴等のアジトまで500mくらい・・・ ここから歩いて行ったんだわ」
 新郷と千晶も降りてきた。
「紅林さん、これ以上近づくと危険ですよ」
「危険だといっても、私たちはこのまま進みます。先に行ったみんなが心配ですから」
 その時千晶が新郷に話しかけた。
「新郷さん。隠れ家と連絡がつかないわ」
「何だって?」
 新郷は携帯を取り出して野上に電話をした。すると直ぐに野上が出た。
「あ・・ 野上さん? 新郷です。隠れ家に電話しても連絡が取れなかったので・・・ そうだったんですか。わかりました」
 美紀子が心配して新郷に聞いた。
「どうかしたんですか?」
「いえ・・ 何でもないです。隠れ家にはもう誰もいなくて、野上さんは残った部下を連れて、現在アジトの近くで待機している、石原と合流するために向かっているとのことです」
「アジト? アジトはまだ爆破していないのね」
「はい」
 美紀子はホッとした表情を見せてから、佐緒里に言った。
「佐緒里、ここからは歩いて行くわよ」
「ハイ」
 美紀子と佐緒里はアジトのある方向へと歩き始めた。
「あの人達… 怖いもの知らずなのかな」
 千晶と新郷はそう呟きながら、美紀子と佐緒里の後をついて行った。

      *      *      *      *

「ノコノコとやって来たな、小娘どもめ・・・ お前たちが来ていることは、阿修羅魔人からの知らせで、もう分かっているのだ」
 アジトの司令室では、ゼネラルダイアがモニターを見ながらほくそえんでいた。絵里香たちがアジトに向かって近づいてくる様子が、モニターに映し出されていたのだ。
「ゼネラルダイア様。阿修羅魔人様から連絡です」
 戦闘員が報告に来て、ゼネラルダイアはモニターのスイッチを切り替えた。モニターの画面が切り替わって、阿修羅魔人の姿が映し出された。
「ACAの連中を皆殺しにして、基地を爆破しました」
「よし! ご苦労だった。これでACAは壊滅した。阿修羅魔人、すぐにアジトに戻ってくるのだ。目障りなやつらがアジトに近づいている」
「かしこまりました。すぐに戻ります」
 ゼネラルダイアはACAが壊滅したことを知り、上機嫌だった。
「地下牢に閉じ込めている医者を連れてこい。こいつを餌にして目障りなやつらを片付けてやる」
 数分後、戦闘員が早苗を連れてきた。ゼネラルダイアは早苗に向かって捲し立ててから、戦闘員に命令した。
「もうすぐお前の仲間がやってくるぞ。そいつらの目の前でお前を処刑してやる。連れていけ」
「イーッ」
 戦闘員たちは早苗を連れて司令室から出て行った。

      *      *      *      *

 絵里香たちはアジトのある場所からおよそ150m離れた白樺林の中で様子を覗っていた。絵里香たちの目には一件の廃屋が見えていた。
「地図だとあの場所よ。きっとあの廃屋の地下にアジトがあるんだわ。ここから建物までは150mくらい何も遮蔽物は無し・・ か」
「それにしては、何の気配もないね・・・」
 麻美が呟いた。傍にいた紫央も同じようなことを言った。
「確かに・・・ 見張りの一人や二人がいたっておかしくないのに・・・ 」
 別の場所から廃屋を見ていた美由紀が血相を変えて駆けてきた。
「みんな大変よ! 早苗さんが」
「え?」
「早苗さんがどうしたの?」
「こっちへ来て」
 美由紀は絵里香と麻美、紫央を促して、自分と聖奈子がいた場所へ連れて行った。美由紀は廃屋の方向を指差した。そこには地面に立てた丸太に体を括りつけられ、猿轡を噛まされて晒されている早苗の姿があった。絵里香たちがいた場所からは、立木が死角になって見えていなかったのだ。

03-34-11早苗晒し刑

「早苗姉さん!」
 麻美が悲痛な声を上げ、飛び出しそうになったのを美由紀が抱きついて止めた。
「麻美ちゃん落ち着いて。焦ったら奴らの思うツボだよ」
「美由紀ちゃん放してぇ。早苗姉さんが」
 紫央と聖奈子も一緒になって麻美を押さえつけた。
「麻美落ち着いて。近づいたところをドカンとやられたら、助けられるものも助けられなくなっちゃうよ」
「紫央の言う通りだよ。やつらのことだから、おそらく周りには罠が仕掛けてあるよ。それにあたしたちがここに居ることは、奴らは既に知っているはずだよ」
 麻美はその場にペタンと座り込んだ。両目からは涙が浮かんでいる。それを見て絵里香が麻美の傍に座り、麻美は絵里香に無言で縋り付いてきた。泣くのを堪えているらしく、体が震えている。
「みんな集まって」
 絵里香は何かを思いついたのか、麻美を引き離すと、そばにいたみんなを自分の周りに集めた。
「早苗さんを助けよう。でも、まともに出て行けば、それこそ何が仕掛けてあるかわからないわ。だから・・・  ちょっとみんな、もっと近寄って」
 絵里香は小声でも伝わるように、みんなを近づけさせた。


 アジトの司令室ではゼネラルダイアが大首領の言葉を聞いていた。
「ゼネラルダイア、ACAの壊滅作戦は見事であった」
「ははっ! お褒めに預かり光栄です」
「小娘どもは私が出した偽情報に引っかかり、必ずここへ来る。その時こそ小娘どもを一網打尽にし、抹殺するのだ」
「かしこまりました。大首領様」
 ゼネラルダイアが大首領との会話を終えると、戦闘員が報告に来た。
「イーッ! ゼネラルダイア様。阿修羅魔人様から連絡が入り、地上にある建物周辺に包囲を完了したと言ってきました」
「よし。このアジトを放棄するぞ。全員ここから引き揚げるのだ」
 そばにいた戦闘員数人が敬礼し、ゼネラルダイアの指令通りに行動を開始した。ゼネラルダイアも戦闘員と共にアジトの外へ出た。
 ゼネラルダイアは、もし晒し者にした早苗が助けられた場合、絵里香たちがアジトに侵入してくることを察知して、アジトの中に巧妙な罠を仕掛けていたのだ。もしそれが失敗しても、周囲は阿修羅魔人と怪人二世軍団が多数の戦闘員とともに包囲している。いくらエンジェル戦士にミルキーピンクやセイントパープルの助太刀があっても、勝てるはずがないと踏んでいたのである。


「エンジェルチャージ!」
「クロスチェンジ!」
 絵里香たちは林の中でポーズをとって変身した。
「聖奈子、行くよ」
「オッケー」
 絵里香と聖奈子は両手を胸のブローチにあてがい、「テレポートチャージ」と叫んだ。二人の姿がその場から瞬時に消え、同時に廃屋の屋根の上にその姿が現れた。そして絵里香と聖奈子はすぐにその場に伏せた。
「成功だわ。行こう。麻美ちゃん、紫央ちゃん」
 美由紀は麻美、紫央と共に林の中から出て、小走りに廃屋に向かった。絵里香の作戦は、絵里香と聖奈子が廃屋の屋根にテレポートして待機し、美由紀と麻美と紫央が正面から廃屋に近づいて注意を引きつけている間に、絵里香と聖奈子が早苗を助け出すというものだった。
「小娘どもが出てきたぞ」
 戦闘員の一隊が、爆破スイッチの用意をした。戦闘員のそばにはネズミ魔人とイソギンチャク魔人もいた。
「よーし。助けに近づいたところを、地雷で吹っ飛ばし、ガソリンでバーベキューにしてやる」
 絵里香たちが思っていた通り、周辺には無数の地雷が仕掛けられ、さらに早苗の回りにはガソリンを含んだ爆薬がセットされていた。もし爆破スイッチが押されれば、周辺の地雷が爆発し、爆薬の爆発と同時にガソリンに火がついて、あたり一面が火の海になってしまう。しかし魔人と戦闘員たちは、屋根の上にいる絵里香と聖奈子に気づいていなかった。二人からは下の様子が丸見えで、仕掛けてある地雷の位置も大体見当がついた。
「聖奈子、美由紀たちが地雷原まで来たら飛び出すよ」
「オッケー」
「地雷原まであと20m」
「よーし。爆破準備」
 戦闘員が爆破スイッチを引き上げた。下ろせば地雷が爆発するのだ。
「地雷原に入りました」
「やれっ!」
 スイッチが入れられた。
 ドオーン!!! ドオーン!!!
 同時に複数の地雷が爆発して、爆発と同時に土が吹き上がり、美由紀たちはその場に身を竦めた。
「今だ!」
 絵里香と聖奈子は屋根から飛び降り、爆破装置を持っている戦闘員のそばに着地すると、間髪を入れずに戦闘員にキックをお見舞いし、絵里香は爆破装置を奪い取った。聖奈子は早苗のそばへ行くと、ソードと楯を出してソードを空にかざした。
「アクアトルネード」
 水のエネルギーの渦が発生して、早苗の周りに仕掛けてあった爆薬を包み込み、瞬時に氷漬けになった。そして聖奈子は早苗の猿轡を外し、縛っているロープを切った。
「おのれ小娘ども! かかれっ」
 魔人たちが煽り立て、戦闘員が一斉に襲いかかってきた。絵里香と聖奈子は襲ってくる戦闘員を片っ端から切り伏せ、美由紀と麻美、紫央もやってきて、乱戦になった。その中で麻美はイソギンチャク魔人に突進していった。
「覚悟しろ化け物。さっきの借りを返してやる」
「何を小癪な」
 イソギンチャク魔人の触手が飛んできたが、麻美はかまわず突っ込んでいく。イソギンチャク魔人の触手が伸びてきて麻美の腕と体に次々と絡みついてきた。
「今だ。クロスパワー!」
 麻美のグローブに付いている宝石が光り、同時に麻美は触手が絡んだ両手をイソギンチャク魔人に向けた。
「必殺ミルキーフラッシュ!!」
 エネルギー波が触手を伝わってイソギンチャク魔人の体内に送り込まれた。
「ビビビーっ・・・ ギエエェーッ」
 ドオォーン!!
 イソギンチャク魔人は悶絶しながら体中から火花を散らして爆発した。
「やった! ざまぁみろ。化け物め!」
 麻美の元に紫央が駆け寄ってきた。
「麻美。無茶するなよ。後ろから見ててハラハラしたぞ」
「ゴメン紫央。それより化け物はもう一匹いたはずだけど」
 麻美と紫央が見回すと、絵里香がネズミ魔人と戦っていた。絵里香はジャンプすると、ブレードをネズミ魔人に向けて振り下ろした。
「ファイヤースマッシュ!」
 バレーボール大のエネルギー球体がネズミ魔人に命中し、ネズミ魔人は爆発して吹っ飛んだ。魔人と戦闘員が全て倒され、絵里香たちは一箇所に集まってきた。早苗も聖奈子に助けられていた。麻美は瞳にいっぱい涙を溜め、ミルキーピンクの姿のまま早苗に抱きついた。そこへ美紀子が佐緒里と新郷、そして千晶を連れてやってきた。美紀子は戦士の姿をしている絵里香たちを見て戸惑う新郷に説明した。
「この子たちは人類の平和と自由を守るために、ネオ‐ブラックリリーと戦う戦士なんです」
「あなた達がうわさに聞いていたエンジェル戦士・・・ あなた達がそうだったのですか。我々ACAが探していた戦士というのはあなた達だったんですね」
「そうです。新郷さん、明戸さん。私達はこれからアジトに突入します。危険ですから、早くここから離れてください」
「危険は承知の上です。私もACAの隊員です。一緒に行きます」
「その通りだ。我々は少々の危険などは恐れない。それだけの覚悟でACAを結成したのだ」
 そう言いながら野上(阿修羅魔人が化けている)が石原と数人の部下(他の魔人が化けている)と共にあらわれた。
「野上さん」
「このアジトに大首領がいるとの情報があったので、基地を引き払って全員で来たのだ」
「分かりました。みんな、行きましょう」

 出入口付近にACAの石原と数人の部下たちを見張りとして残し、美紀子を先頭に絵里香たちと佐緒里、早苗と麻美と紫央、そしてACAの野上、新郷と千晶はアジトの入り口から侵入を開始した。そして廊下を用心しながら歩き、ついに司令室を見つけて、一斉に司令室内に突入した。
「この中に大首領クイーンリリーがいるのね」
 美由紀がそう言いながら室内を見まわしていたが、後ろにいた聖奈子が白い色をしたスクリーンのようなものを見つけた。その時、スクリーンの向こうから突然声がして、スクリーンに影が映った。

3417

「よく来たな! エンジェルスの小娘、スカーレットエンジェル、そしてミルキーピンクとセイントパープル。私がネオ‐ブラックリリーの大首領。クイーンリリーだ」
「あれがネオ‐ブラックリリーの大首領・・・ 」
「でも変だわ。ネオ‐ブラックリリーのアジトで、しかも大首領がいるのに、何の気配も無い。誰もいないっていうのはおかしいわ」
 絵里香はブレードを出して振り上げると、スクリーンを袈裟懸けに斬った。すると、真っ二つになったスクリーンの向こうには大首領の姿は無く、小型のスピーカーが置かれているだけで、声はそこから出ていたのだ。
「な、何なの、これって・・・ 」
「一体どういうこと?」
 唖然としている絵里香のそばに、聖奈子と美由紀が駆け寄ってきて、スピーカーを見据えた。その時、出入り口の扉がガシャンという音とともに閉じられ、その音に皆振り向いた。すると今まで一緒にいたはずの野上の姿が見えない。麻美と紫央が出入り口に駆け寄って扉を開けようとしたが、扉はガッチリとロックされている。美紀子は現在の状況から、自分たちが閉じ込められたと悟った。その時室内のスピーカーから野上の声が響いてきて、室内にあったモニターに野上の姿が映った。
「はーっはっはっは。馬鹿どもめ。我々が流した偽情報に引っかかって、まんまと罠にかかったな。お前たちはもうそこからは出られないのだ。このアジトはあと1分で爆発する。そのまま地下に埋もれて死んでゆけ」
「野上! これは一体何の真似だ!? 俺達をここから出せ」
 新郷は怒鳴ったが、野上は醜怪な阿修羅魔人の姿になり、新郷はそれを見て後ずさりした。
「残念だったな新郷。俺様はネオ‐ブラックリリーの阿修羅魔人だ。野上は俺様が殺した。そしてお前の仲間も皆殺しにした。ACAの組織は壊滅し、生き残っているのはお前と明戸の二人だけだ。そこにいる小娘どもと一緒に死ね。シュラララララーッ」
 スピーカーの声が途切れ、そしてモニターも消えた。
「どうしよう・・・」
「このままじゃ私たち・・ 生き埋めになって死んでしまうわ」
「みんな落ち着いて! 私たちのエネルギーを一つにして、一気に扉を粉砕するのよ」
 絵里香の一声で、絵里香たちと麻美、紫央は一箇所に集まり、自分たちの必殺技を出入口の扉めがけて放った。5人分の強烈なエネルギー波が扉を直撃し、頑丈な鋼鉄製の扉が真っ二つになって吹っ飛んだ。同時にアジトに仕掛けられた時限装置がゼロになり、セットされていた爆薬が爆発して、室内が激しく揺れた。
「キャーッ!」
「みんな早く逃げるのよ」
 みんなは一斉に室外へ出たが、再び大音響と共に爆発が起こり、司令室が紅蓮の炎に包まれた。そして火の手は廊下にまで及び、廊下を走っていたみんなの後ろから炎が追いかけてきた。
「みんな、こっちよ! 早く。基地が爆発するわ」
 やがてみんなは出入口を出て、そのまま建物の外に飛び出した。
「みんな伏せて!」
 美紀子の声でみんなは一斉にその場に身を伏せた。同時に地の底から突き上げてくるような感触と、激しい地鳴りを伴って、アジトが大爆発を起こし、それと一緒に廃屋の建物が木っ端微塵に吹っ飛んだ。爆発がおさまり、辺りが静かになって、伏せていた皆はそれぞれ立ちあがった。
「みんな、大丈夫?」
 一番先に立ち上がった美紀子は他の人たちの方を見まわしながら叫び、立ち上がったみんなはそれぞれ1箇所に集まってきた。
「危機一髪だったわね」
 美紀子は吹っ飛んでバラバラになった廃屋を見ながら言った。自分たち以外の同志を全て失い、落胆している新郷と千晶を見て、美紀子が話しかけた。
「新郷さん、明戸さん。あなたの仲間たちの仇はきっと私たちがとります。ネオ‐ブラックリリーは必ず私たちが倒します」
「紅林さん、その言葉だけで十分です。きっと野上も石原も、そして他の仲間たちも喜んでいるでしょう。それに、我々の部隊は壊滅してしまいましたが、ACAそのものが壊滅したわけではありません。我々の同志は全国に散らばっています。これからもあなた達のお役に立てるよう、協力します」
「ありがとうございます」
「そうはいかん! お前たちはここで全てくたばる運命にあるのだ。それっ! 皆のもの出でよ」
 声と共に阿修羅魔人があらわれ、それに呼応するかのように、魔人二世軍団と多数の戦闘員が姿をあらわし、周りを取り囲んだ。ネオ‐ブラックリリーの再生魔人だけでなく、かつてのクイーンリリーのエージェントも混じっている。

03-34-13怪人軍団
 
「うるさい! 化け物ども。くたばるのはてめえらだ!」
 聖奈子がいつもの男言葉で啖呵を切った。絵里香たち、そして麻美と紫央は、美紀子と早苗、新郷と千晶を庇うような態勢で円陣を組み、魔人と戦闘員に向かって敢然と身構えた。さらに佐緒里もスカーレットエンジェルJrに変身した。

「炎の戦士、エンジェルレッド!」

「水の戦士、エンジェルブルー!」

「光の戦士、エンジェルイエロー!」

「真紅の戦士、スカーレットエンジェルJr!」

「正義の戦士、ミルキーピンク!」

「正義の戦士、セイントパープル!」

ここに6人の戦士たちが勢ぞろいして並んだ。

03-34-146人の戦士たち

「小癪な小娘ども! ここがお前たちの墓場になるのだ。かかれっ。皆殺しだ!」
 阿修羅魔人の一声で、二世魔人軍団と戦闘員が奇声とともに一斉に向かってきた。
「行くわよみんな!」
「オーケー!!」
 絵里香たちエンジェルスとミルキーピンク、セイントパープルは、向かってくる魔人と戦闘員めがけてダッシュした。美紀子はその中を早苗、新郷と千晶を連れて抜け出し、林の中に逃げ込んだ。
 絵里香たち6人の戦士と、ネオ‐ブラックリリーの魔人軍団、戦闘員が入り乱れての大乱戦になった。戦闘員が奇声をあげながら次々と襲いかかってきて、絵里香たちは武器を持って戦闘員を斬り伏せていった。
 普段は妖怪相手に戦っていて、怪人との戦闘には不慣れの麻美と紫央だったが、絵里香たちとの出会いの中で培われたパワーが二人の戦い方を変えていた。
 麻美の左右から黒猫リーとミイラリーが襲いかかってきて、黒猫リーの爪とミイラリーの包帯が飛んできた。麻美は体を捻って攻撃をかわすと、空高くジャンプして空中で一回転しながらクロスパワーをかけた。そして・・
「ミルキーキック!」

03-34-15ミルキーキック

 ミイラリーに麻美のキックが炸裂し、麻美は着地と同時に黒猫リーに両手を向けた。
「必殺ミルキーフラッシュ!」
 ミルキーフラッシュが黒猫リーの体を貫き、二体の魔人は次々と爆発して吹っ飛んだ。
ピラニア魔人の火炎が紫央めがけて放たれ、クマ魔人が蛮刀で切りかかってきた。紫央は間一髪でそれらをかわすと攻撃ポーズをとった。

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「ダブルクロスカッター!」
 一撃目をピラニア魔人に、振り向きざま二発目をクマ魔人に放ち、どちらも命中と同時に強烈な閃光を発して、ピラニア魔人とクマ魔人は木っ端微塵に吹っ飛んだ。

03-34-17ファイヤートルネード

「ファイヤートルネード!」
 絵里香のブレードから必殺のファイヤートルネードが放たれて、イノシシリーとハス魔人が炎の渦に巻かれて瞬時に消滅した。聖奈子のアクアストームがキノコ魔人の身体を貫き、キノコ魔人は氷漬になって砕け散った。

03-34-18アクアストーム

「アイギスカッター!」
 聖奈子の投げた楯が回転しながら光に包まれ、アンコウリーの首を刎ねて、アンコウリーの首と胴体が爆発して吹っ飛んだ。

03-34-19ライトニングスマッシュ

 美由紀は両手にバトンを持ち、サボテンリーと三葉虫魔人の攻撃をシールドでかわしながら、左右から攻めてくる魔人に同時にライトニングスマッシュをお見舞いした。2体の魔人は閃光に包まれ、絶叫と共に消滅した。
 佐緒里はスカーレットエンジェルJrとして無限大のパワーを持っていたが、それをフルに使いこなすだけの体力が足りなかった。しかし特訓を積み、今では絵里香たちと同じように戦うことができた。佐緒里は美紀子たちを襲ってきたイカ魔人に必殺のエネルギー波を放った。

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「フリーザートルネード!」
 佐緒里の体全体から青い光の渦がイカ魔人に放たれてイカ魔人を包み込み、イカ魔人は氷漬けになって砕け散った。
 戦いが始まって10数分後には、戦闘員の数も半分に減り、再生魔人たちも5~6体にまで減っていた。
「ええい… 不甲斐ない者どもめが」
 戦いの様子を見ていた阿修羅魔人が突進してきて、二本の手にサイを持つと、奇声を上げながら高圧電流を放電させ、絵里香たちの周辺に次々と稲妻の電光が落ちてきた。
「キャーッ!」
 魔人や戦闘員と戦っていた絵里香たちは、爆発の衝撃で吹き飛ばされ、巻き添えで戦闘員も吹っ飛ばされた。いち早く態勢を立て直した麻美が、阿修羅魔人めがけてクロスカッターを放ったが、阿修羅魔人はシールドを張り巡らせて跳ね返した。
「馬鹿め。そんなものが通用するか」
 阿修羅魔人はお返しとばかりに、強力な放電弾を麻美に向けて放った。直撃は免れたものの、麻美は至近弾の衝撃で身体全体が痺れ、地面に膝をついた。美由紀と紫央が傍に駆け寄ってきた。
「麻美、大丈夫か?」
「麻美ちゃんしっかり!」
 絵里香たちも心配して駆け寄ってきたが、そこへ再び稲妻の放電弾が落下してきた。
「キャアァーッ」
「あ… あ゛ぁーっ!」
 絵里香たちは衝撃で吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「シュララララーッ。俺様は無敵なのだ。お前らごとき小娘どもに倒せるとでも思ってか」
 阿修羅魔人は勝ち誇ったようにジリジリと迫ってきた。絵里香たちは何とか立ち上がって身構えたが、放電弾の衝撃で体のしびれが残っていた。
「絵里香、こいつ相当手ごわいよ」
「聖奈子、弱音を吐いたら完全に負けだよ! 私たちには絶望の二文字はないのよ」
「そうだよ。私たちの力を一つにすれば勝てるよ。自分たち自身を信じよう」
「その通りだよ美由紀ちゃん。さっき私に言ったじゃないの。エンジェルスだけでも、私たちだけでもダメなんだって・・・  みんなの心を一つにして立ち向かえば絶対に負けないって」
 麻美と紫央もそばに駆け寄ってきた。二人とも放電弾の衝撃でフラフラになっている。そこへ阿修羅魔人が残った魔人たちと戦闘員を引き連れて、周りを囲むように近づいてきた。絵里香たち5人は(佐緒里だけは美紀子たちに襲いかかった戦闘員と戦っていて、絵里香たちとは離れていた)それぞれ背中合わせになり、円陣を組んだ。
「あの化け物の放電攻撃をまともに喰らったらひとたまりもないよ」
「どこかに突破口が有るはずだよ。放電弾はあたしの計算では、攻撃の間隔は大体5秒だよ」
 阿修羅魔人は、今度は6本の手の全てにサイを持ち、放電弾を飛ばしてきた。
「危ない! みんな散って」
 絵里香の声に、他の4人は一斉にその場から散らばった。今まで絵里香たちが固まって立っていた場所に放電弾が落下し、地面に大きな穴があいた。
「どうした小娘ども。手も足も出まい。シュララララーッ」
 阿修羅魔人は首を回転させながら、両目からレーザーを立て続けに発射してきて、絵里香たちのいる場所の近くに次々と到達して地面が爆発した。その爆発と爆風の感激をぬって、絵里香がダッシュして、ブレードで阿修羅魔人に斬りかかった。しかし鎧で跳ね返され、三つの顔と6本の腕をもつ阿修羅魔人に軽くあしらわれて、最後はキックが腹に命中し、絵里香の体はボールのように弾んで地面に叩きつけられた。そこへみんなが駆け寄ってきた。
「絵里香しっかりして」
 阿修羅魔人が口から火炎を放射してきた。絵里香たちの周辺に次々と火炎が飛んできて、絵里香たちの周りは紅蓮の炎に囲まれた。その中で苦しそうにもがく絵里香たち・・・
「シュララーッ。小娘どものバーベキューだ。みんな揃って焼け死んでしまえ」
「イヒヒヒヒーッ」
 周りでは阿修羅魔人を中心に、ほかの魔人や戦闘員たちが勝ち誇ったように奇声をあげた。

「こいつ強いよ。とても敵わない… 」
 ついに美由紀が涙声で弱音を吐いた。
「馬鹿! 何言ってんだよ」
「そうだよ。私達に絶望の二文字は無いんだよ」
 絵里香と聖奈子がそう言いながら傍にやってきた。
「トドメを指してやる。シュラララーッ」
 阿修羅魔人が放電弾を発射した。豪音と共に絵里香たちの頭上から立て続けに稲妻の光が落下してくる。もはや 絶体絶命・・・・ 
 パシイィィィーッ!!!!  ・・・・・!!!!
 何かが弾けるような音とともに、放電弾が絵里香たちに・・・ 命中しなかった。
 放電弾は絵里香たちに命中する寸前で、絵里香たちの頭上から逸れ、拡散して周囲にいた魔人や戦闘員たちに次々と降りかかって、阿修羅魔人以外の魔人と戦闘員が、みな放電弾によって爆発して吹っ飛んだ。阿修羅魔人にも放電弾が命中していて、鎧の一部分から火花が散っていた。
「な・・ 何が・・ あったの・・???」
 絵里香たちは自分の周りを見回した。今まで周りで燃えていた炎が消え、周囲を囲んでいた魔人や戦闘員がみな消滅していて、阿修羅魔人も体から火花を散らしている。そして、絵里香たちの周りには、薄い透明な膜のようなものが張り巡らされている。膜の正体はバーリアで、放電弾はその膜で跳ね返されたのだった。
「佐緒里ちゃん!」
 美由紀の声に絵里香が振り返ると、そこに体全体を眩しい光で覆った佐緒里がいた。佐緒里は絵里香たちのピンチを見て、テレポートで絵里香たちの中に入り、バーリアを張って放電弾を跳ね返してみんなを救ったのだ。佐緒里の体から光が消え、バーリアも消えた。絵里香たちは佐緒里のそばに駆け寄った。
「佐緒里ちゃん。そんな大きな技使って大丈夫なの?」
 絵里香が心配して佐緒里に聞いたが、佐緒里は体力を消耗した様子もなく、ケロッとしていた。
「うん。私だって、みんなと同じように戦えるよう特訓してたんだよ。そんな事よりあの化け物をやっつけないと」
「そうだ。あの阿修羅の化け物は!?」
 阿修羅魔人は鎧からブスブスと煙を吐き出し、火花を散らしている。絵里香は傍にいるみんなに向かって言った。
「やつは自分の放った放電弾を自分で喰らったんだわ。チャンスよ!」
 絵里香たちは誰が何を言うこともなく、一箇所に集まって身構えた。
「お・・ おのれぇ小娘ども。こうなったら自爆して道連れにしてやる」
 阿修羅魔人はすごい形相で絵里香たちに向かってきた。
「みんなの力を一つにするのよ!」
「オーケー!!」
 絵里香たちはそれぞれエネルギーを貯めると、阿修羅魔人に向けて武器の切っ先を向けた。
「トリプルエンジェルトルネード!」
「エンジェルトルネード!」
「ツインクロスカッター!」
「「アターック!!!」」
 六人の戦士たちのエネルギーがひとつになり、大きな球体となって阿修羅魔人に吸い込まれた。

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「グギャアァーッ! シュララーッ」
 阿修羅魔人は球体の中でのたうち回り、大音響とともに爆発して木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「やったぁ! 化け物の最後だ」
 絵里香たちは阿修羅魔人が爆発して消滅したのを見て、全員で抱き合って喜んだ。


 戦いが済んで辺りは静寂が戻り、絵里香たちは変身を解いた。逃げて隠れていた美紀子たちも絵里香たちのところへ駆け寄ってきた。
「みんなご苦労様。それから、麻美さんと紫央さんもありがとう」
 美紀子は絵里香たちを労い、そして自分達に協力してくれた麻美と紫央にお礼を言った。
「お礼には及びません。ネオ‐ブラックリリーは私達にとっても共通の敵なんですから。だからこれからも、何かあったら必ず協力します」
「どうもありがとう」
 美紀子は、爆発して残骸を曝け出している廃屋を眺めていた絵里香たちに声をかけた。
「みんな、帰るわよ」
「はい」
 絵里香たちは美紀子に促されるように歩き出した。そして、車とオートバイを置いてある所まで来て、麻美、紫央とそれぞれ握手し、絵里香が麻美に言った。
「麻美さん、紫央さん。本当にありがとう。あなた達がいなかったら・・・ 私達だけだったらきっとやられていたかもしれない」
「こっちこそありがとう。あなたたちと会う時って、いつもマニアックなんだけど、今度は是非普通の時に会いたいね」
 絵里香たちはそれぞれ頷いた。
「みんな乗って」
 美紀子はそう言って、美由紀、佐緒里、早苗とともに新郷の車に乗り込んだ。
「紅林さん。ペンションまでお送りします」
「ありがとう。お願いします」
 車が発進した。
「私たちも行くわよ」
 絵里香と聖奈子はそれぞれ後ろに麻美と紫央を乗せると、オートバイを発進させた。その様子を遠くから見つめている怪しい眼差しには誰も気づかなかった。
「おのれ小娘どもめ・・・ 我々にはまだまだ奥の手があるのだ。今に見ていろ」
 そう言ってゼネラルダイアはマントを翻すとその場から消えた。

      *      *      *      *

 ネオ‐ブラックリリーの作戦は、絵里香たちエンジェル戦士と、絵里香たちに協力して共同戦線を張ったミルキーピンクとセイントパープルの活躍により、再び挫折した。しかし、ネオ‐ブラックリリーがまた新たな作戦を企み、再び絵里香たちの前に立ちはだかる日は近いのである。負けるなエンジェルス!

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 次回予告
 第35話『恐怖! 重素粒子爆弾!』

 美紀子と絵里香たちは、宮代早苗の父秀龍が経営する、九州の霧島高原にあるホテルに招待される。それは近くで頻繁に起こっている失踪事件に対する、美紀子への調査の依頼だった。
 ネオ‐ブラックリリーは霧島高原にある火山のひとつ、硫黄岳にコバルト240から生成した重素粒子爆弾を仕掛け、日本中の火山を噴火させようとしていた。そして爆弾を仕掛けるための坑道を掘らせるため、近くの人たちを労働力として調達していたのである。
 脱走してきた科学者からネオ‐ブラックリリーの作戦を聞かされた絵里香たちは、美紀子とともに阻止行動に出るが、待ち伏せにあって美紀子が捕まってしまう。

 ※halka様作・正義の戦士ミルキーピンクとのコラボは今回で終了ですが、麻美の従姉の宮代早苗は、今後も時々登場してきます。次回は九州の霧島高原を舞台にして、コバルト240をめぐり、エンジェルスとネオ‐ブラックリリーとの死闘が展開されます。季節は現在初夏ですが、ストーリーは年末年始の頃を設定しています。

 次回 美少女戦隊エンジェルス第35話『恐怖! 重素粒子爆弾!』にご期待ください。

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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学