鷲尾飛鳥

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第36話『大爆発5秒前!!』

2013年 07月12日 20:14 (金)

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 第36話 大爆発5秒前!

 ネオ‐ブラックリリーは、コバルト240から精製した重素粒子爆弾を、九州の霧島連峰にある硫黄ヶ岳に仕掛け、日本全国の活火山と休火山を全て噴火させて、日本全国を火山灰と溶岩で壊滅させ、その隙に日本全土を占領。世界征服のための橋頭堡を築こうとしていた。コンピューターが硫黄ヶ岳のマグマを爆発させれば、日本全国の火山を噴火させることが出来ると弾き出したからである。
 一方、宮代早苗の父秀龍の招待で、九州に旅行に来た美紀子と絵里香たちだったが、それは付近一帯で起こっていた失踪事件に対する、秀龍から美紀子への調査依頼だった。事情を知った美紀子は秀龍の依頼を承諾。調査に入った美紀子と絵里香たちは、硫黄ヶ岳の麓に広がる地獄が原にて行動中の、ネオ‐ブラックリリー戦闘員の姿を見て、ネオ‐ブラックリリーの作戦を察知。また、ネオ‐ブラックリリーの基地から脱走してきた、原子物理学者の瀬島祐造から、作戦の内容を知らされて愕然とする。阻止行動に出た美紀子と絵里香たちだったが、瀬島博士は殺され、待ち伏せていた飛行機魔人、ゼブラ魔人、さらには大幹部ゼネラルダイア直々の登場によって、絵里香たちは苦戦。美由紀の奮戦で飛行機魔人を撃退したものの、美紀子が捕まって基地へ連行され、地下牢に拘束されてしまう。
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 坑道掘削が終わって、用済みになった奴隷たちと科学者たちも地下牢に入れられ、皆殺しにされる時が刻一刻と近づいていた。

 捕まった美紀子を助けるべく、絵里香たちは基地を探し回ったが、再度現れたゼブラ魔人によって基地への出入り口が分かる。しかしこれは、ワザと基地への入り口を教えて、エンジェルスを基地の中に誘い込むための罠だった。聖奈子は自分一人でゼブラ魔人の攻撃を引き受け、絵里香と美由紀に基地の中へ突入するよう促した。

      * * * *

「者どもかかれえっ」
 戦闘員が一斉に絵里香たちに襲いかかり、絵里香たちは変身して、戦闘員と格闘が始まった。聖奈子は戦闘員を倒しながら、絵里香と美由紀に向かって怒鳴った。
「絵里香、美由紀! ここはあたしが引き受けるから、二人で美紀子さんを助けに行って」
 言うが早いか、聖奈子はジャンプすると、ゼブラ魔人の前に着地した。
「化け物。テメエの相手はあたし一人で充分だ」
「何を小癪なぁ。八つ裂きにしてやる」
 ゼブラ魔人は剣と楯を手にして、聖奈子に斬りかかってきた。聖奈子はゼブラ魔人の剣を受け止めながら、絵里香と美由紀に向かって再び怒鳴った。
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「絵里香、美由紀。何やってんだよ! 行けッたら」
「でも、ここで聖奈子一人じゃ・・」
「早く行けーッ!!」
 絵里香と美由紀は聖奈子の怒鳴り声に反射的に体が動いたのか、二人で基地の入り口に向かって駆け出し、入り口にいた戦闘員と戦って倒すと、そのまま中へ突入していった。
残った聖奈子はジャンプすると、絵里香と美由紀が突入した出入り口の前に着地し、追いかけていこうとした戦闘員を切り伏せ、その場に仁王立ちになって、ゼブラ魔人に向かって怒鳴った。
「化け物! ここから先へは絶対に行かせねえぞ!」
「何を! ヒヒヒーン。おのれ小娘。ぶっ殺してやぁるう」

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 ゼブラ魔人は、仁王立ちになっている聖奈子と向かい合い、お互いの睨み合いが数分続いた。短気な聖奈子だったが、この時ばかりはジッと我慢していた。焦れて先に動いたのはゼブラ魔人の方だった。ゼブラ魔人は聖奈子に向かって突進してきた。
「行くぞ小娘」
「アクアスマッシュ!」
 聖奈子は突っ込んでくるゼブラ魔人に向かってエネルギー波を放った。しかしゼブラ魔人は瞬時にその場から消えた。
「エ??」
 聖奈子が戸惑っていると、突然上から奇声とともにゼブラ魔人が急降下してきた。ゼブラ魔人は俊敏な動きが取り得の怪人だったので、素早い動きが聖奈子からは消えたように見えたのだ。
「ゼブラキック!」
「キャアッ!!」
 聖奈子はキックをかわせず、まともに食ってボールのように跳ね、地面に叩きつけられた。
「ぐ・・ 」
 聖奈子が起き上がろうとしたところへ、ゼブラ魔人は素早く駆けて来て、再び蹴りを入れた。
「喰らえ小娘」
「あぐうっ・・」
 ドカッ!!
 聖奈子は蹴りの反動で後ろにあった壁に叩きつけられ、持っていたソードと楯が地面に落ちた。ゼブラ魔人は聖奈子に近づきながら息巻いた。
「どうだぁ小娘。見たか、俺様の力を。お前ごときなど俺様の敵ではなぁいのだ。なぶり殺しにしてやぁるぅ」
「じょ・・ 冗談じゃないわ。そう簡単にやられてたまるもんか!」
 聖奈子は息巻いたものの、叩きつけられたときの体の痛みで、壁にへばり付いて立っているのがやっとだった。ゼブラ魔人が聖奈子に迫ってくる。聖奈子危うし・・・・

      * * * *

 その頃基地の中に突入した絵里香と美由紀は、忘れた頃に時々襲ってくる戦闘員を倒しながら、地下牢に向かって走っていた。が、普通のアジトと違って基地の中が広すぎて、迷路のようなになっている回廊に迷い、地下牢の場所を探し出すことが出来ず、回廊を行ったり来たりして、ついに疲れて立ち止まった。そこへまた戦闘員が襲ってきた。
「イーッ!」
「イーッ」
 絵里香と美由紀は襲ってきた戦闘員と格闘して倒してから、その場で立ち止まったまま周囲を見回した。
「一体どうなってるのよ・・ 何処へ行っても同じ所に見えるよ」

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「おかしい・・ 基地にしては見張りも殆どいないし、警戒も厳重じゃないわ。もしかして、誘い込まれたんじゃ・・ 」
「絵里香ぁ・・・ 迷路みたいな廊下ばっかりで全然たどり着けないよ。もうダメ疲れたぁ・・ 一体何処へ行けばたどり着けるのよ。絵里香。私たち今、一体何処にいるの? こう広くちゃ、捜すの大変だよ」
「美由紀、何言ってるのよ。何が何でも地下牢を捜して見つけて、美紀子さんを助けなきゃ。もう時間が無いんだよ。行くよ」
 絵里香と美由紀は再び回廊を駆け出した。

 絵里香と美由紀が広い基地の中で堂々巡りをしていた頃、囚われた美紀子は地下牢の中で手足を鎖で縛られて監禁されていた。そして別の牢内には奴隷として連れてこられた人々や、用済みになった科学者達が閉じ込められていた。周りから助けを求める悲痛な声が聞こえてくる。
「このままじゃ、私は勿論・・ 閉じ込められた人たちは皆殺しにされてしまう。私はその気になれば脱出できるけど、私一人ならともかく、あれだけ大勢の人たちを助け出して脱出させるのは難しいわ」
 美紀子は全員を無事に助け出して、ここから脱出するのには、どうすればいいのか考え込んでいた。が、その時、地下牢の外を戦闘員たちがあわただしく走り回っていたのを見て、美紀子は何かを感じた。
「(奴等の動きがあわただしい・・ 絵里香たちが基地の中に入ってきたわね・・ よし。今がチャンスだわ・・ )」
 地下牢に繋がれていた美紀子は、密かに脱出の用意を始めた。手足を鎖で縛られているとはいえ、美紀子は宇宙人で、地球人には無い能力があった。つまり美紀子は地球人から見れば超人か魔術師なのである。美紀子はスティックを出すと、レーザービームで手足を縛っている鎖を焼き切り、両手両足を自由にして立ち上がった。

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「よし。脱出だ!」
 美紀子は鉄格子に向けてスティックを振り下ろした。衝撃波が頑丈な鉄格子の扉を吹き飛ばし、美紀子は廊下に出た。近くにいた戦闘員が音にビックリして集まってきた。
「あっ! スカーレットエンジェルが逃げる」
「ど、どうやって拘束を外したんだ」
「えーい逃がすな。捕まえろ」
「イーッ」
 慌てて戦闘員が数人やってきて、美紀子に襲い掛かってきたが、美紀子は襲ってきた戦闘員を全て倒し、地下牢の別の部屋を見て回った。地下牢に閉じ込められていた人たちは、美紀子の姿を見ると助けを求めてきた。
「助けてくれ。たすけてくれぇ」
「早くここから出してくれぇ」
 鉄格子の向こうから悲痛な声が聞こえてくる。
「今助けるから、後に下がってください」
 中にいた人たちは、美紀子の言う通りに地下牢の奥へと下がった。美紀子はスティックを振り下ろし、衝撃波で鉄格子の扉を吹っ飛ばした。さらに美紀子は、人が閉じ込められている他の地下牢の鉄格子の扉も全て吹っ飛ばし、解放された人たちがみな外へ出てきた。閉じ込められていた人たちは、科学者たちを含めて、全部で30人ほどいる。
「こっちです。みんなこっちへ来てください」
 美紀子は助けた人たちを、出入り口の方へと誘導した。暫く行くと階段があって、その先は出入り口になっている。幸いなことに、地下牢を脱出してから、戦闘員に見つかって襲撃される事も無く、出入り口までたどり着く事が出来た。
「みんなあそこから出てください。早く」
 解放された人たちは、我先にと階段を上がり、出入り口から外へ出て行った。ちなみにこの出入り口は、絵里香たちが入ったものとは別の出入り口だった。最後に上がって外へ出た美紀子は、出入り口の周辺に集まっていた人たちに、ある方向を指差して言った。その方向には1キロほど先だが道路が見えている。
「みんな早くここから離れてください。早く逃げて。あっちです。道路があります」
 人々は一斉にその場から道路のある方向へ向かって走り出した。美紀子は逃げた人々が基地から遠ざかっていくのを確かめてから、再び階段を降りて基地の中に戻った。
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「よし。目的は司令室だわ。きっと絵里香たちも向かっているはず・・  何としてでも奴等の作戦を阻止しなくては」
 美紀子は基地の廊下を、司令室に向かって駆けていった。回廊内を迷っていた絵里香・美由紀と違い、美紀子は囚われて基地内に連行された時、基地内のルートを全て把握していたので、迷わずに司令室へと向かっていた。

      * * * *

 一方、基地の外では聖奈子とゼブラ魔人との死闘が続いていた。というよりも、体力で劣る聖奈子の方が押されていた。聖奈子はゼブラ魔人の蹴りを喰って壁に叩きつけられ、そこへ武器を手にしたゼブラ魔人が迫ってきた。聖奈子は壁に背中を貼り付けた恰好でゼブラ魔人を見据えた。反撃の機会を窺っていたのだ。
「小娘。いよいよ最後だな。止めを刺してやる」
「(く・・ このままじゃ、やられる・・ )」
 聖奈子は絵里香と美由紀を基地へ突入させた事を後悔したが、今となってはもう遅かった。ゼブラ魔人は剣の切っ先を聖奈子に向けながら、ジリジリと近づいてくる。
「とどめだ! 喰らえっ」
 ゼブラ魔人は剣の切っ先を聖奈子に向けると、そのまま突いてきた。聖奈子は紙一重で避け、剣は聖奈子の後にあった壁を突き破った。
「今だ!!」
 聖奈子はゼブラ魔人の腹めがけて、思いっきり蹴りをぶち込んだ。
「ヒヒーヒーッ!」
 ゼブラ魔人は蹴りの反動で飛ばされ、そのまま倒れて尻餅をついた。
「ざまぁみろ化け物。あたしはそう簡単にはやられねぇぞ」
「おのれ。死に損ないめ! 八つ裂きにしてやる」
 ゼブラ魔人は素早く立ち上がると、突進の体勢をとった。
「アクアスマッシュ!」
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 聖奈子は間髪をいれず、スマッシュを放った。ゼブラ魔人は反射的に後ろに退いたが、スマッシュはゼブラ魔人の手前の地面で炸裂し、爆風で瓦礫の破片や土埃が次々とゼブラ魔人に降りかかってきた。聖奈子は目くらましと煙幕代わりにするため、スマッシュをワザとゼブラ魔人の手前に外したのだ。その間に聖奈子は落としていたソードと楯を拾い、その場から離れた。
「ヒヒヒーン。おのれ小娘。小ざかしい真似をしおって」
 土埃が晴れて、ゼブラ魔人が態勢を立て直したときには、聖奈子は少し離れた場所まで行っていて、そこでゼブラ魔人に向かって身構えていた。
「来い! 化け物。あたしは絶対に、てめえなんかに負けねえぞ!」
「何を小癪な・・ ぶっ殺してやる」
 頭に血が上ったゼブラ魔人は、凄い形相で聖奈子に向かってきた。剣を振り上げて斬りかかってくるのを聖奈子は楯で防ぎ、ソードで斬りかかる。ゼブラ魔人が楯で防ぐ。そんな事が何度と繰り返され、体力で劣る聖奈子の方が先に肩で息をし始めた。ゼブラ魔人はそれを見逃さなかった。
ゼブラ魔人の剣が振り下ろされ、聖奈子は楯で受け止めた。そこへゼブラ魔人は蹴りをお見舞いしてきた。
「はぐうっ」
 聖奈子の体がボールのように弾み、地面を一回転して転がった。そこへゼブラ魔人が剣を振り上げて突いてきた。聖奈子は地面を転がって間一髪で剣をかわし、今まで聖奈子がいた場所の地面に剣が思いっきり突き刺さって抜けなくなった。
「ぐ・・ しまった・・ ぬ・・ 抜けん・・」
「しめた!」
 聖奈子は素早く起き上がると、ゼブラ魔人に突進して飛び蹴りを食わした。
「グアーッ」
 ゼブラ魔人は不意を突かれて剣を手から離し、地面を転がった。
「クソーッ! おのれ小娘」
「ハァハァハァ・・・」
 聖奈子は荒い息遣いをしながらも、ゼブラ魔人に向かって身構えた。

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「アクアトルネード!!」
 聖奈子はソードを空高く掲げ、ゼブラ魔人めがけて振り下ろした。エネルギー波が渦を巻いてゼブラ魔人に向かっていき、ゼブラ魔人は避ける間もなく、エネルギー波に包み込まれた。
「グアァーッ!! ヒヒヒヒーン」
 ゼブラ魔人の身体がガチガチの氷漬けになり、次いで大爆発して木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「や・・ やった・・ ハァハァ・・ 化け物め。これでジ・エンドだぜ」
 聖奈子はソードと楯を収納し、ゼブラ魔人が吹っ飛んだ方向を見つめた。しかし聖奈子自身も体力を消耗してしまい、その場に膝をついてから、地べたにペタンと座り込んでしまった。

      * * * *

「ゼネラルダイア様。小娘どもが基地内に侵入して、うろつき回っています」
 戦闘員がテレビカメラのモニターに時々映ってくる絵里香たちを見て、ゼネラルダイアに報告したが、ゼネラルダイアは平然と言った。
「放っておけ。どうせこの基地は放棄するのだ」
 ネオ‐ブラックリリーの基地の司令室では、既に絵里香たちの進入に気付いていたが、絵里香と美由紀は基地の広さと、迷路のような回廊に翻弄され、地下牢どころか、司令室や重素粒子爆弾を設置中の坑道を見つける事が出来ないでいた。司令室のゼネラルダイアは、回廊を駆け回っている絵里香と美由紀を、モニター越しに見ながら余裕綽々だった。
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「ふんっ! ここまで来られるものなら来てみろ。もはや小娘の一人や二人が侵入したところで、どうってことは無い。かえって好都合だ。重素粒子爆弾が爆発すれば、ここを中心とした半径10キロ以内は、マグマと溶岩に焼き尽くされ、全てのものが消え去って何も残らない。そしてそれに続いて日本全国の火山が噴火して、日本全国は火山灰に覆い尽くされるのだ」
 ゼネラルダイアは戦闘員に向かって言った。
「重素粒子爆弾の設置状況はどうなっている」
「イーッ。既に爆破地点まで運び終えていて、設置完了まであと少しです」
「飛行機魔人の再改造は?」
「ハッ。こちらの方もあと少しで完了とのことです」
 そこへ司令室の通信機に通信が入り、戦闘員が代わる代わるゼネラルダイアの傍にやってきて報告した。
「イーッ。ゼネラルダイア様。重素粒子爆弾の設置が完了しました」
「イーッ。飛行機魔人の再改造も終了です」
「そうか。よし! この基地を放棄する。全員に伝えるのだ。直ちに撤収!!」
「イーッ。かしこまりました」
 指令室内では、戦闘員たちが慌しく動き始めた。
「見ていろ小娘ども・・・ そしてスカーレットエンジェル。我々には“とっておきの切り札”があるのだ。今度こそ地獄の底をなめさせてやる」
 ゼネラルダイアはそう言うと、踵を返して出入り口の方へ向かって歩き出した。そこへ別の戦闘員が慌しく司令室に駆け込んできた。
「大変です。地下牢に拘束していたスカーレットエンジェルが脱走しました。この司令室に向かってきています」
「何だと!?」
 同時に戦闘員と格闘しながら美紀子が司令室に乗り込んできて、ゼネラルダイアにスティックの先を向けて威嚇した。
「ゼネラルダイア! お前の野望もこれで終わりよ!」
「おのれスカーレットエンジェル! なぜ脱出できたのだ」
 美紀子はスティックをゼネラルダイアに向けながら言った。
「ゼネラルダイア。私の力を見くびっていたようね。たとえスカーレットエンジェルへの変身能力がなくても、私は地球人には無い能力があるのよ!」
「お、おのれぇ ものどもかかれっ 殺せ!」
 ゼネラルダイアの命令で、近くにいた戦闘員が一斉に美紀子に襲いかかったが次々と倒され、美紀子はスティックの先端をゼネラルダイアに向けた。
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「覚悟しなさい! ゼネラルダイア!」
「ええいっ! 小癪な!!」
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 ゼネラルダイアは電光剣を抜くと美紀子に切っ先を向けて威嚇した。美紀子もスティックをゼネラルダイアに向けた。だがゼネラルダイアは落ち着いた口調で美紀子に言った。
「スカーレットエンジェル。ここまで来たのに残念だったな。この基地は既に放棄した。間もなく重素粒子爆弾の起爆スイッチが入り、地下のマグマが大爆発して、ここから半径10キロ以内はマグマと溶岩に焼き尽くされて、全て消滅するのだ。そして日本全国の火山が噴火し、日本全土は溶岩と火山灰で壊滅する」
「何ですって!? 私とエンジェルスがいる限り、そんな事はさせないわ!」
「ふん! 空威張りはよせ。行くぞ! スカーレットエンジェル!!」
 ゼネラルダイアはダッシュすると、電光剣を美紀子に向けて振り下ろした。放電弾がバチバチと飛び散り、美紀子の周辺で爆発したが、美紀子はスティックを円形に振り、自分の周りをシールドで覆って放電弾を跳ね返した。そしてゼネラルダイアに向かって突進し、そのまま回し蹴りを喰わせた。ゼネラルダイアは左腕で蹴りを受けとめ、電光剣で美紀子に斬りかかった。美紀子は咄嗟にスティックを剣に変えて受け止め、ゼネラルダイアの腹めがけて蹴りを入れた。
「グゥッ・・・」
 ゼネラルダイアは呻き声を上げて後退りし、そのまま踵を返して司令室の外へと逃げ出した。
「待て! ゼネラルダイア!」
 美紀子は後を追ったが、逃げたゼネラルダイアと入れ替わりに、戦闘員がやってきて美紀子を阻み、襲い掛かってきた。美紀子が戦闘員を倒したときには、既にゼネラルダイアの姿はなかった。
「逃がしてしまったか・・・ 」

 その時、絵里香と美由紀が司令室に入ってきた。回廊を走りに走って、ようやく司令室までたどり着いたのだ。
「美紀子さん」
「あなたたち・・ 」
「無事だったんですか? よかったぁ」
「聖奈子はどうしたの?」
「外でシマウマの化け物と戦っています」
「分かった。それじゃ、まず外にいる聖奈子を助けるのが先よ。奴等はこの基地を放棄したわ。早くここから出るのよ」
「分かりました」
 絵里香と美由紀は、美紀子に誘導されて基地の外に出た。出た場所は絵里香と美由紀が入ったのとは違う場所だったので、外へ出た絵里香たちは、自分たちが入った場所へと駆けていき、出入り口から少し離れた場所で座り込んでいる聖奈子を見つけた。
「あ。絵里香、あそこにいるわ」
 美由紀が聖奈子を指差して絵里香に言った。
「聖奈子! 聖奈子」
 絵里香の声が聞こえて、聖奈子は声のした方を向き、そこへ絵里香と美由紀が駆け寄ってきて、聖奈子はゆっくりと立ち上がった。やや遅れて美紀子も来た。
「聖奈子、化け物は?」
「やっつけたわ」
「よし! みんな。また基地の中へ突入するわよ。坑道に重素粒子爆弾が仕掛けられているのよ。急がないと」
「分かりました」
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 絵里香たちは美紀子とともに再び基地内に突入した。
「坑道はこっちよ」
 最初入ったときには迷路のような回廊に迷った絵里香と美由紀だったが、今度は美紀子の案内で簡単に坑道の入り口まで到達できた。
「この奥に重素粒子爆弾が仕掛けられているわ」
「聖奈子、美由紀、行くよ」
「オーケー」
 絵里香たちは美紀子とともに坑道の奥へと進んでいった。
「何だか凄くジメジメする・・ 」
「温度も高くなっているわ」
 坑道内は次第に温度と湿度が上がってきた。硫黄ヶ岳の地下のマグマが近いのだ。やがて坑道の行き止まりが見えてきて、そこに置かれている物体が目に付いた。
「あれだ!」
 絵里香たちは置かれている物体を囲むように、物体の周りに立った。物体は縦横と高さが1mほどの金属製の立方体で、その傍らには時限装置が接続されていた。
「みんな退いて」
 美紀子は絵里香たちを下がらせると、時限装置の傍に座り、手に取って眺めると、ケーブルの接続状態を念入りに見た。
「おかしい・・・ 」
「美紀子さん。何か分かりましたか?」
「ちょっと静かにしていて」
 美紀子は物体に目を向け、周りを見回して、上の部分に開閉出来る蓋を見つけた。
「開けられる・・・ 」
 美紀子は蓋に手をかけ、持ち上げたが蓋が重い。見ていた絵里香たちが美紀子を手伝い、蓋を開けた。
「これは・・ !!??」
「爆弾なんか入っていないわ。一体どういう事なの!?」
 中に入っていたのは爆弾ではなく、一台のテープレコーダーだった。レコーダーが作動し、ゼネラルダイアの声が聞こえてきた。
「ここまでご苦労だったな小娘ども。そしてスカーレットエンジェル。まことに残念だが、ここには爆弾は仕掛けられていないのだ。この放送が終わると同時に、坑道は埋め尽くされ、お前達はここで全員死ぬのだ。ハーッハッハッハッハ。さらばだ」
 ドドドド・・
 声が止まると同時に、地響きと地鳴りが発生し、坑道内が激しく揺れた。
「キャーッ!」
「みんな! 早くここから逃げるのよ」
 美紀子が怒鳴ると同時に、絵里香たちは一斉にその場から駆け出した。揺れはさらに激しくなり、みんなは立っていられなくなった。そして天井からは石が次々と落ちてきた。聖奈子は何かを思いついたのか、ソードと楯を出すと、みんなの先頭に踊り出た。
「聖奈子、何する気なの!?」
「一か八か・・ アクアトルネード!!」
 エネルギー波が渦を巻いて坑道内を駆け巡り、次いで坑道の壁と天井がガチガチに凍り付いて、揺れが少し小さくなった。
「何とかなったわ・・ みんな早く! もたもたしてると、すぐに崩れだすわ」
 美紀子と絵里香たちは、氷漬けになった坑道内を駆け抜けた。そして坑道を出て基地の回廊にたどり着くと同時に、再び激しい揺れとともに坑道が崩れて埋め尽くされた。
「ふーっ・・・ 危機一髪・・ 」
「あと少し出てくるのが遅かったら、みんな生き埋めになってたわ」
 絵里香たちはホッとして一息ついた、と同時にレーザービームが絵里香たちに向かってきた。
「危ない!」
 真っ先に気付いた聖奈子が楯を向け、レーザービームを跳ね返した。
「ブルルルーッ。悪運の強い奴等だ」
 大きな声とともに飛行機魔人が姿を現した。
「出たわね。化け物」
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「小娘ども。俺様がお前たちの地獄の道先案内人だ」
 聖奈子が飛行機魔人に向かって怒鳴った。
「おい化け物! こんな所で、もたもたしてていいのか!? 爆弾が爆発すれば、お前もここで死ぬんだぞ」
「そんな事構わぬ。俺様はネオ‐ブラックリリーのために、ここでお前達を道連れにするのだ」
「そうはいくか! あたしたちは絶対に負けない!!」
 聖奈子は飛行機魔人に向かって突進し、絵里香と美由紀も後に続いた。
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「イーッ」
「イーッ」
 戦闘員が割り込むように現れ、絵里香たちと格闘になった。その隙に飛行機魔人は逃げ出した。
「待て! 化け物」
 戦闘員を倒した絵里香たちは、逃げる飛行機魔人を追って基地の外へ出た。


 外へ出た絵里香たちは、周囲を見回した。飛行機魔人の姿は何処にも無い
「化け物め・・ 何処へ行ったんだ」
 聖奈子が呟いていると、上空からキィーンという音とともに、ロケット弾が立て続けに飛んできて、絵里香たちの周囲に落下して爆発した。
「上よ! 空から攻撃してくるわ」
 最後に外へ出た美紀子が叫んだ。絵里香たちは爆発の間を駆け抜け、大きな岩の陰に身を隠した。飛行機魔人は着地すると、絵里香たちに向かって息巻いた。
「ブルルルーッ。隠れても無駄だ。者ども出よ」
「イーッ」
「イーッ」
 奇声とともに戦闘員が姿を現し、絵里香たちの周囲を囲んだ。
「かかれえっ。皆殺しだ」
「聖奈子、美由紀。行くよ!!」
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「オッケー!」
「オーケー」
 襲ってくる戦闘員に向かって、絵里香たちは一斉に駆け出し、戦闘員との間で乱戦になった。

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 戦闘員たちは次々と倒されていったが、肝心要の重素粒子爆弾の在り処が分からない。絵里香は組み付いてきた戦闘員を羽交い絞めにした。
「言いなさい! 爆弾は何処にあるの!?」
「し・・ 知らん・・」
 ドスッ!!
「イィーッ」
 戦闘員は後ろから背中をナイフで刺されて絶命した。そして飛行機魔人が絵里香に襲いかかってきて、絵里香に組み付いてきた。絵里香と飛行機魔人はもつれ合いながら斜面を転がった。そして絵里香のキックが炸裂し、飛行機魔人は反動で地面に叩きつけられた。絵里香はジャンプして離れた場所に着地すると、飛行機魔人に向かって身構えた。
「ファイヤー・・!」
「撃てるものなら撃ってみろ!」
 飛行機魔人の声に、絵里香は反射的にスマッシュの発射を止めた。飛行機魔人は仁王立ちの態勢で、絵里香に向かって捲くし立てた。
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「重素粒子爆弾の在り処を知りたくはないのか!?」
「知りたいわ!!」
「ならば教えてやる。小娘! お前の目の前だ」
「エ!?」
 絵里香は一瞬戸惑ったが、飛行機魔人の言わんとすることをすぐに悟った。
「まさか・・ 」
「そのまさかだ! 俺様の体内には時限装置付きの重素粒子爆弾が内蔵されているのだ。お前たちが俺様を倒せば、時限装置に関係なく、俺様の死とともに爆弾が爆発するのだ。さあこい! 俺様と戦って倒してみろ。ブルルルルーッ」
 そう言いながら飛行機魔人は、翼を出すと、プロペラをフル回転させて飛ばしてきた。プロペラは高速回転しながら絵里香に向かってきた。
「ライトニングスマッシュ!!」
 戦闘員を倒して駆けつけてきた美由紀がエネルギー波を放ち、プロペラを吹っ飛ばした。さらに聖奈子と美紀子もやってきて、聖奈子はソードを飛行機魔人に向けた。
「ダメ!! 聖奈子待って」
「なぜ止めるの、絵里香」
「あいつを倒せば、重素粒子爆弾が爆発するわよ」
「ち、ちょっとそれどういう事よ」
「重素粒子爆弾は、あいつの体内にあるのよ」
「ええっ!?」
 絵里香の言葉に、傍にいたみんなが驚きの声を上げた。
「ブルルルーッ。これでも喰らえ」
 飛行機魔人はもう一つのプロペラを回転させて、絵里香たちに向けて飛ばしてきた。
「危ないみんな! 散って」
 美紀子が叫んで、絵里香たちは反射的にその場から散った。そこへプロペラが飛んできて地面に激突し、爆発した。絵里香たちは再び一箇所に集まってきた。
「美紀子さん、どうしよう・・ やつを倒せば私たちも巻き添えを食ってしまうわ」
 4人が集まっているところへ、飛行機魔人が近づいてきた。
「ブルルルーッ。間もなく爆発の時間だ。みんなまとめて地獄へ送ってやる。ここで爆発しても、硫黄ヶ岳のマグマを噴出させる事が出来るのだ。そしてここを中心に、10キロ四方は全て消滅する」
「そうはさせないわ!」
 聖奈子は飛行機魔人に向かってポーズをとると、そのまま飛行機魔人に突進し、飛行機魔人に抱きついた。
「ブルルーッ。放せ!」
「放すもんか!! てめえなんかに勝手な真似はさせねえ!!」
 飛行機魔人は飛び上がると、身体を高速回転させて、抱きついている聖奈子を振り落とそうとしたが、聖奈子は抱きついたまま叫んだ。
「エンジェルミラクルチャージアップ!」
 聖奈子の身体全体が青色に輝き、胸のブローチが強烈な光を放った。
「グアァーッ!! ブルルルルーッ!!」
 飛行機魔人の体全体が水の粒子に覆われ、強烈な光とともに氷の塊となって地上に落下してきて、地面に激突して突き刺さった。そして数秒後・・・ 氷の塊が砕け散って、バラバラと地面に落下してきた。まぶしい閃光を発していた青い光が消えるとともに、聖奈子が姿を現した。聖奈子は特殊能力を使ったためにエネルギーが無くなって変身が解けたのだ。
「聖奈子!」
 絵里香と美由紀は変身を解くと、聖奈子に向かって駆け出し、二人同時に聖奈子に抱きついた。続いて美紀子も傍に駆け寄ってきた。三人が抱き合っているすぐ後ろに、飛行機魔人に取り付けられていた重素粒子爆弾があった。美紀子は絵里香たちを尻目に、爆弾のそばへ行き、気付いた絵里香たちも爆弾の傍に集まってきた。爆弾の本体は飛行機魔人が氷漬けになった影響で、時限装置は機能を完全に停止し、爆発の5秒前で止まっていた。
「みんな下がって!」
 美紀子は何処から持ってきたのか、ガイガーカウンターを爆弾に近づけた。爆弾の本体は特殊な物質で覆われているらしく、放射能の反応は出なかった。美紀子は一つため息をついてから言った。
「危機一髪だったわ・・・ 爆発していれば大惨事になるところだったわ」
「しかし恐ろしい連中だわ。こんなものまで作って世界征服を企んでいるなんて… 」
「でも、これどうするの?」
「私が預かるわ。爆弾そのものは起爆装置を分解してしまえば安全よ」
 美紀子はスティックを出すと、爆弾に向けた。すると爆弾が光の粒子になり、スティックに吸い込まれた。
既に日が沈みかけていた。絵里香たちは戦いが終わって静かになった地獄が原で、夕日を背にして並んで立っていた。

      *     *     *     *

 翌日・・・
「みんな昨日はご苦労様。旅行の日程はまだあるから、ゆっくり楽しみましょう」
 絵里香たちは美紀子とともに、昨日戦いがあった地獄が原の駐車場にいた。

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「絵里香、行こう!」
 そう言いながら聖奈子と美由紀がさっさと走り出した。絵里香もそれにつられて、二人を追いかけるように走り出した。


      *     *     *     *


 ネオ‐ブラックリリーの日本壊滅作戦は、エンジェルスによって阻止された。だが、ネオ‐ブラックリリーはまた、世界征服のための新たな作戦を練っているのだ。負けるな! エンジェルス!

 (つづく)



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 次回予告
 第37話『氷上の戦い』
 
 ネオ‐ブラックリリーは優れた怪人や戦闘員を作り出すために、学生スポーツ選手の誘拐作戦を展開。次々とスポーツ選手が誘拐されて失踪する。そして美由紀の友人で、フィギュアスケート選手の浅倉真帆も誘拐され、アマリリス魔人に改造されて、絵里香たちにその刃を向けてくる。アマリリス魔人の正体が自分の友人だと知った美由紀は、戦う事が出来ない。エンジェルスはネオ‐ブラックリリーの野望を打ち砕く事が出来るのか・・・

 次回 美少女戦隊エンジェルス第37話『氷上の戦い』にご期待ください。

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