鷲尾飛鳥

10月 « 2017年11月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  » 12月

第16話『化石魔人を倒せ! 』

2012年 07月07日 22:08 (土)

02-16-00.png

 夏休みになり、明峰学園高校のバトン部員たちは、夏合宿で天間村に来ていた。学校の付属施設が抽選で外れてしまったために使う事が出来ず、美紀子のはからいで、美紀子がオーナーをしているペンションを格安の宿泊費で提供してもらったのである。合宿の宿舎が使えて喜ぶ部員たちだったが、ネオ‐ブラックリリーの魔手は、そんな所までにも迫っていた。
 ネオ‐ブラックリリーは博物館から盗み出した古代生物の化石を使って改造魔人を作りだし、日本制圧のための大規模な基地を建設するため、天間村に来ていたのだ。絵里香たちが天間村にいる事を知ったゼネラルダイアとドクターマンドラは、秘密を知られる事を恐れて基地の建設を一時中止。三葉虫魔人を差し向け、エンジェルスに挑戦してきた。
 三葉虫魔人の攻撃の前に、絵里香たちは三人ともやられて石化してしまい、彫刻のようになった状態で放置された。エンジェルスの脅威が無くなったと判断したゼネラルダイアは、自ら陣頭にたって出動し、美紀子を始末するためにペンションを襲撃して、居合せたバトン部の部員たちとサブ顧問の園子を人質にした。が、美紀子と詩織は買い出しに行っていて留守であり、佐緒里は絵里香たちを捜しに行って留守だったために難を逃れた。さらに部員の一人である朋美は、ペンションが襲われた時、部屋にいたために襲撃を免れて、隙を見て逃げる事が出来た。そして逃げている途中で道に迷ったが、美紀子に連絡するために戻る途中だった佐緒里と会い、佐緒里と一緒に安全な場所まで逃げる事が出来た。
 佐緒里からの電話でネオ‐ブラックリリーの事を知った美紀子は、まず佐緒里と朋美が待っている場所へ急行して二人を保護。佐緒里と朋美の話から絵里香たちの事と、ペンションでの状況を知った美紀子は、ネオ‐ブラックリリーに気付かれないよう、裏側から廻り込んで、彫刻のような姿になった絵里香たちを見つけ、助ける方法を考えていた。
「石のようになっているのは表面だけのようだわ。この石を分析すれば助ける方法がわかるかもしれない」

02-16-01.png

02-16-02.png


      *        *        *        *

 ゴロゴロゴロゴロ
 遠くで雷鳴がとどろき、少し間をおいて再び響いてきて、段々自分達の方へと近付いてくる気配だった。
「夕立が来るわね。ここにいては危ない。川の水が増水するかもしれないわ」
「でも叔母様… 絵里香さんたちを放っておけないよ」
 その時美紀子の携帯が鳴った
「はいもしもし… 詩織? どうしたの?」
『美紀子、空が真っ暗だよ。危ないから一旦戻ってきた方がいいよ』
「分かった… それでメールは?」
『まだ来てないって』
「分かった。すぐ戻るから」
 美紀子が電話を切ると同時に、近くに雷が落ちた。激しい音と振動で二人ともその場に蹲った。
「佐緒里、危ないから一旦戻るわよ!」
「はい叔母様」
 美紀子と佐緒里は車に戻るため、足早にその場を去った。やがて大粒の雨がポツリポツリと落ちてきた。

      *       *       *       *

「ええい! スカーレットエンジェルはまだ戻ってこないのか! 戦闘員からは何の連絡も入っていないのか!?」
「ハイ! 何もありません」
 焦れたゼネラルダイアは目の前にあるテーブルを蹴っ飛ばした。驚いた戦闘員たちが、静かにリビングを出ていった。やがて雨が本降りになり、バケツをひっくり返したような激しい降りになった。外で待機していた三葉虫魔人と戦闘員たちも、慌てて屋根の下に逃げてきた。三葉虫魔人は戦闘力は高かったが、実は意外な弱点があった。それは水に弱いという事だった。通常ならば硬い体は大砲の砲弾でさえも跳ね返すほど強靭なのだが、ひとたび水を被ると湿気のために体が柔らかくなり、脆くなってしまうのだった。これは化石から作られたということが最大の原因で、アンモナイト魔人にも同様の事が言えた。
 ペンションの中では、サブ顧問の園子と部員達がネオ‐ブラックリリーの戦闘員達の監視下で、3~4人ずつに分けて部屋に閉じ込められ、外回りは誰も逃げられないように、三葉虫魔人が戦闘員たちを配置して厳重に包囲していた。そして一階のリビングでは、ゼネラルダイアが美紀子の帰りを今か今かと待ち構えていた。

02-16-03.png

「スカーレットエンジェル、早く戻って来い。これだけの人質の前では手が出せまい。ここに戻ってきたときがお前の最後なのだ。ワーッハッハッハッハ」
 だが、ゼネラルダイアは肝心な事を見逃していた。捕らえて人質にした部員たちの数を正確に調べず、一人だけ部屋にいた朋美が脱出していた事に気付いていなかったのだ。さらにその朋美が孝子とメールのやりとりをしていた事にも気付いておらず、ペンション内部の状況が美紀子に筒抜けになっていたのだ。

      *       *       *       *

 その頃美紀子は佐緒里と一緒に車に戻っていた。車の屋根にはバタバタと叩きつけるような雨があたっていた。そして時々響く雷鳴に、みんなビクッとした。
「美紀子、絵里香たちはどうだったの?」
 詩織が心配そうに美紀子に聞いた。
「今の所は何とも言えない。もうすぐ雨が上がりそうだから、そうしたらまた行くわ」
 既に西の空は明るくなっていて、上空の雲も途切れ途切れになり、時折雲の間から日がさしてきていた。その時朋美の携帯に着信音が入ってきた。
「メールが来たわ」
「見せて!」
 美紀子は朋美から携帯を受け取ると画面を見た。
「なるほど… ペンションの中では3~4人ずつに分けて部屋に閉じ込められているのね。そして軍服のようなものを着たやつが一人いて、その他には10人くらいの得体の知れない集団… 怪物は建物の外… か。ありがとう。竹内さん、携帯を返すわ」
 美紀子は朋美に携帯を返すと、朋美に向かって言った。
「またメールを送って。そうね… 必ず助けに行くから、それまで我慢して待っててって」
「あの… どうやって助けるんですか? オーナーって一体何者なんですか?」
 そこへ詩織が口を挟んできた。
「竹内さん、今はあれこれ詮索しないで。まあ… しいて言えば正義の味方ってところだね。とにかく、美紀子に 任せておけば絶対大丈夫だから安心して。ほら早くメールを送って」
「分かりました」
 朋美は詩織の説明に納得していなかったが、言われるままにメールを送った。送信が終わったところで雨が小降りになり、西の方から青空が広がってきた。
「よし!」
 美紀子は車から降りると、詩織を呼んだ。
「詩織、あなたは竹内さんを乗せて、この車を運転してペンションの近くまで行って。出来るだけやつらに気づかれないようにするのよ。危ないと思ったらすぐに逃げて。私は佐緒里を連れて、さっき行った道からペンションに近付くから」
「分かった」
 詩織は運転席に座ってアクセルを踏み、車を発進させた。美紀子と佐緒里はさっき歩いていった道に入り、宮代川に向かった。
「叔母様、絵里香さんたちどうなっているかしら」
「分からない… とにかく助ける方法を考えないと。私たちだけではやつらには対抗出来ないわ。何としてでもあの子たちを元に戻さないと」
 美紀子と佐緒里はぬかるみに足を取られながら、何とか宮代川までたどり着き、河の脇の道を上流へ向かって進んだ。しばらく行くと人の呻き声が聞こえ、二人はその場で立ち止まった。
「何かしら叔母様… 」
「行ってみましょう!」
 そのまま歩いていくと、道端で男の人が倒れて呻き声をあげていた。それを見て佐緒里はビックリした。さっきまで彫刻のようになって立っていた猟師の人だったからだ。美紀子は足早に駆けより、その人の傍に行った。周りを見ると、石の欠片のようなものが散らばっていて、その人が持っていた鉄砲も傍に落ちていた。美紀子は石の欠片を見て何かを感じたのか、佐緒里に向かって言った。
「佐緒里、すぐに絵里香たちのところへ行ってみて。もしかすると、この人と同じようになっているかもしれないわ」
「はい叔母様」
 佐緒里が走っていった後で、美紀子は倒れていた男の人を抱き起こした。
「大丈夫ですか?」
 男は美紀子の腕を振り払うように、自分の力で起き上がった。
「ああすまんな… しかしひでぇもんだぜ。熊かと思ったら怪物が出てきやがって、いきなり泡を吹きかけてきたんだ。その後はもう何にも覚えてねぇよ。気がついたらここでこうやって横になってたんだよ。一体何だってんだよ… どっこいしょっと!」
 そう言いながら男は立ち上がり、落ちていた鉄砲を拾った。そして一回体を伸ばすと、何にも無かったように歩き出した。
「あの… 本当に大丈夫なんですか?」
 美紀子は心配して聞いたが、男は振り向いて右手を上げると、そのまま下流の方へ歩いていった。美紀子は今度は佐緒里が走っていった方向を見た。すると佐緒里の声が聞こえてきた。
「叔母様! 早く来て」
 美紀子は佐緒里がいる方へ向かって駆け出した。すると佐緒里が大きく手を振って合図をしながら美紀子に向かって大きな声を出した。
「叔母様。こっちです」
 美紀子が佐緒里のそばまで行くと、佐緒里の傍らには絵里香たち三人が元の姿に戻った状態で座っていた。絵里香たちのまわりにも、石の欠片が大量に散らばっていた。絵里香たちはしばらくの間、ボーっとした状態だったが、美紀子がやってきてようやく正気に戻って立ち上がった。
「美紀子さん」
「みんな大丈夫!? 助かって何よりだわ」
「私たちは大丈夫です。気が付いたら水浸しになった土の上に横になっていて、佐緒里ちゃんが来て助けてくれたんです」
「そう言えば… あっちの方で男の人が彫刻になっていたんだけど」
「その人なら大丈夫。あなたたちと同じように元に戻って、そのまま一人で歩いていったわ」

02-16-04.png

「しかし… ひどい目に遭ったわ」
「そうよ! あの怪物・・ 今度あったら必ずやっつけてやる」
 美紀子は絵里香たちが三人ともエンジェル戦士の姿のままだったのを見て、絵里香たちに言った。
「そんな事より、あなたたち早く変身を解いて。このままじゃエネルギーを消耗してしまうわよ」
「あ! いけない。聖奈子、美由紀、変身を解いて」
 絵里香たちはチャージアウトと言って、すぐに変身を解いた。
「叔母様、人質になっている人たちを早く助けないと」
 佐緒里がそう言ったのを聞き、絵里香は美紀子に聞いた。
「人質って何ですか? 美紀子さん」
「ペンションがネオ‐ブラックリリーに占領されて、中にいた人たちがみんな捕まっているのよ。助かったのは買い出しに行っていた私と詩織。それと… ここにいる佐緒里と、一人だけ部屋にいた竹内さんだけよ。竹内さんが中にいる友達とメールのやり取りをして、中の様子は大体分かっているの。今度は私たちが反撃する番よ」
「だったらすぐに行こうよ! このままだと日が暮れてしまうわ」
「慌てないで。みんな、そばに来て」
 美紀子は絵里香たちと佐緒里を自分の傍に寄せた。
「ペンションの中には大幹部のゼネラルダイアがいるわ。そしてペンションのまわりでは、怪物が私たちを待ち伏せしている。まともに向かって行ったら、中に閉じ込められている人たちが危ないわ。まず私がペンションの中にいるゼネラルダイアと怪物を外へ誘い出すから、そうしたら絵里香たちと佐緒里は中に入ってみんなを助け出して」
「分かりました」
「それで、藍原先生と朋美は?」
「あの二人はもう近くまで行って待機しているわ」

 美紀子は携帯を出すと、詩織に電話した。普通の携帯ならばこの区域は圏外なのだが、美紀子の携帯は特殊仕様に改造されていたので、通話が可能なのだ。
「もしもし、詩織? 今何処? うん… そう… ペンションの近くまで行ってるのね。絶対にそれ以上近付かないでよ。危なくなったらすぐに逃げて」
 美紀子は携帯をしまうと、絵里香達に向かって言った。
「みんな行くわよ」
「ハイッ!」
 美紀子は絵里香たちと佐緒里を連れて、ペンションへ向かって歩いていった。宮代川から100mほど行くと、森が無くなって草原地帯になり、ペンションの建物もはっきりと見えてくる。勿論、ペンションからもその場所ははっきりと見える。森が切れる手前で美紀子は絵里香たちの方を向いて言った。
「みんなはここで待っていて。ここからはまず私だけで行くから」
 そう言って美紀子はペンションの建物に向かって歩いていった。美紀子はワザと見えるように、正面から向かって行ったので、見張っていた戦闘員にあっさりと発見された。戦闘員は無線機を取ると、ペンションの中にいるゼネラルダイアに通信を送った。
「ゼネラルダイア様。スカーレットエンジェルがあらわれました」
 リビングにいたゼネラルダイアは、通信を受けると立ちあがった。
「ようやく来たか! 外にいる三葉虫魔人に伝えろ!」
「ヒャイィーッ!」
 戦闘員の一人が奇声をあげながら外へ出ていった。
「待ちかねたぞスカーレットエンジェル! 今日こそ地獄へ送ってやる」
 そう言いながらゼネラルダイアはリビングの戸を開け、ベランダに出た。そこへ三葉虫魔人が戦闘員を連れてやってきた。
「三葉虫魔人! スカーレットエンジェルを倒すのだ。やつさえ片付けてしまえば、もはや我々の邪魔をするものはいないのだ。行くぞ」
「かしこまりました。ゼネラルダイア様」
 ゼネラルダイアはベランダから庭に降りると、魔人と戦闘員を引き連れて歩き出した。これでペンションに残っているのは数人の戦闘員だけになった。

02-16-05.png

 ゼネラルダイアは絵里香たちが元に戻っていることをまだ知らなかった。また、人質として捕らえている部員たちの中の孝子が、外部とメールでやり取りしている事にも気付いていなかった。ゼネラルダイアはベランダからそのまま庭に出て、ペンションの敷地を出ると、美紀子が歩いてくる方へ向かっていった。三葉虫魔人も戦闘員を連れてその後をついていった。ゼネラルダイアが三葉虫魔人と戦闘員を伴ってペンションを出て行く様子を、詩織と朋美が少し離れた場所から隠れて覗っていた。
「やつらが出て来たわ」
「藍原先生・・ 私心配だわ」
「何が?」
「だって… あんな得体の知れない連中相手に、オーナー一人でどうするつもりなの」
「大丈夫だって言ったでしょ。とにかく美紀子を信じて」
 そう言われても朋美は不安だった。かつて美紀子と一緒に戦った事があり、美紀子の事をよく知っている詩織ならともかく、朋美は美紀子の事を全く知らないのである。それなのに信じろといわれても、それは無理な話だった。この位置からも美紀子が歩いてくるのが見えていて、美紀子は既に数人の戦闘員に取り囲まれていたのである。しかも戦闘員は全員武装している。戦闘員に囲まれた美紀子はその場で足を止めた。
「かかれっ!」
 戦闘員が一声に美紀子に襲いかかった。美紀子は戦闘員の攻撃をかわしながら、一人、また一人と戦闘員を倒し、美紀子の周りにいた戦闘員は全員美紀子に倒された。が、今度は新手の戦闘員が出てきて襲いかかってきた。
「しつこいやつらね!」
 美紀子はそう呟くと右手を高く上げた。右手がまぶしく光り、美紀子の手にスティックが握られていた。美紀子はスティックを持ちなおすと、自分の前で一回転させ、空に向けて掲げた。スティックが強烈な閃光を発し、強力な衝撃波を放って、向かってくる戦闘員が全て爆発して吹っ飛んだ。遠目で見ていた朋美は、あまりの突拍子も無い現象に驚きの声をあげた。

02-16-06.png

「な、何? す、すごい… 何なの、あの人… まるで魔法戦士みたい」
 そばにいた詩織が静かに言った。
「竹内さん。夢を見ているとでも思って。こんなこと誰に言ったって信じやしないからね」
「そ… そうですね。それよりオーナーと一緒にいた女の子は?」
「あの子はオーナーの姪っ子さんよ。今、絵里香たちと一緒にペンションの中にいるみんなを助ける準備をしているわ」
「ええっ? 赤城たちも一緒なの?」
「そう。ペンションが襲われた時、三人は外にいたから、あなたと同じように逃げる事が出来たのよ。とにかく今は美紀子を信じて、ここで大人しく隠れて待ちましょう」
「 … 」
 その時ゼネラルダイアが、三葉虫魔人と多数の戦闘員を引き連れてあらわれ、美紀子の行く手を遮るように、美紀子の前に立って身構えた。朋美は思わず生唾を飲みこんだ。
「待ちかねたぞ。スカーレットエンジェル」
「ゼネラルダイア! 中にいる人たちを解放しなさい」
「うるさい。助けられるものなら助け出してみろ。もっとも… 変身出来ない体で、これだけの人数相手に勝てるかな? それに人質がいては手も足も出せまい。さあどうする」
「卑怯者!」
「何とでもほざけ。それ! 者どもかかれっ」
 戦闘員が一斉に美紀子に向ってきた。美紀子は迫ってくる戦闘員を無視し、高くジャンプして戦闘員を飛び越え、ゼネラルダイアの前に着地して、持っていたスティックをゼネラルダイアに向けた。
「ゼネラルダイア! 私が相手よ。覚悟しなさい!」
「何を小癪な! スカーレットエンジェルに変身出来ないお前など、怖くはないわ! 三葉虫魔人。スカーレットエンジェルを片付けろ」
「ギギギギキーッ!」
 三葉虫魔人は奇声をあげながら、相手を石化させる泡を美紀子めがけて放射した。美紀子はスティックを振って、自分の前に薄い膜を作り、泡が全てその膜にかかった。
「おのれ小癪な! 者どもかかれ!」
 戦闘員が一斉に美紀子に向かってきた。美紀子は戦闘員の攻撃をかわしながら呟いた。
「(しめた… みんな私しか眼中にない。よし!)」
 美紀子は迫ってくるゼネラルダイアらに対し、ペンションから離れていくように後退りした。ゼネラルダイア、三葉虫魔人、そして美紀子を取り囲んでいる戦闘員たちも、ゆっくりと美紀子の動きに合わせて、美紀子に襲いかかるタイミングを計っていた。そこで美紀子は不意に駆け出した。ゼネラルダイアをはじめ、三葉虫魔人と戦闘員達は美紀子の動きしか眼中になく、美紀子が駈け出すと、誘い出されるように美紀子を追いかけた。
「絶対に逃がすな! 追いつめて息の根を止めるのだ」
 ゼネラルダイアは叫びながら美紀子を追い、三葉虫魔人と戦闘員たちも同様に美紀子を追いかけた。ゼネラルダイアも三葉虫魔人も、美紀子を始末する事だけしか頭に無く、もはやペンションの中にいる人質の事など考えてもいなかった。
 森の中から様子を見ていた絵里香たちと佐緒里は、ゼネラルダイアらが美紀子を追っていき、見えなくなったのを見て、森の中から飛び出した。
「今がチャンスよ! 聖奈子、美由紀、佐緒里ちゃん! 行くわよ」
絵里香はそう言いながらペンションに向かって一気に駆け出した。聖奈子と美由紀、佐緒里もその後を追って駆けた。
「絵里香たちが出てきたわ。竹内さん、あたしたちも行くよ」
「は、はい」
 詩織と朋美も隠れていた場所から出てきて、ペンションの建物に向かって走った。美紀子からペンションの中の様子を聞いて知っていた絵里香たちは、ペンションの建物の前に到達すると、死角になっている建物の壁に張りつき、声を出さずに周囲の様子を覗った。
「何の気配も無いわ」
 絵里香がそう言うと、そばにいた聖奈子と美由紀、佐緒里も頷いた。詩織と朋美も建物のそばまで来た。詩織は絵里香と視線が合うと、絵里香に向かってすぐそばのベランダを指差して促した。絵里香は無言で頷くとベランダに上がり、窓をコンコンと叩いた。窓はカーテンが閉められていて中の様子は分からなかったが、そこの部屋にはサブ顧問の園子と副キャプテンの雅子、一年生の元子と悠美が閉じ込められていた。4人とも部屋の中で恐怖のあまり縮こまっていたが、窓を叩く音に4人ともビックリして窓の方を見た。雅子が窓に近寄って恐る恐るカーテンを開けると、窓越しに絵里香の姿が見えていて、窓を開けるようなゼスチャーを見せていたので、雅子は安心したように窓を開けた。窓が開くと同時に絵里香は中にいる人たちに向かって言った。
「みんな。早くここから逃げて! 今のうちなら外は安全よ。ただ… あんまり音をたてないで。中にいるやつらに気付かれるから」
「わ、分かった。園子先生、みんな!」
 雅子が誘導して、まず元子と悠美を外へ出し、次いで雅子と園子も外へ出た。詩織が出てきた四人に向かって話しかけた。
「みんな、もう大丈夫よ。早くこっちへきて。さっき出ていった連中がまた戻ってくるかもしれないから、ここにいたら危ないわ。みんな、あたしについてきて」
 詩織がそう言いながら、朋美と一緒に園子たち4人を別の所へと誘導した。その間に絵里香たちは別の部屋の窓を叩いて開けさせ、中にいた部員たちを次々と外へ出させた。
「みんなこっち! こっちへ行って」
 佐緒里と朋美が手を振ったり、逃げる方向を指差して誘導した。全員が逃げたのを見て、絵里香たち三人はお互いの顔を見合った。
「これで一階の部屋は全部大丈夫だわ」
「あとは二階だけね」
「聖奈子、美由紀、来て」
 聖奈子と美由紀は絵里香のそばに寄った。
「中にはまだ戦闘員がいるはずよ。そこで… 誰か一人がエンジェルに変身して、戦闘員を片付けている間に、残った二人で二階の部屋の中の人たちを助けるのよ」
「分かった。絵里香、それで誰が何をすればいいの」
「まずジャンケン。とりあえず… 負けた人がエンジェルになるってことにしようか」
「ジャンケン… それも負けた人がエンジェル… 」
「別に良いじゃないの。聖奈子、今そんな事言ってる時じゃないよ」
「分かった」
「それじゃ… ジャンケンポン」
 絵里香と美由紀がパーで、聖奈子がグーだった。
「聖奈子がエンジェルに変身ね。なるべくみんなの前に姿を見せないようにして」
「そ… それはちょっと難しいかも… 」
 そう言いながら聖奈子はポーズをとって変身し、エンジェルブルーになった。
「よし! 乗りこむわよ」
「オッケー!!」
 絵里香たちは部屋に入りこみ、絵里香がまずドアの所まで行った。と同時にドアが開いて戦闘員が入りこんできた。
「お前ら何を騒いでいる! ワワッ!」
 戦闘員が入ってくると同時に、絵里香と美由紀が飛びかかって首を締め上げ、床に押し倒して腹を殴って気絶させた。
「行くわよ!」
 絵里香たちが廊下へ出ると、騒ぎに気付いた他の戦闘員たちがリビングの方からゾロゾロと出てきた。
「絵里香、美由紀、早く行って! こいつらはあたしが引きうけるから」
 聖奈子は絵里香と美由紀を行かせると、戦闘員を挑発するような仕草を見せた。戦闘員はそれにつられて、全員が聖奈子の方に向かってきた。絵里香と美由紀はその隙に階段を駆け上って二階へ向かった。二階にいた戦闘員は全て下に下りてきていたので、絵里香と美由紀は何の攻撃も受けずに二階に上がれた。そして部屋の扉を全部開け、中にいた部員たちに呼びかけた。
「みんな! 早く出て。もう大丈夫よ」
 絵里香と美由紀を見てもう大丈夫だと思ったのか、部員たちの中には緊張が緩んでへたり込む子もいたが、他の部員たちに抱えられて部屋から出た。
 一方、聖奈子は窓から外へ飛び出し、戦闘員も次々と聖奈子を追いかけて出てきた。

02-16-07.png

 戦闘員たちは聖奈子を取り囲んで代わる代わる聖奈子に襲いかかり、格闘戦になったが、全員聖奈子に倒された。戦闘員が全ていなくなったので、聖奈子はすぐに変身を解き、再び部屋の中に入った。ちょうど絵里香と美由紀が部員たちを連れて一階に降りてきたところだった。
「絵里香、みんないるの?」
 絵里香は部員たち全員を見て、助け出した部員たちの中にキャプテンの芳江がいないことに気付いた。一階の部屋から逃がした部員たちの中にもいなかったのだ。
「キャプテンがいないわ」
「絵里香、キャプテンは本館の方の部屋だよ」
 部員たちの中から孝子が出てきて絵里香に言ったが、芳江が佐緒里に連れられてみんなのところへやってきた。
「大丈夫ですよ」
 佐緒里は最初に助け出した人たちを誘導したあと、ペンションに戻って本館の方から中に入り、そこにいた戦闘員と格闘して戦闘員を倒してから、芳江を助け出していたのである。
「これで全員です。みんな、もう大丈夫ですから。こっちへどうぞ」
 そう言って佐緒里はみんなをリビングへ通した。先に逃げていた部員たちも詩織と園子に連れられて戻ってきて、次々と中に入ってきた。
「みんな、すぐに全ての窓を閉めて。それから全部鍵をかけるのよ」
 詩織が矢継ぎ早に指示を出し、部員たちは手分けしてペンションの至るところの窓を閉め、扉に鍵をかけた。その間に、詩織は絵里香たちのところへやってきた。
「美紀子が心配だわ。早く助けに行って。他の部員たちにはあたしが上手く言っておくから」
「分かりました」

      *      *      *      *

 その頃美紀子は、襲ってくる戦闘員を倒しながら、ゼネラルダイアと三葉虫魔人、戦闘員達を完全にペンションから引き離して、広大な牧草地のど真中まで誘い出していた。
「(ここまで来れば大丈夫だわ。西の方から別の雷雲が迫ってきている。あと30分足らずでまた雨が降ってくるわ。そうすれば… )」
 美紀子はさっきの夕立による雨で、石化した絵里香たちが元へ戻ったのを見て、三葉虫魔人には意外な弱点があると見抜いていたのだ。それで遮蔽物が無い牧草地に誘い出したのだった。美紀子はゼネラルダイアにスティックを向けながら叫んだ。

02-16-08.png

「さあ、ここなら心置きなく戦えるわ! ゼネラルダイア、覚悟しなさい」
「何だと!?」
 美紀子はスティックを空にかざすと、空に向けて強い光を放ち、光は帯状になってそのまま空へと上がっていった。そして美紀子はスティックをそのまま振り下ろした。スティックから衝撃波が放たれ、ゼネラルダイアらがいる場所の周辺で、立て続けに爆発が起きた。戦闘員が爆風で吹っ飛ばされ、三葉虫魔人も不意を付かれて爆発のショックで尻餅をついた。
「おのれ! スカーレットエンジェル! 小癪な真似を」
 ゼネラルダイアはジャンプすると、美紀子目掛けて飛び蹴りをお見舞いしてきた。美紀子はそれを間一髪でかわした。が、三葉虫魔人が態勢を立て直して、美紀子に向かって突進してきた。三葉虫魔人は右手の鋏を振り回し、美紀子に襲いかかってきた。美紀子はスティックで攻撃を防いだが、今度はゼネラルダイアが剣を抜き、美紀子目掛けて振り下ろした。閃光と共に稲光が放電され、美紀子の周囲に次々と落下して、美紀子はショックで吹っ飛ばされた。
「どうだスカーレットエンジェル! さあ死んでもらおうか」
 そう言ってゼネラルダイアは再び剣を振り下ろした。
「あ… ウアァァァーッ!」
 美紀子の周囲で高圧電流が渦を巻いて、美紀子は苦痛に悶絶した。スカーレットエンジェルに変身出来ない生身の体では、高圧の電流には耐えられない。
「グ… アア・・ アァァァーッ!!」
 美紀子は電気責めに段々と意識が朦朧としてきて、目に霞がかかったようになり、体の力が抜けてきた。
「どうだもっと苦しめ! スカーレットエンジェル、今楽にしてやるぞ。一万ボルトの電圧で黒焦げの死体にしてやる」
 その時だった。ゼネラルダイアの周辺で立て続けに爆発が起き、ゼネラルダイアは爆発をかわすためにその場からジャンプして、別の場所に着地した。
「おのれ! 誰だ! もう少しでスカーレットエンジェルを始末出来たのに」
 ゼネラルダイアはそう叫びながら周囲を見回した。すると上空に眩しい光が輝き、ゼネラルダイアは眩しさに目を覆った。その光の中から三人のエンジェル、つまり絵里香達が飛び出して美紀子とゼネラルダイアらの間に着地した。絵里香たちは美紀子が空に放った光の帯で、美紀子の居場所が分かり、ここまでたどり着いたのだ。絵里香たちは着地すると、ゼネラルダイアの電気攻撃でダメージを負った美紀子のそばに駆け寄った。
「美紀子さん。大丈夫ですか?」
「私は大丈夫! ゼネラルダイアと化け物をやっつけて」
「分かりました」
 絵里香たちはゼネラルダイアと三葉虫魔人、戦闘員に向かって身構えた。絵里香たちの姿を見て、ゼネラルダイアと三葉虫魔人は驚きの声を上げた。
「これは一体どう言う事なのだ!? 三葉虫魔人、小娘どもを化石にしたのではなかったのか」
「な・・ 何故だ!? 何故お前たちがここにいるのだ。俺様の化石泡で石化したはずなのに」
「さあ… どうしてでしょう?  そんな事はどうでも良いわ。私たちが来た以上、もうお前達の勝手にはさせない」
「その通りだ。化け物ども! 引導を渡してやるから覚悟しろ!」
「くそぉ… 小娘ども! 三葉虫魔人、小娘どもを殺せ! 皆殺しにするのだ」
そう吐き捨てると、ゼネラルダイアは煙を吐いてその場から消えた。

02-16-09.png

 絵里香たちはポーズを取り、三葉虫魔人に向かって身構えた。
「炎の戦士、エンジェルレッド!」
「水の戦士、エンジェルブルー!」
「光の戦士、エンジェルイエロー!」
「私たちは正義の戦士! 美少女戦隊! エンジェルス!」
「何を小癪な! 化石泡をもう一度お見舞いしてやる!」
 三葉虫魔人は絵里香たち目掛けて化石泡を吹いた。
「危ない!」
 絵里香たちは泡を避けるために散開した。
「かかれ! 皆殺しだ」
 戦闘員が襲いかかってきた。美紀子がジャンプして、向かってくる戦闘員の前に着地し、美紀子と戦闘員との間で格闘戦になった。
「みんな! 戦闘員は私が引きうけるから、化け物を倒すのよ」
「分かりました!」
 絵里香は返事をすると、三葉虫魔人に向けてスマッシュを発射した。
「ファイヤースマッシュ!」

02-16-10.png

 しかし三葉虫魔人は難なくスマッシュを弾き返し、絵里香に向けて突進してきた。そこへ後ろから美由紀が攻撃を仕掛けた。
「ライトニングスマッシュ!」
 スマッシュのエネルギー球が命中したが、三葉虫魔人は衝撃の反動でよろけただけで、何のダメージを負っていない。
「馬鹿め! そんなものが通用するか」
 三葉虫魔人が捲し立てながら身構え、絵里香目掛けて再び突進すると、右手の鋏を振り回しながら襲いかかった。
「エンジェルブレード!」
 絵里香はブレードを出して鋏を受け、弾き返した。が、立て続けに振り回してくる鋏に、ブレードを挟まれた。
「この距離ならば確実だ。化石泡でお前を石にしてやる」
「やばい。絵里香がやられる」
 聖奈子がそう叫ぶと同時に、空からまた雨が降ってきて、あっという間に本降りになった。三葉虫魔人は絵里香に向けて化石泡を吹いた。泡は絵里香にまともにかかり、絵里香は泡塗れになったが、すぐに溶けて雨水で流れ落ちた。雨が泡を洗い流したのだ。
「し、しまった! 水で溶ける。このままでは俺の体も柔らかくなってしまう」
 三葉虫魔人は絵里香を突き飛ばすと逃げの態勢に入ろうとした。既に三葉虫魔人の体は雨で多量に水を含んでいた。美紀子が思っていた通り、三葉虫魔人は水が苦手だったのだ。
「(やっぱり水が弱点だったのね)」
 美紀子は三葉虫魔人の動きがおかしくなったのを見て、絵里香達に向かって叫んだ。戦闘員は既に美紀子に全て倒されていた。
「みんな! やつの弱点は水よ!」
「そうか! 化石の怪人だから、水を含むと脆くなるんだわ。よーし!」
 美由紀はバトンを出して両手で構えた。

02-16-11.png

「よーし! 弱点が分かったら、何も怖いものは無いわ! 行くわよ化け物!」
聖奈子もソードとシールドを出すと、三葉虫魔人に向かって攻撃態勢をとった。

02-16-12.png

「よくもあたし達を化石にしてくれたわね! たっぷりとお返しをしてやるから覚悟しろ! アクアトルネード!」
 水のエネルギー波が帯状になって三葉虫魔人に向かい、三葉虫魔人を包みこんだ。
「グアーッ!」
「ライトニングトルネード!」
 美由紀のバトンから稲妻の光が帯になって三葉虫魔人に降り注いだ。
「グギャアーッ!」
 強烈な電撃が三葉虫魔人を包みこみ、三葉虫魔人は大爆発して木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「やった! 私たち勝ったんだわ」
 三葉虫魔人が倒れ、絵里香たちはみんな集まってきて、美紀子も絵里香たちの傍に来た。
「それにしても嫌な連中だわ。どこにでも現れるのね」
「しょうがないよ聖奈子、やつらの目的は世界征服の邪魔になる私達なんだし。でも、部員達が巻き添えにならなくてよかったわ」
 そう言いながら絵里香は変身を解き、聖奈子も変身を解いた。
「そんなことより、みんな心配してるよ」
 美由紀も変身を解いた。

02-16-13.png

「さあ、帰ろう。みんな心配してるわ」
 美紀子に促され、絵里香たちはペンションへ向かって歩き出した。今まで降っていた雨は完全にあがり、強い西日が雲の間から顔を出していた。ペンションの前まで来たとき、絵里香達を心配して外で待っていた詩織が、絵里香達と美紀子を見つけて駆け寄って来た。
「ご苦労様」
「ありがとう詩織。そうだわ… ちょっと待ってて」
「どうしたの美紀子」
「みんなの記憶を消さなきゃ。このままではまずいわ」
 そう言うと美紀子はスティックを出して空に向けて掲げた。スティックからオーロラのような光が迸って、絵里香たちは眩しさに目を覆った。光はペンションの建物を包みこみ、しばらくして消えた。
「これで大丈夫」
 美紀子はそう言うとスティックを消した。

      *      *      *      *

 絵里香たちがペンションに入ると、サブ顧問の園子の指示の元、部員たちが部屋中の鍵を開け、窓を全部開けていた。そこへ出かけていた和枝が帰ってきた。ペンションの中でのあまりの慌ただしい雰囲気に、和枝は美紀子と詩織に聞いた。
「美紀子ちゃん、詩織ちゃん、一体何があったの? 随分騒々しいけど。それに部屋の中が熱気でムンムンしてるわよ」
「実は… さっき夕立の凄い雨と雷で泣き出す子がいて、それで窓を閉めきってたんです」
「あらまあ… それじゃ別に窓を開けなくても良いのに。エアコンもあるし… どんどん使って良いんだからね」
 寒暖計の温度は31℃を指していた。
「みんな、窓を閉めて良いわよ。エアコンを入れるから」
 美紀子がそう言うと、今度は全開にした窓をみんなして閉め始めた。しばらくするとエアコンの空気が充満してきて、部屋の中が涼しくなってきた。
 美紀子が記憶を消したおかげで、みんなの記憶からネオ‐ブラックリリーの事が取り除かれ、部員たちの記憶では、バトンの練習をしていて、夕立にあってペンションの中に逃げこんだいう事になっていた。美紀子の超能力を目の当たりに見た朋美も、美紀子の記憶操作によって、夢を見ていた事になっていた。
 しかし、ネオ‐ブラックリリーの脅威が完全に去ったわけではなかった。天間村に建設するはずだった大規模前進基地は、作戦が中断されただけで、いつでも再会する事が出来たし、作戦のために作られた魔人二体のうち、アンモナイト魔人は生き残っているのだ。ゼネラルダイアの報告を受けたドクターマンドラは、三葉虫魔人がエンジェルスにやられた経緯を分析して、アンモナイト魔人の再改造を既に決定し、某所に作られた秘密アジトにおいてその準備をしていた。いずれ新たな作戦が開始された時、アンモナイト魔人は再び絵里香達の前に現れ、牙を剥いてくるのだ。

      *      *      *      *

 二日目の朝からはスケジュール通りに事が運んだ。部員たちは怪我も無く、一人の脱落者も出ずに、無事に最終日の三日目を迎えた。
 三日目の午後になって、部員たちは部屋を片付け、ユニホーム姿のまま荷物を持ってリビングに集まってきた。顧問の詩織、サブ顧問の園子、美紀子と和枝、佐緒里もそこにいた。みんなが集まったところで芳江が話をはじめた。
「今日で合宿は終了します。一人の脱落者も無く、一人の怪我人も無く無事に終わった事は、非常に嬉しい事です。それから、今回の合宿の宿舎として、このペンションを貸してくれたオーナーの紅林美紀子さんには、部員一同多大な感謝をしています。どうもありがとうございました」
 続いて部員たちが一斉にお礼を言った。
「ありがとうございました」
 続けてみんなが美紀子に向かって一斉に拍手して、部屋中にそれがこだました。
「それじゃみんな、庭へ出て」
「記念写真を撮るよ」
 部員たちは写真を撮るため、ペンションの庭先に出た。
「はあぃみんな集まって」
 芳江がみんなを誘導して、部員たちはそれぞれ三列に並び、詩織がカメラを構えた。
「それじゃ写真撮りまーす」
 シャッターが押され、バトン部の部員たちが写真に収まった。

02-16-14.png




      *      *      *      *


 ネオ‐ブラックリリーの作戦は、またもエンジェルスとスカーレットエンジェルによって打ち破られ、失敗に終わった。しかしドクターマンドラはまた新たな作戦を立て、エンジェルスに牙を剥こうとしているのだ。ネオ‐ブラックリリーの次なる作戦とは一体何なのか… ネオ‐ブラックリリーある限り、エンジェルスの少女達に休息はないのだ。負けるなエンジェルス!
(つづく)


       -------------------------------------
 
 次回予告
 ◎第17話『人食い岩の伝説』

 本格的な夏休みになって、絵理香たち3人は佳奈子と佐緒里を連れて2泊3日の日程で海水浴に行く。しかしそこではネオ‐ブラックリリーが新たな作戦を展開していて、絵理香たちがいることを知ったゼネラルダイアは、イカ魔人とシャーク魔人を差し向けてくる。魔人の共同作戦の前に、佳奈子と佐緒里が捕まってしまい、絵理香がイカ魔人の攻撃で傷ついてしまう。

 次回 美少女戦隊エンジェルス第17話『人食い岩の伝説』にご期待ください。


スポンサーサイト

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント