鷲尾飛鳥

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いただきもののイラストです

2016年 05月02日 18:57 (月)

古波時音様から頂いたイラスト
サイト http://ryoudo.hannnari.com/
ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=1284213


美少女戦隊エンジェルスの三人26985603.png


スカーレットエンジェル
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黄人様から頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=3667590

美少女戦隊『エンジェルス』第24話での、聖奈子のピンチのシーンです

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美少女戦隊『エンジェルス』絵里香のピンチのシーンです
※このシ-ンは本編の方にはありません

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エンジェルイエローのピンチのシーンです。
このシーンは第44話に挿絵として登場します。

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ブルーとイエローの大ピンチ!!

二人揃って怪人に捕まり、締め上げられるシーンです。相手が大きいので、二人一緒に締め上げられてしまいます。

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ことぶき様から頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=687555

美少女戦隊『エンジェルス』のエンジェルレッド・赤城絵里香です
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バレット様より頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=720849

エンジェルスの3人
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エンジェルレッド
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エンジェルブルー
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エンジェルイエロー
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Pinky様より頂いたイラスト

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美少女戦隊エンジェルスの三人です。
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きんふじ様より頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=671878

美少女戦隊エンジェルスのエンジェルレッドです。
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ショコラ☆様より頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=8186651

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コエふとる様より頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=9369423

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SD版エンジェルです
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まいがー様より頂いたイラスト

ピクシブhttp://www.pixiv.net/member.php?id=146759

エンジェルイエローのピンチシーンです。秘密戦隊ゴレンジャーのワンシーンからのアレンジとのことです。

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人食い花に食われるうーっ!!!
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大幹部ゼネラルダイアのアレンジ版てす
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美由紀ちゃんピンチ!!  暖炉魔人に食われる…・
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戦闘員のデフォルメ(?)
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きさらぎゆり様から頂いたイラスト

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美少女戦隊エンジェルスの3人です

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アキラ@水連花のエボルブ様から頂いたイラスト

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エンジェルスのキャラクターの赤嶺佐緒里ちゃんです。冒険少女佐緒里の主人公です。

緊縛絵
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クリスマスプレゼントにされた佐緒里ちゃん
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友達の佳奈子ちゃんとのツーショット
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NANATSU様から頂いたイラスト

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スカーレットエンジェル

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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

十戒についてのレポート

2016年 04月21日 14:28 (木)

十戒について

聖書に続いて、今回は十戒についてのレポートです


十戒-序論

1.序論

 十戒は「Decalogae」という。これは「10の言葉」という意味である。十戒は旧約聖書にあるもので、モーセと結び付けられ、「モーセの十戒」ともいわれていて、キリスト教の源泉であるともいわれている。イエスにしても、またその弟子達にしても、人々に語るときに十戒をよく引用している。新約聖書ではイエスの教えを通して、十戒を遥かに超えた表現がなされていて、キリスト教の思想を学ぶためには、この十戒を学ぶ事が非常に必要である。十戒はキリスト教を支える3つの柱(十戒の他、主の祈りと使徒信条がある)のひとつで、これは最も古い言葉(紀元前1300年頃)であるといわれている。主の祈りは紀元30年、使徒信条が機嫌400年頃のものであるから、十戒がいかに古いものであるかが分かる。
 十戒は旧約聖書にあって、出エジプト記第20章と、申命記第5章6~21節にある。内容は全体的に同じであるが、互いに表現の違う点が僅かに見られる。その一つは安息日についての事で、出エジプト記では創世記の天地創造を基にして書かれているのであるが、申命記ではエジプト脱出を記念した「解放記念日」のような表現で書かれている。もう一つの例として、第10の戒めとして書かれている、「むさぼるな」という表現が、出エジプト記では「他人の家をむさぼるな」という言葉が始めに出てきているが、申命記では「妻をむさぼるな」という言葉になっている。つまりそれぞれ言葉の順序や表現に相違点が見られる。
 最初のころの十戒は断言的かつ無条件的であったが、モーセの死後のパレスチナ定着以後は、条件的・習慣的になり、前者が強い否定的な性格で砂漠の生活を反映している傍ら、後者では肥沃地的な繁栄になっている。十戒は最初は順番が無く、暫く後になってカトリック教において、10の戒めを3と7の二つに区切ってまとめ、最初の二つの戒めを一つにまとめ、さらに対語の10番目の戒めを二つに分けて表現した。一方プロテスタントでは4と6に分け、1~4番目までを神と人との関係(信仰)とし、5~10番目までを隣人との関係(愛)として表現している。なお、十戒は出来た当時は2枚の金の板でできていて、後に木の板に変わった。
 十回には序文があり、これは前文となって、出エジプト記第20章2節にある。この中の「貴方の神」というのは、『アブラハム・イサク・ヤコブの神』の事であると、神はモーセに対して呼びかけている。そしてそれはモーセの神と呼ばれ、さらに後の新約聖書になって、イエス・キリストの父なる神と呼ばれるようになる。この神というのは人格神で、人間の前に現れる神の事をいう。そして人間の歴史を支配する神である。日本では自然を神としており、昔から山や森・海・湖などは神として崇められてきた。ところが人格神は自然の神と違って、言葉を持って意思を伝える神の事で、また選びと契約の神でもある。

2.歴史の神

 出エジプト記は『奴隷の家からの解放』であり、十戒の全文に記されているように、イスラエル人たちの歴史の出発点でもある。イスラエル人達はエジプト脱出後、40年間も荒野で生活していた。その間に彼らはエジプトに戻ろうかと考えたほど生活が苦しかった。出エジプト記はイスラエルの歴史の源泉であり、また「初心忘るるべからず」という言葉が繰り返し語られている。
 
『木はその実によって知られる』という言葉がある。この「木」とは信仰を表し、「実」はそま信仰の実践を表しているもので、これらは互いに切り離す事は出来ない。十戒の第1~第4戒間では水平を表し、第5~第10戒は垂直を表している。これは水平と垂直とが交わる事によって、キリスト教のシンボルである十字架の意味を表現しているのである。



十戒の研究と考察・解説

Ⅰ. 第1戒  
汝、我が顔の前に、我の他何者をも神とすべからず

 これは神の唯一性を表している。一人とか一つという表現は、キリスト教上重要なものである。神というのは多数存在しているが、イスラエルにおいてはその中の一つのヤーヴェ(エホバ)の神を信仰し、それ以外の神は神ではないから信仰してはいけないということであった。
 モーセはカナン定着を前にして死に、その後継者であるヨシュアが、シケムというところで神との契約を結び、そしてカナンへと入っていった。
さて、キリスト教は第1戒にあるように、結いいちの髪を信仰する宗教で、これは「monotheism」という。唯一神ということは、キリスト以外の神は、神であっても神ではないという考え方であり、あるいは神以外のものを神とはしないということであって、神々の追放、世界の非神格化(富・人間・イディオロギー・権力など)を表している。マタイ福音書第6章24節には、「神と富とに兼ね仕える事は出来ない」という言葉がある。この「富」というのは、第二の神を表していて、かつ拝金主義を表している。

 Ⅱ. 第2戒
 汝、己のために何の偶像を彫むべからず。また上は天にあるもの、下は地にあるもの、ならびに地の下の水の中にあるものの、何の形をもつくるべからず。これを拝むべからず。これに従うべからず。我エホバ汝の神は妬む神なれば、我を憎む者に向かいては、父の罪を子に報いて三四代に及ぼし、我を愛し、我が戒めを守る者には恵みを施して千代にいたるなり

 偶像の禁止を戒めているものである。キリスト教は姿・形の表現が無く、心・言葉において人間に表れるという概念がある。言い換えれば「神は霊である」ということであるが、人間は目に見えるものが欲しいという願望を心の中に常に持っており、アロンの造った「金の子牛」がその例であって、この事は出エジプト記第32章に書かれている。これは偶像崇拝というもので、キリスト教ではこれを禁止している。さらに追求すると、これは神の霊性というものを表している。ヨハネ福音書第3章にある「霊は風である」という言葉のように、霊は姿・形のない自由なものであるとされている。さらにヨハネ福音書第4章24節では、「霊と真とをもって礼拝せよ」という言葉もある。

 Ⅲ. 第3戒
 汝の神エホバの名をみだりに口にあぐべからず。エホバは己の名をみだりに口にあぐる者を罰せではおかざるべし

この神の名という『名』が持っている意味には、次のようなものがある。それはこの第3戒が前の二つの戒めと深い関係があり、名が実体を表すものだからである。つまり名前はその人、または物の実体や存在を表すために大切なものなのである。人によって自分の名を変える人もいる。例えば旧約聖書ではアブラムがアブラハムと改名しているし、新約聖書ではイエスの弟子のペテロは、元はシモンという名前であった。そしていずれもその人の新しい道を開くための改名であった。というのは、前者は多くの国民の父となり、後者のペテロは「岩」という意味で、後に教会の基礎となったのである。
ところで、神の名というのは、人が神に対して名付けるのではなく、神自身が示すか、あるいは神が人間に対して示すものなのである。聖書を例にすると、出エジプト記第3章6節には、『アブラハム・イサク・ヤコブの神』と表され、同じく第3章14節には、『有って有る神』と表されている。この表現は「在ろうとして有ろうとするもの」という実にいの表現とも考えられている。
旧約聖書の神は、「God who acts(働きかける神)」とも言われていて、これは神自身で示されたものである。また新約聖書ではイエスはインマヌエル(神我々と共にいますという意味)とも呼ばれている。
神の名をみだりに唱えるということは、神の名を人間の利益のために用いて呪術的なものを通し、人間の意志を実現させようというもので、これは神の名を汚すものである。神の名を唱えるという事は、真実の言葉でなければならない。つまり人間の意思表示のために唱えられてはいけないのである。

Ⅳ. 第4戒
 安息日をおぼえてこれを潔くすべし。六日の間働きて汝の全ての業をなすべし。七日は汝の神エホバの安息なれば、何の業もなすべからず。汝も汝の息子娘も、汝のしもべもしもめも汝の家畜も。汝の門のうちにおる他国の人も然り。そはエホバ六日のうちに天と地と海とそれらの全ての物をつくりて、七日目に休みたればなり。これをもてエホバ安息日を祝いて聖日としたもう
 
安息日というのは「中止する(シャーバス)」という言葉から来たものであって、「聖とせよ」という表現は、その日は仕事を休めて、仕事をする日々と区別せよという表現なのである。「休む」という意味は、神の創造の祝福をおぼえることで、神の救いにあずかることである。
ユダヤ教では元々土曜日が安息日となっていた(現在でも同じ)。キリスト教の場合も、歴史の始め(紀元0年前後)つまりキリスト教の初期の頃は土曜日であった。が、キリストの復活を記念する意味として、パウロの時代から日曜日を「主の日」として礼拝を守るようになり、今日に至っている。また日曜日は週の初めも表している。

Ⅴ. 第5戒
汝の父母を敬え。これは汝の神エホバの汝に賜うところの他に、汝の命の長からんためなり

 ここでは家族の意味を考える必要がある。神と人との関係は契約であり、また人というのは個人ではなくて共同体であり、一つの民族であると考えてみる必要がある。また共同体は個人の集まりではなくて、家族の集まりであるといわれている。これは家族論理といって、特に家族は血縁共同体であるから、家族の中での共同体は結びつきが深い。イスラエルの場合では、それを信仰共同体とも考え、父の責任は重く、その役割も大きかった。家族内での宗教教育や行事、また権威も持っていたのである。
 この戒めは親に対するこの責任であって、成人した子に対する戒めであるとされている。成人するという事は子が独立し、親と対等になる事を意味しているからである。
イエスの言葉の中に、『私より父や母を愛するものは相応しくない(マタイ第10章37節)』というものがあるが、これは父や母を捨てるという事ではなく、父や母以上に神を敬うということを意味している。

Ⅵ. 第6戒
汝、殺すなかれ

『殺す』ということは、ここでは神に対する罪なのである。というのは、聖書では人間は神によって神の形に作られたものとされているからである。また、「目には目」「命には命」「血には血」などという律法は、イエスの山上の説教でも引用されているが、これは加害者への償いを求める精神であって、被害者の感情に於ける復讐ではない。

 Ⅶ. 第7戒
汝、姦淫するなかれ

性関係を含む男女の正しい関係、つまり互いの横の関係というもの(第5戒の親子の縦の関係と比較して)を表現しているのである。そしてこれは神との正しい契約の関係でもある。バルトという神学者は、人間の連帯性という言葉を唱えており、正の人間性や男女の関係をも説明している。姦淫の罪というものは、結婚における神と人との契約の比喩を意味し、神を夫にたとえ、その支配下のイスラエル(聖書におけるもの)が妻にたとえられているおりから、姦淫というものは結婚以外の性的行動であり、それを行うことは夫が妻を、また妻が夫を裏切る事であり、そして神を裏切る事(神への背反)でもある。
また、一夫多妻制という制度は、多神教が背景となっていて、この制度は女というものに対する不利な条件である。一神教においては、一部の例外(回教は一夫多妻制がある)を除いて一夫一婦制である。
現代における結婚や男女関係は、性の自由が肯定されてしまい、離婚率が高い。結婚というものは一対の男女の性関係における、排他的・永続的生活共同体なのである。そして聖書においては、神の許しの下に立つ信頼関係ともいわれている。

Ⅷ. 第8戒
汝、盗むなかれ

第7戒では配偶者を大切にする事を戒めており、ここでは所有物を大切にする戒めが書かれている。所有の権利、また人間関係は、所有関係を伴うものであるとされ、所有は神からの嗣業として人間に与えられたものなのである。出エジプト記第22章1~3節には、盗みに対する償いがどんなに辛いものであるかが書かれている。このようなことがなければ、所有の問題を通じて人間関係に崩れが生じてくるからである。そして盗みが権力や軍事力(ここでの盗みは横領のこと)と結びつくと、重大問題となってくる。聖書では盗みは神への反逆であると書いてある。

Ⅸ. 第9戒
汝、その隣人に対して偽りの証を立てるなかれ

偽証を立てるということは、虚言の証人になるという事である。そして隣人に対する偽りの言葉の否定であり、その具体的場面を前提としている。申命記第19章15節には、「証言の重要性」が書かれている。ここでは証人は二人以上いなければならない事になっている。新約聖書における、イエスに対する裁判が違法であるという事も、この第9戒によるものなのである。裁判における捌きは判定であり、公平と正義を前提とし、もし偽りがあれば裁くものが逆に裁かれる事になる。そのため、裁判における証言は重要であることがわかる(例・出エジプト記第23章1~9節)。そして貧しい人々や他国人のための配慮(どのような条件でも裁判を曲げてはならない)もなされた。旧約聖書の列王記上第21章の『ナボテのブドウ畑』には、その例が書かれている。申命記第19章15節には『真実の証言の命令』があり、これは偏見・自分の利益・自己防衛を取り除く事が勧められている。また偏見は予断と結びつくと大変なことになる。パスカルの著書パンセには、「真実を言う人は嫌われる」と書かれている。というのは、人間は自分に対する不利な条件を恐れるからである。しかし、まともな人間ならば、当たり前の事を出来ないというのはおかしいことであり、自分の過ちは素直に認めることである。

Ⅹ. 第10戒
汝、その隣人の家をむさぼるなかれ。また汝の隣人の妻、及びそのしもべ、しもめ、牛、ろば、ならびに汝の隣人の持ち物をむさぼるなかれ

『むさぼる』ということは、第6~第9戒のような表面的なものに比べ、内面的なものである、「貪欲という精神犯罪」の事を指している。むさぼるという言葉は、「ムザと欲する」ということで、みだりに欲しがるという意味である。ルカ福音書第12章13~21節には、「愚かな金持ち」のたとえが書かれている。この例は自分の所有を過信し、貧しい人々への配慮を忘れた事と、必要以上の物を蓄えた事から起こったものである。必要以上のものを蓄える事は、「むさぼる」ことにつながるのである。
 人間の一生にとって日と様なものは何か?  というと、単純な生活でよいのである。故に、それ以上に必要なものは余分なものであり、あっても無くても同じことなのである。

 十戒の言葉全体を成就したのはイエス・キリストの福音である。そしてイエスの福音は愛の戒めである。




昔懐かしい様々な漫画、アニメなどのイラスト

2016年 01月24日 16:52 (日)

宇宙人ピピ

1965年頃、NHKのアニメと実写の合成版として放映されていました。期間は約一年。イラストは資料が少ないため、模写とアレンジです。キャラクターグッズも沢山出回っていて、ネットのオークション等でも発表されています。

宇宙人ピピ

なるへそくん

1966年頃、少年キングか少年マガジンで連載していた漫画の主人公。著者は山根青鬼(1935~ )で、双子の弟の山根赤鬼(1935~2003)とともに、漫画家として様々な少年雑誌に作品を載せていました。
なるへそくんはキャラクター商品(自分の記憶ではチョコレート)やキャラクターグッズ(ポスター・かるた等)も発売されていて、アニメになる予定もありましたが、コマーシャルのアニメのみでした。

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しびれのスカタン

1966年頃の少年画報に連載していた漫画のキャラクター。作者は原作が赤塚不二夫で、作画が長谷邦夫というコンビで連載していました。主人公のスカタンは火星人で、関西弁をしゃべり、両手からは現在のスタンガンのように、相手をシビれさせる電気を発射します。

しびれのスカタン


パットマンX

1960年代中期から後半にかけて、少年マガジンにて連載されていた漫画です。作者は『浮浪雲』『銭ゲバ』『アシュラ』『花のよたろう』『告白』『ザ・ム-ン』等の作品で有名なジョージ秋山氏です。この作品がジョージ秋山氏のデビュー作だと思います。

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でこちん

なるへそ君と同じ作者の山根青鬼の作品のキャラクターです。少年画報に1966年頃連載していました。

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怪虫カブトン

漫画家の巨匠つのだじろうの作品です。つのだじろうといえば、恐怖新聞やうしろの百太郎のようなシリアスでオカルトチックなものを連想しがちですが、あかね雲の唄のような少女漫画、泣くな十円や忍者あわて丸のようなギャグ漫画も手がけています。

新しいビットマップ イメージ2

水虫キャラクター

昭和42年(1967年)頃のコマーシャルで流れていた、水虫の薬「ポリック」のキャラクターたちです。
「水虫出たぞ・・・・・ 」で始まるフレーズのインパクトが強かったです。
記憶が曖昧なので、キャラクターの容姿は想像で描きました。だいたいこんな感じだったと思います。あとから登場する歯磨きのコマーシャルに出てくる虫歯の擬人化もこんな感じでした。

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テーマ : 挿絵・イラスト
ジャンル : 小説・文学

2015年 12月31日 22:55 (木)

2016元旦

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いします

2016年 元旦

特別編『冒険少女 佐緒里4 』

2015年 12月08日 12:34 (火)

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美少女戦隊エンジェルス特別編

冒険少女 佐緒里4

まえがき

この小説は最初はDIDをテーマとしていましたが、ストーリーが進むにつれて、ファンタジーやミステリー及び荒唐無稽のスタイルに変わってきています。第一部から順番に読んでいくと、そんな感じに変わっているのが見えてくるかもしれません。
タイムスリップと、逆タイムスリップ(つまりもとの世界へ戻る)は、バック・トゥ・ザ・フューチャーのスタイルをアレンジして使用しています。
また、自分のシチュエーションは、本作品を含めて、これまでの作品の内容にあるように、昭和の時代の少年少女漫画と、特撮にあった全ての要素をベースとしていますので、今後もそのスタイルを通していくつもりです。


*******************************************

目次

ACT.18 神父と枢機卿
ACT.19 遭難
ACT.20 回復
ACT.21 枢機卿の審問
ACT.22 魔女裁判
ACT.23 生還
ACT.24 エピローグ




それでは第4部スタートです。
魔女裁判の場面で、久しぶりで佐緒里ちゃんのセーラー服姿と拘束シーンが登場します。
今回は、魔女裁判をへて、佐緒里ちゃんが広場の処刑台(?)で、ポールに縛り付けられてしまいます。佐緒里ちゃんの運命や如何に・・・・
佐緒里ちゃんは果たして21世紀の世界へ帰れるのか・・・・
冒険少女佐緒里も、いよいよクライマックスです。











 ACT.18 神父と枢機卿

「それじゃ出かけてくるから、後を頼む」
「わかりやした。いってらっしゃい」
「気をつけて」
 神父は枢機卿に会うため、ドルフ村から約50km離れた場所にある、ヴィーゼンシュタットという街へ出かけていった。神父の先輩であるリヒテル枢機卿がこの街の教会の神父を兼任していたからだ。神父を見送る面々は、みな深刻な表情だった。佐緒里が魔女裁判にかけられるという事が、その表情に拍車をかけていた。

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 神父が出掛けて行ったあとで、佐緒里はハンス、カールと一緒に牢獄の屋上に上がっていた。既に冬の訪れを知らせる冷たい風が吹き抜け、空も青空が見えているものの、どんよりとした雲があちこちに広がっていた。
「うー・・・ 寒い・・・ この空・・・ もうすぐドカッと雪が降ってくるな・・・・ 」
「ハンスさん。この辺は雪が多いんですか?」
「ああ。毎年今頃になればチラチラと降ってくるんだが、今年はまだ降らねえな。でもあの雲を見れば、そろそろ雪のお出ましだぜ」
「それにしてもいい眺めですね。村がよく見えるし、結構遠くまで見えるんですね」
「サオリ。逃げたかったら逃げたって良いんだぞ。お前は本物の魔女なんだし、例の魔法で逃げる事だって簡単だろうが」
「僕だってサオリが魔女裁判で火炙りにされる姿なんか見たくない」
 ハンスとカールは佐緒里を気遣い、ここから早く逃げるように薦めていたが、佐緒里は首を横に振ってから言った。
「神父様が何とかするって言っていたから、私はそれに従います。それに・・・」
 佐緒里は一呼吸置いてから話を続けた。
「もし本当に火炙りにされそうだったら、それこそハンスさんが言うように魔法で逃げます。でも、勝手に逃げたら、私の事を21世紀の世界に帰してくれようとしている神父様に申し訳ないです。それにハンスさんやカールの恩をないがしろにするような事は、私には出来ません」
 ハンスは佐緒里の言葉を聞き、納得したようなそぶりをしてから、佐緒里に言った。
「サオリ。そろそろ降りるぞ。そうだ! お前が言っていたオンセンとやらに行きたいんだが」
「温泉ですか? はい。行きましょう」
「カールもつきあうか?」
「良いですよ。ハンスさん。オンセンに行きましょう」
 三人は冷たい風が吹き抜ける屋上をあとにして、牢獄の階段を降りていった。

***************

 夕方近くになって、アルベルト神父はヴィーゼンシュタットに到着し、リヒテル枢機卿に会って挨拶してから、街に宿をとってそこに入った。アルベルトとリヒテルは、法王庁の先輩後輩の関係で、アルベルトの神父としての赴任先は、殆どがこのリヒテル枢機卿の指令に基づくものだった。部屋で寛いで一通り落ち着いたところでアルベルト神父は、リヒテル枢機卿の招待で彼が神父を兼任している街の教会へ行った。そこでアルベルトは、リヒテルから愚痴とも言えるようなとんでもない話を聞かされた。
「明日の朝、街で捕えた女の魔女裁判を行うんだが、その内容がひどい話でね」
「ひどいって、何の話ですか? 枢機卿殿」
「調書を見たんだが、魔女告発の経緯が、男と女の三角関係のもつれから来ているんだよ。つまり、魔女として告発されたAという女がいて、AはBという男と相思相愛の恋愛関係にあった。そしてCという男もAが好きだったんだが、Cは性格がすごく悪くて街での評判も最悪。それを知っているAがCを頑なに拒んだものだから、Cは逆恨みしてAを魔女として告発したという事なんだ」
「何ですかそれは!? そんな事で魔女をでっち上げてるんですか? 今はもうそんな事で魔女を告発するような時代ではないというのに」
「AとBの関係と、Cの事は、街のみんなが知っていて、街の人たちもAの潔白を証言している。Bがたまたま自分の故郷へ行っていて、その留守を狙ったCの汚いやり口だよ」
「確かにひどい話ですね。それで枢機卿殿はどうなされるおつもりなんですか?」
「私が裁判長を任されているんだが、とても裁く気にはなれないね。むしろ告発した男の方をとっ捕まえて、首を切ってやりたいくらいだよ」
「それで、その女は自分が魔女だと白状したんですか?」
「いや、まだだ。審問も予備拷問も明日の裁判から始まるんだ」
「告発した男の方は?」
「街にいると思うが、原告人だから当然裁判には出席して、告発内容を裁判で証言する。だから明日の裁判に出てきたら、即刻とっ捕まえてやる」
 アルベルトはリヒテル枢機卿の話を聞いて、何かを思いついたように言った。
「枢機卿殿。それではこうしたらどうでしょうか? 魔女裁判は行うが、男が現れたら即刻逮捕して牢へぶち込む。そして女の方は口頭の審問だけにして、恋人が戻ってくるまで教会で匿うんですよ。そして恋人が戻ってきたら、無罪放免にしてこの街から出るように薦めたらどうでしょうか?」
「いい考えだな・・・・ アルベルト君。君の意見を参考にさせてもらうよ」

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 翌朝。教会で女性Aの魔女裁判が開始された。告発した男は教会にのこのこと現れたところを、待っていた兵士に捕えられた。
「な、何で俺が捕まらなきゃならないんだ!?」
 枢機卿は男の前に立つと、罪状の書かれた羊皮紙を両手に持ち、高々と宣告した。
「お前は自分勝手で自己中心的な嫉妬心で、事実と無関係の女性を魔女として告発し、清廉潔白な男女の仲を引き裂こうとした不届き物である。自分の嫉妬と逆恨みで魔女をでっち上げるとは言語道断!! よって、本教会は貴様を不届き者の犯罪人として処罰する。者ども。直ちに引っ立てよ!!」
「ははっ!!」
 兵士たちは男の両腕をガッチリつかみ、引き摺るように引っ立てていった。男は大声でグダグダと騒いでいたが、兵士たちは構わず連れ去っていった。一方、告発された女性の方は、簡単な予備審問のみ行われ、枢機卿の計らいで教会の一室に『軟禁』という状態で匿われる事になった。が、恋人の男性が知らせを聞きつけてすぐに戻ってきたため、その日のうちに開放されて、男と一緒に男の故郷へと向かって旅立っていった。

 予断ではあるが、リヒテル枢機卿もアルベルト神父同様、現代風で言えば転勤族で、それなりの世界観があり、考え方にも柔軟性があった。魔女の話についても、魔女そのものの存在を疑うような人物だったため、枢機卿が担当する魔女裁判では、被告人が異端者でない限り、処刑される者はいなかった。既に時勢は大航海時代に入っており、人々の世界観も広くなっていて、魔女の存在自体がナンセンスだと考える者も出てきていたのである。

「アルベルト君。くだらん事につき合わせて悪かったな。私は他の者と違って、魔女については疑いの目で見る事にしているんだよ。今まで告発された理由や内容を改めて見返してみると、あまりにもお粗末過ぎて、そんな事ではダメだと思っているんだ。おっと・・・ 話はここまでにしておこうか。私の考えに反発している者もおるし・・・ お偉方たちの間では、頭の固い連中も多いからな」
「いえいえ・・ 枢機卿殿も、世界観があるからこそ、そういう考え方を持てるんですよ」
「ところでアルベルト君。君の村で捕えた魔女の事だが・・・」
「その事なんですが、どうも腑に落ちないことがあって」
「何だね? 言ってみたまえ」
「捕えた者は審問した結果、自分が東洋人で、ジパングという国の者だと言っているんです」
「ジパング・・・ か。遠い国だな・・・ 」
「それに、その娘がこの世界の人間ではないように見えるんです。何処か遠い時代からやってきた、計り知れないもののように感じるんです」
「君の言っている事は、私には難しくて分かりかねるが、今日の裁判の内容にあった話に近いもののようだな」
「はい・・ 」
「気の無い返事だな。君らしくも無いぞ。まあいい。雪が降って積もっているから今日はもう無理だ。明日の朝ここを出発してドルフ村へ向かうから、村に着いたらその娘に会って話を聞いてみようじゃないか」
「わかりました」

***************

 ACT.19 遭難

 村に枢機卿が来るということは、村人たちにも伝わっていたが、村ではクリスマスの前に行われる冬季祭の準備があって、そちらの方に話題が集中し、さほどの騒ぎにはなっていなかった。
 牢獄の屋上で村の様子を遠目に見ていた佐緒里は、村の様子があわただしいのを見て、傍にいたハンスに聞いた。
「いつもと様子が違うけど、村で何かあるんですか?」
「ああ。クリスマスが近いからな。それにクリスマスの前に冬季祭という祭りがあるんだ。村ではその準備があるんだよ」
「冬季祭ですか・・・ そうか・・ もうクリスマスが近いんですね」
 冬季祭とは、冬至の日に行われるお祭りの事で、昼がもっとも短い日が過ぎ、昼が夜に勝つという経緯から始まったもので、この村では伝統的な行事になっていた。佐緒里が空を見つめていると、チラチラと雪が降ってきた。
「雪だわ・・・ 」
 雪は少しずつ密度が濃くなってきて、屋上の床が白くなり始めた。
「サオリ。行くぞ。こんな所にいたら、寒くてしょうがないぜ」
「はい」
 佐緒里は自分の部屋に戻ると、ハンスが持ってきてくれた中型の火鉢に薪を入れて燃やした。少しずつ部屋が暖かくなっていく。窓の外では雪が降り続いていて、地面や木々が積雪で真っ白になっていくのが見えた。

***************

 佐緒里がその日の夕食を終え、カールが来て食器を片付けている時、ハンスが血相を変えて佐緒里の部屋に飛び込んできた。
「た、た、大変だ!」
「どうしたんですか?」
「神父様が帰ってこないんだ。早馬の知らせでは、今日の朝にはヴィーゼンシュタットを出ているから、普通ならもうとっくにこっちへ着いている筈なんだ」
 佐緒里とカールは、ほぼ同時にハンスの顔を見て、佐緒里は席を立つと、窓際へ行って窓の衝立をはずした。
「うわ・・・ 外は吹雪だわ。あたり一面真っ白よ」
 カールとハンスも窓の傍に来た。
「これはヤバイ・・・・ もしかすると、途中で・・・ 」
「何だよサオリ。ヤバイってどんな意味なんだよ?」
「危ないとか、まずいって意味なんだけど・・・   カール。ハンスさん。この辺の地図はありますか!?」
「地図? 村の周辺の絵図面なら、神父様の部屋にあるけど、一体どうしたんだよ」
「この天気だと、途中で吹雪に巻き込まれて立ち往生しているか、最悪の場合遭難しているかもしれないわ!」
「ええっ!?」
「な、なんだと!?」
 佐緒里は窓から離れると、部屋から飛び出して神父の部屋へと向かった。
「おい。待てよサオリ」
 カールとハンスも佐緒里の後を追った。
 神父の部屋に入った佐緒里は、部屋の蝋燭に火をつけると、あたり一体を捜した。
「サオリ。絵図面ならここだよ」
 追いついてきたカールが書棚の脇に置いてある、丸まった羊皮紙を持って机の上に広げた。佐緒里は蝋燭を近くに持っていくと、その絵図面を眺めた。
「牢獄の位置がここ・・・  村の集落がここ・・・ 」
 佐緒里は目を瞑って精神を統一すると、パッと目を開いて絵図面の上に右の手のひらを翳した。ハンスが心配そうに言った。
「何してるんだ?」
「シーッ・・・ きっと神父様たちが今、何処にいるのか捜しているんですよ。佐緒里は魔女なんだ。きっと魔法で居場所を捜しているんです」
カールとハンスは、生唾を飲みながら、佐緒里のしている事を眺めていた。やがて佐緒里は絵図面上の一角で手を止めた。
「ここです!」
 佐緒里の言葉に、カールとハンスは佐緒里の手がある場所を見た。そこは村から約2kmほど北へ行った場所で、畑と森の境がある、山の麓のあたりだった。
「付近に二つの大きな物体が見えます。長くて高い・・・・ 木ではないでしょうか? ハンスさんはこのあたりの事をご存知ですか?」
「ああ・・ そこか。その辺には、二本の大きなモミの木があるんだ。村では双子のモミの木と呼んでいる・・・ その辺に神父様たちがいるっていうのか!? でも何故こんな場所に・・・ 街道からはかなり離れているぞ」
「きっと吹雪で方向を見失って道を間違えたんですよ。すぐに助けに行きましょう。遭難していたとしたら・・・ 雪に埋もれてしまっていたら、大変なことになります」
「すぐに橇の用意だ! カール。行くぞ!」
「は、はい」
 佐緒里は蝋燭の火を消し、ハンスはカールを連れて部屋から飛び出した。佐緒里もそのあとから走っていった。ハンスとカールは一階の倉庫に入り、カールは置いてあった橇を出して、ハンスは馬を用意した。器具を取り付けて準備しているところに、佐緒里が入ってきた。
「今のところ吹雪が止んでいます。チャンスは今ですよ」
「そうか!」
「私が先導しますから、その後からついてきてください」
「先導・・ って・・・ そうか。サオリは魔法のほうきがあるんだね」
 ハンスとカールは、建物の外に橇を出して乗り込んだ。佐緒里は右手を上げてスティックを出し、巨大化させてその上に乗って、2メートルくらいの高さまで上昇させてから、ハンスとカールに向かって叫んだ。
「後ろから青い色の光が出ていますから、その光をたよりについてきてください」
「分かった!」

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 佐緒里はゆっくりとスティックを飛ばし、ハンスは馬に鞭を入れて橇を走らせた。積雪はさほどではなかったので、馬が動けなくなるという事は無く、ハンスは佐緒里が出している青い光を目印に橇を進めた。

 一行は村の集落を通り越して、目的地である双子のモミの木を目指した。佐緒里はスティックの先端からサーチライトの光を出し、前方の状態を探った。そこに二本の大きな木が立っているのが遠目に映り、佐緒里はスティックを止めて降下した。そこへハンスたちも追いついてきた。既に雪が止んで空には月が出てきていて、月明かりがモミの木を映し出している。
「あれだ。もう少しだ。サオリ。頼むぞ」
「はい」
 佐緒里は再び上昇して、モミの木目指して飛んだ。そしてモミの木の傍まで達すると、モミの木の周りを一周した。その時佐緒里は木の向こう側で、キラッと光るものを見つけ、その方向へ飛ばした。
「確かこの辺だった・・・ 」
 そこへハンスたちが追いついてきて橇を止めると、上を飛んでいる佐緒里に向かって叫んだ。
「おい! サオリ。そこには降りるなよ! その辺は沢になっていて、雪の吹き溜まりになっているからあぶねえぞ!」
 佐緒里は下を見た。雪の中に何か黒っぽいものが見えたので、スティックを降下させた。そこには神父と枢機卿が乗っていたと思われる橇が、雪の吹き溜まりの中に突っ込んでいた。橇を引いていた馬は見当たらないので、きっと何処かへ走り去ったのであろう。佐緒里は周辺を捜した。すると沢の底の方に半分雪に埋まっている二人を見つけた。おそらく吹き溜まりに突っ込んだ時に、投げ出されて沢の下へ転落したに違いない。佐緒里はスティックを降下させて雪原の上に降りると、二人を自分の方へ呼んだ。
「ハンスさん! カール! こっちです!」
 佐緒里が叫ぶと、ハンスとカールは橇から降りて、佐緒里のところへ歩いてきた。佐緒里は沢の下の方へ向けてスティックのライトを照らした。
「うわっ・・・・ し、下に落ちてるのか」
「すぐに引き上げないと!」
 ハンスとカールは橇に戻ると、ロープと鎖、そして鉄球の足枷を持って戻ってきた。
「私が下へ降りますから、合図をしたらロープを下へ落としてください」
 佐緒里はそういうと、ポーズをとった。
「二人とも少し離れて!」
 佐緒里は変身の言葉を叫んだ。
「スカーレットスパーク・エンジェルチャージ!」

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 佐緒里の身体が眩しい光に包まれ、光が消えるとともにスカーレットエンジェルJrの姿になった。そしてスティックを持って沢の下へ飛び降りた。
 ズボッ!!
「キャッ・・・ !!」
 飛び降りた場所は吹き溜まりで、佐緒里の体が胸の辺りまで雪に埋まった。
「おーい! 大丈夫かぁ!」
「はーい!!」
 佐緒里は大声で答えながら右手を上げて大きく振った。
「ハンスさん! ロープを投げて!」
 ハンスは鉄球の足枷の鎖をロープの先端に縛ると、佐緒里から少し離れた場所を狙って投げた。
 ズボッ! 
 鉄球を付けていたので、ロープはほぼ真っ直ぐに吹き溜まりの中に突っ込んだ。佐緒里はロープを拾うとスティックを振って前に突き出した。すると真っ赤な光が灯って、佐緒里の周辺の雪がたちどころに溶けた。佐緒里は二人が倒れている場所にたどり着くと、神父と枢機卿の体を揺すって反応を見てから、二人の手首をつかんだ。
「大丈夫だ・・・ 二人ともまだ生きている」
 佐緒里は神父の腰にロープを巻きつけて縛ると、ハンスに向かって叫んだ。
「ハンスさん、カール。上げて! 二人とも生きているわ」
「よーし!」
 ハンスとカールとで、ロープを引っ張り、まず神父を上に引っ張り上げた。続いて枢機卿も上に引っ張り上げたのを見届けた佐緒里は、スティックを巨大化させて、それに乗って上に上がってきた。吹き溜まりに突っ込んだ橇も引っ張り出した。
「サオリ。やばいぞ。二人とも怪我しているうえに体が冷え切ってる。村まで運んで行ったんでは間に合わないかもしれねえぜ」
「じゃ僕が村へ行って助けを呼んできます」
「待ってカール。それでも同じ事よ。今ここで火を焚いて二人を暖めた方がいいわ」
「ダメだよサオリ。この辺の木はみんな雪で濡れて使い物にならないよ」
「分かった。それじゃ私がやる!」
「サオリが?」
「二人とも私から離れて!」
 ハンスとカールは佐緒里から離れて距離をとった。
「(私がこの技を使ったら、私自身がヤバくなるかも・・・ でも、この二人を死なせるわけにはいかない・・・ )」
 佐緒里は一呼吸置いてから神父と枢機卿に向けて両手を伸ばした。
「エンジェルミラクルチャージアップ!!」
 佐緒里の体が眩しく光り、続いて真っ赤な炎になった。あまりの眩しさに、ハンスとカールは顔を背けた。佐緒里の周辺と、倒れている神父と枢機卿の周辺の雪が溶け、佐緒里の体から発する熱で、真夏の暑さのようになった。ハンスとカールは佐緒里のやっている事に唖然、もしくは呆然としていたが、熱さのあまり、少しずつ後ろに下がった。
 一方、気を失っていたリヒテル枢機卿とアルベルト神父は、体が温まってきたのと周りの熱さのために目を覚ました。そこで自分の目の前にいる物体(佐緒里)が目に入った。枢機卿の目には、真っ赤な炎の中に人の形をしたものがあるように見えた。
「う・・ 眩しい・・ 体が温まる・・・ な、何だあれは・・・  私は夢を見ているのか・・・・ 確か雪の中に突っ込んで谷底へ落ちて・・・ あれは天使・・・ それとも 」

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 しかし佐緒里のパワーもここまでだった。
「(も・・ もうダメ・・・ もう・・ 力が・・・ 入ら・・・ な・・ い)」
 真っ赤な炎が消え、佐緒里はそのまま地面に倒れ込んで動かなくなった。
「サオリ!!」
 カールが慌てて佐緒里の傍へ駆け寄った。カールは佐緒里の体に触れようとしたが、突然佐緒里の体が眩しく光ったため、後退りした。佐緒里の身体の光が消えた時、そこには変身が解けて生身の姿になった佐緒里が倒れていた。
「サオリ。どうしたの!? しっかりして! サオリ!」
 カールは佐緒里の傍に来ると、佐緒里の体を揺すった。が、佐緒里は全く反応を示さなかった。ハンスも傍に駆け寄ってきた。
「サオリ! しっかりしろ。神父様も枢機卿様も助かったんだぞ! サオリ!」
「サオリ。死んじゃだめだ。自分の世界へ帰るんだろ!?」
 そこへ神父も近寄ってきた。
「サオリじゃないか。サオリが私たちを助けてくれたのか」
 成り行きを見ていたリヒテル枢機卿が呟いた。
「私は・・・ 私は夢を見ているのか・・・ しかし・・・」
 その時向こうの方から、大きな声とともに数人の村人たちがザワザワと喋りながら、徒歩と橇でやってきた。
「おーい!」
「何があったんだ。でっかい火が見えたから、山火事でも起きたのかと思ったぞ」
「おい! お前たちそんなところで何やってんだ」
 村人たちはみんながいる傍までやってきた。
「し、神父様でねえか。何してるだこんな所で」
「枢機卿様も一緒だぞ。おい。二人とも怪我してるぞ」
 ハンスは立ち上がると、村人たちに向かって言った。
「その馬と橇を貸してくれ! 神父様と枢機卿様を運ぶんだ」
「おう! 分かった。早く乗せるんだ」
 村人たちが持ってきた橇に怪我をした枢機卿と神父を乗せ、そしてハンスとカールが乗ってきた橇に、気を失っている佐緒里が乗せられた。
「よし! すぐ村へ戻るんだ」
 橇が村へ向けて滑り出し、ハンスとカールも橇に乗って出発した。
「サオリ。サオリ。しっかりして。絶対に死なないで!」
 戻る途中で、カールは泣きそうな顔で、ずっと佐緒里の事を呼び続けていた。

***************

 ACT.21 回復

「もう5日間も眠ったままだぜ。大丈夫かよ・・・ 」
「このまま起きないんじゃ・・・・ 」
 ハンスが不安そうに、気を失ったままの佐緒里を眺め、カールは泣きそうな顔をしていた。あれから神父と枢機卿は、村の医者のところに運ばれて、怪我の手当てを受け、佐緒里はハンスとカールの乗った橇で牢獄まで戻ってきて、佐緒里の部屋に運ばれてベッドに寝かされた。その時に神父の計らいで、教会の手伝いをしていたエレンという少女を、佐緒里の世話人として遣わしていたので、服を脱がして着替えさせる役目は、そのエレンがやってくれた。そして一通りの仕事を済ませたエレンは、看守のハンスとカールに後を託して、教会の方へと戻っていった。
 佐緒里はスカーレットエンジェルとはいっても、まだ体が幼く、自分が使える技には限度があった。それなのにチャージアップという、自分の能力の限界を超えた大技を使ったため、エネルギーをあっという間に消耗して、気を失ってしまったのだ。しかし、いくら限界を超えたとはいっても、ある程度時間が経てば自然にエネルギーが蓄積されて回復するはずである。が、佐緒里はまだ眠ったままだった。ハンスとカールが不安そうにしているところに、神父が枢機卿と一緒に部屋に入ってきた。
「サオリはまだ目覚めないのか?」
「はい。もう5日も経つんだけど、まだ・・・ 」
「神父様。まさかこのまま死んじゃうんじゃ・・・・ 」
 カールが泣きそうな声で言った。
「バカ言っちゃいかん! 必ず助かる。今までサオリは何度も窮地を脱してきたじゃないか。こんなことで絶対に死ぬものか!」

***************

 佐緒里は暗闇の中を彷徨っていた。周囲は全て真っ暗闇で、足元すら見えない。
「ここ・・ 何処なの?」
 その時佐緒里は自分を呼ぶ声が聞こえた。
「佐緒里」
「え?」
 佐緒里は声がした方を向いた。そこにはかつて事故で亡くなった筈の佐緒里の両親と、妹の香織が立っていた。
「パパ・・ ママ・・ 香織」
 佐緒里はみんながいる方へと歩き出した。しかしいくら進んでも、みんなの元へたどり着けない。
「どうして・・ どうして近づけないの?」
「ダメ! お姉さん。こっちへ来てはダメよ」
「佐緒里。こっちへ来てはいけない。戻るのよ!」
「佐緒里。引き返せ! 戻るんだ。お前はまだ死んではダメなんだ」
 そしてみんなの姿が消えた。
「パパ! ママ! 香織! 何処へいったの? 行かないで! 嫌だ・・ 嫌アーッ」

「嫌あーっ!」
 佐緒里が叫び声とともに、ベッドから飛び起きようとした。
「サオリ!」
 傍で様子を見ていたカールが、半狂乱になって暴れる佐緒里を抱きしめた。
「サオリ! 落ち着いて。怖い夢でも見たのか」
 我に返った佐緒里は、自分を抱きしめているカールに気付いた。
「カール・・・・ 」
「サオリ・・・ 良かった。目が覚めたんだね。もう、このまま死んじゃうのかと思ったんだぞ」
 カールは佐緒里をさらに強く抱きしめた。佐緒里はカールの体が震えているのを感じた。カールは声を押し殺して泣いていた。
「カール。私は大丈夫だから泣かないで」
「そんなわけ無いだろ。お前5日間も眠ったままだったんだぞ」
 カールの目からは涙が溢れていた。
「よかった・・・ 生きててよかった・・・ 」
 カールは再び佐緒里を強く抱きしめた。佐緒里は起き上がろうとしたが、カールがとめた。
「まだ寝てなきゃダメだ」
 そう言ってカールは、佐緒里を無理矢理ベッドに押し倒した。ハンスも傍によってきた。
「サオリ。今日はゆっくり休むんだ。まだ無理しちゃダメだ」
「・・・・・・」

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 カールは神父の方を向いた。
「神父様。今日はサオリをゆっくり休ませますから、何もしないであげてください」
 神父は枢機卿の方を向いた。枢機卿は無言で頷いた。
「いいだろう。サオリ。今日はゆっくり休むがいい。明日は枢機卿殿がお前を審問したいと言っているが、いいな?」
「はい」
「それじゃみんな、部屋を出るぞ。サオリをゆっくり休ませてやれ」
 神父と枢機卿に促されるように、みんなゾロゾロと部屋を出て行った。最後にカールが机の上の蝋燭の火を消した。
「それじゃサオリ。お休み」
「お休みなさい」
 真っ暗になった部屋のベッドの上で、佐緒里は再び深い眠りについた。


 神父の部屋では、神父と枢機卿がカールとハンスを交えて話をしていた。
「アルベルト君。魔女裁判は予定通り行う。ただし、あのサオリという娘が完全に回復してからにする。それまで私はこの村にとどまる事にする」
「でも枢機卿殿。サオリは我々の命の恩人なんですよ。その恩人を魔女裁判で・・・ まさか火炙りにするつもりなんですか?」
 枢機卿は首を横に振った。
「確かに裁判はするが、判決後の事は君に任せる」
「え?」
「あの娘は我々の命の恩人だ。いくら魔女とはいえ、私は命の恩人を蔑ろにするほど卑怯者ではない。そんな恩を仇で返すような事をしたら、それこそ神の裁きを受けてしまうよ」
「それでは何故」
「君はあのサオリを、サオリの世界へ帰そうとしているんだろ? そしてその方法も既に見出しているというではないか。ならば裁判の結果をどうしようと、私が君にサオリの処遇を委任すればいいことだ。要するに、サオリを君の力で帰してしまえば、サオリはこの世界からいなくなるわけだ。つまり極論で言ってしまえば、処刑したと思えば同じ事ではないか。私には君の言っている事がどうにも理解出来ないんだが、とにかく私の役目は裁判で判決を言い渡して、裁判の報告書を書く事だけだ。そのあとのサオリの事については全て君に任せるよ」
「わかりました。お心遣いありがとうございます」
「礼には及ばんよ。私と君とは長い付き合いではないか。ただ、この事は絶対に他所に口外してはならんぞ。こんな事が頭の固い連中に知られれば、厄介な事になりかねん。君たちもだ。ここで話した事は、口が避けてでも絶対喋るな。勿論法王庁へはそれなりの調書を書いて報告するが、何かあった時は私の権限で何とかする」
「分かりました」

 ACT.21 枢機卿の審問

 翌朝、食事を終えて後片付けを済ませ、部屋を出たカールと入れ替わりに、リヒテル枢機卿が部屋に入ってきた。
「サオリといったな。審問を始めるが、いいかね?」
「はい」
「では屋上へ上がろうか。一緒に来たまえ」
 リヒテルは部屋の外へ出て、佐緒里もそのあとをついていった。

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 空は晴れていて、この季節にしては暖かかった。屋上に上がったリヒテル枢機卿と佐緒里は、お互いの目を見て向かい合っていた。リヒテルが黙っていたままなので、痺れを切らした佐緒里が話しかけた。
「あの・・ 枢機卿様。さっきから黙ったままですけど、私に何も聞かないんですか?」
「まあ・・・ まず空でも眺めてみたまえ。もう冬だというのに、今日はこんなにいい天気だ」
 そう言ってリヒテルはそのまま床に仰向けになった。佐緒里が唖然としていると・・・・
「君も仰向けになりたまえ」
「は、はい・・・ 」
 佐緒里は呆気に取られたが、枢機卿の言う通りに仰向けになった。
「どうだ。いい眺めだろう」
「はい・・ 」
「お前の事はアルベルト君から大体のことは聞いたし、調書も読ませてもらった。君はジパングという国から来たそうだな」
「そうです。ご存知なんですか?」
「うむ・・ 私は『東方見聞録』という書物を読んだ事があってね」
「マルコ・ポーロですか?」
「そうだ。そこでお前に聞きたいんだが、あの書物の内容は正しいのかね」
「全部が全部というわけではないです。マルコ・ポーロ自身はジパングへは来ていないんです。だから内容的には想像の部分が殆どなんです」
「そうか・・  想像か・・・  それでジパングは黄金の国だと書かれていたが、それは真実なのかね?」
「いいえ・・・ 確かに金は産出しますけど、皆が思っているほどの量ではありません。むしろ少ないくらいです」
「うむ・・・ ジパングへ行った事がないのなら、実情を知らずに想像で書くのも無理も無い事だ。お前の話には嘘は無いな・・・ 実はジパングへ行った私の友人から来た手紙にも、同じような事が書かれていたのだ」
 枢機卿はさらに話した。
「実はその友人は、キリスト教を伝道するためにジパングへ行ったんだ。ジパングはキリスト教を受け入れるのかね」
「受け入れます。私の国は宗教の受け入れには寛大です。だから今まで外国から入ってきた宗教は、しっかりと根付いています」
「キリスト教以外にも伝道されているのかね」
「仏教が伝えられています。枢機卿様はお釈迦様・・・ ブッダをご存知ですか?」
「知っとるよ。お前は仏陀の信者かね?」
「信者というわけではないですが、仏教に関係した行事には参加する事があります。それと枢機卿様のおっしゃっている、キリスト教の行事もです。例えばクリスマスは、信仰に関係なく殆どの人が関わっていると思います」
「なるほど・・・ それではお前は何の神を信じるのか?」
「特別な信仰はありません。でも、しいて言うならば、私の国の神様です」
 佐緒里は枢機卿の質問に戸惑いながらも、自分の知識にある全てのもので応えていた。
「お前の国の神とは、どんな神なんだね?」
「枢機卿様は、ギリシャやローマの神話はご存知でしょうか?」
「知っておるが、それと何の関係があるんだね?」
「私の国にも古代の神話があって、宗教として人々の心の中に根付いています。私の国の神とは、その古代の神話に関係があるんです。そして神は一人ではなく、大勢いて・・・ つまり多神教なんです。分かり易く言ってしまえば、お釈迦様もキリスト様も、みんな神様なんです」
「なるほどね・・ アルベルト君の調書の通りだな。彼の調書に、お前の宗教観の事が書かれていてね、私はそれに興味を持って、お前に色々と聞いてみたんだよ。まあ・・ 国が違えば文化も違うし、宗教観が違うのも当然なのだろうな・・・ 」
 枢機卿は起き上がった。
「さあ、サオリ。立ちなさい」
「はい」
 枢機卿は立ち上がり、サオリも起き上がって立って、枢機卿と向かい合った。
「お前の魔女裁判は明後日で良いか?」
「はい。良いです」
「よし。分かった。それでは私の審問はこれで終わる。部屋に戻りなさい」
 枢機卿が動こうとしなかったので、佐緒里は歩み出すのを躊躇っていた。
「一人で行きなさい。私はもう少しここで空を眺めている。あ・・ それから、私とアルベルト君を助けてくれたのはお前なんだってな。遅くなったが礼を言う。助けてくれてありがとう」
「御礼には及びません。当然のことですから。良い魔女は人を助けるんです」
「なるほどね・・・ さあ。行きなさい」
「はい。それでは失礼します」
 佐緒里は枢機卿に背を向けると、屋上から階段を降りていった。枢機卿は佐緒里の後ろ姿を眺めながら、右手で胸の前で十字をきった。

 その日の夜、佐緒里の部屋に神父が入ってきた。
「今しがた枢機卿殿を教会へ送ってきた。サオリ、明後日がお前の魔女裁判だが、覚悟は出来ているか?」
「はい」
「ならば明後日の朝、朝食後にここから教会へ移動する。お前の所持品は全てここから持っていくように。それから、お前がここで借りた物や貰った物は、すべてここに置いていくように。いいね?」
「はい・・・ 」
「では私も教会の方へ行くから。お前の裁判までもうこっちへは戻ってこない。明日以降の事は看守のカールかハンスに相談しなさい。お休み」
「お休みなさい」

***************

 ACT.22 魔女裁判

 ついにその日の朝が来た。
 佐緒里はベッドから起き上がると、着ていた体操着を脱ぎ、椅子にかけてあったセーラー服を手に取った。
「(この服・・・ 久々だな・・・ )」
 佐緒里がここに来た時に、暫くの間着ていたセーラー服だった。佐緒里はリュックの中からスリップを取り出して着ると、スカートを履き、続いてセーラー服の上着を着てから、ネクタイを着けて靴下を履き、最後に自分のズック靴を履いた。今から何が自分を待ち受けているのか不安だったが、それを払拭するように窓際へ行って衝立を上げた。明るい朝の日差しとともに、冬の冷たい風が吹き込んできた。佐緒里はリュックの中からノートと筆記用具を取り出し、テーブルの上に置くと、椅子に座ってノートを開き、何かを書き始めた。

『親愛なるカールへ・・・  カールがこの手紙を読んでいるとき、私はもうこの世界にはいません。私はカールが私に対して好意を抱いていた事を薄々と感じていました。だからお別れするのはとっても辛いです。でも、仕方が無いんです。私は私の世界へ帰らなければなりません。カールはもう私に会うことは出来ませんが、カールの子孫の方ならば会う事が出来るでしょう。だから私からのお願いです。この手紙をずっと持っていてください。そしてカールの子孫の方々に代々受け継いでもらい、21世紀に受け継いだ方が201X年の○月○日に私に会いに来て下さい。拙い文章でごめんなさい。 サオリ』

「よし。これでいいな・・・ 」
 佐緒里は手紙を書いたページを切り取ると、もう一枚切り取って折り曲げて封筒の代わりにし、折った手紙をその中に入れた。
 ガチャガチャ
 その時鍵が開けられる音がして、佐緒里は手紙をリュックの中に入れた。扉が開いてカールが食事を持って入ってきた。カールは佐緒里がそわそわして顔が赤くなってるのを見た。

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「ど、どうしたんだサオリ」
「あ・・ カール。な、何でもない・・・ 何でもないからね」
「(何か変だな・・・ 緊張しているようでもないけど・・ ) それじゃ食事置いていくから」
「分かった」
 カールは首をかしげながら部屋を出て、鍵をかけていった。

***************

 食事が終わり、後片付けも終わった。佐緒里は部屋の中で椅子に座り、来るべき時を待ちながら瞑想していた。そこへ鍵が開く音がして扉が開き、カールが入ってきたので、佐緒里は立ち上がって傍にあったリュックを背負った。カールは持っていた木製の手枷を佐緒里に差し出し、佐緒里は無言で両手を差し出した。
「サオリ。あと少しだから我慢して」
「うん・・・ ところでハンスさんは?」
「外で橇を用意して待ってる」
 カールは佐緒里の手に手枷を嵌めて施錠すると、手枷から伸びている鎖を持って、佐緒里を促した。
「(いよいよここともお別れなんだわ・・・ )」
 佐緒里はカールに鎖を引かれて部屋を出た。牢獄の建物を出ると、ハンスが橇と馬を用意して待機していて、佐緒里とカールを見ると乗るように促し、二人は橇に乗った。
「よし。それじゃ行くぞ」
 ハンスは橇を走らせた。村にある教会までは15分くらい。だが、佐緒里には倍近い時間に感じられた。
教会の前でハンスは橇を停止させ、カールは佐緒里と一緒に橇から降りた。ハンスは馬の手綱を傍にあった木に巻きつけて固定してから、二人の傍に来た。その時教会堂の中からアルベルト神父が修道女の恰好をした少女とともに出てきた。

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「神父様。おはようございます」
「おはよう。サオリ、よく眠れたか?」
「はい」
「うむ・・ とりあえず紹介しておこう。この子はエレン・ヴェルナーといって、カールと同じく私の養子なんだ。年はサオリと同じくらいで、この教会で手伝いをしている。裁判の間はこの子がお前のそばについている」

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 エレンは胸の前で十字をきると、佐緒里の傍に歩み寄ってきた。
「サオリさんですね。私はエレンといいます。神父様からあなたのお話は聞いています。よろしく」
「サオリです。こちらこそよろしく」
「カール。手枷の鎖をエレンに渡せ。お前はハンスと一緒に、広場へ行ってサオリを21世紀に帰すための準備をするんだ」
「はい。神父様」
 カールは持っていた鎖をエレンに渡すと、ハンスと一緒に教会の隣にある広場へ向かった。神父は佐緒里の肩をポンと軽く叩いて言った。
「さあ。サオリ、行こうか」
「はい」
 佐緒里はエレンの先導で神父とともに教会堂の中へ入った。

***************

 裁判は礼拝堂を急造の法廷として使用する事になっていて、椅子は全て端に並べられ、祭壇の前に大きな長い机が一つ、椅子が三つ置かれた。佐緒里はその法廷のほぼ中央にある二つの椅子の片方に座らされ、隣の椅子にエレンが座って、神父は枢機卿を呼びに法廷の外へ出て行った。それと入れ替えに、陪審員か傍聴人と思われる村人たちが数人入ってきて、端にある椅子に座った。佐緒里はこれから始まる自分の魔女裁判の時を静かに待った。
 やがてハンドベルの音とともに、リヒテル枢機卿を先頭に、アルベルト神父と村の村長がやってきて、祭壇の前にある椅子に座った。中央に枢機卿。右隣にはアルベルト神父。左隣には村長が座っていた。佐緒里はガラにもなく緊張で体がガタガタと震えた。それを感じたのか、隣にいるエレンが佐緒里の肩を軽く叩き、佐緒里はエレンの方を向いた。
「落ち着いて。もう始まるわよ」
 佐緒里は無言で頷いた。周りでは傍聴人たちがざわざわと雑談していたが、枢機卿たちが立ち上がると、ざわめきがピタリと止んだ。

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「それでは被告人サオリの魔女裁判を始める!! 本日の裁判長はこの私。ヨーゼフ・リヒテルが受け持ち、裁判官はドルフ村の神父アルベルト・ヴェルナー、及びドルフ村村長のヨハン・ハウゼンがそれぞれ受け持つ。被告人サオリ。立ちなさい」
 枢機卿が高々と通る声で喋り、佐緒里はエレンとともに立ち上がって、枢機卿の目を見据えてから、枢機卿に向かって一礼した。
「ン!!」
 枢機卿はそれに応えて佐緒里に向かって軽く頭を下げ、神父・村長とともに再び着席した。枢機卿は傍らに置かれた羊皮紙を取ると、それを読み上げた。
「本日の魔女裁判は、魔女の告発人が存在しないため、証人喚問は省略する。そこで被告人のサオリに問う。被告サオリは○の月の○日に、ドルフ村の東の外れにある村の倉庫において隠れていたところを、村の者に発見され、魔女の嫌疑で投獄された。そして村の神父アルベルト・ヴェルナーの第一回目の審問において、魔女である事を自白し、軟禁状態で本日に至る。サオリ、間違いは無いか?」
「ありません」
「それでは審判を続ける。被告人は村に出没する悪魔に対し、勇敢にも一人で悪魔に立ち向かって悪魔を倒し、そしてその正体を暴いた。さらにドルフ川の上流にいるとされていた怪物の正体をも暴き出し、それらの類は悪魔とか魔女とは無関係のもので、すべて神が作り出したものであると説いたとあるが、それに間違いは無いか?」
「ありません」
「調書によると、お前は東洋人で、ジパングという国から来た者だとある。そして異教徒だとあるが、間違いは無いか?」
「はい。裁判長様の仰るとおりです」
 傍聴人たちの間でざわめきが起こった。が、傍聴人たちはみなドルフ村の村人で、かつ佐緒里が村でした事を全て知っていて、佐緒里に恩義を感じていたので、罵声や暴言は出なかった。
「静粛に!」
 枢機卿の一声で周りが静かになった。
「サオリは違う国から来た者であり、異教徒である。国が違うのであれば、文化も宗教も宗教観も我々と異なるのは当然である。従って、当法廷はサオリを異端とはみなさない。魔女の有無については、被告人が自白済みなので取調べは省略し、すぐに判決に入る」

 枢機卿は立ち上がると、両手で羊皮紙を持って佐緒里を見据えた。
「判決!! 当魔女裁判の法廷は、被告人サオリを魔女と認定して有罪とする。なお、判決の根拠は被告人の自白によるものとし、被告人が行ったとされる魔術使用等の魔女行為については、全てを不問とする。加えて、判決後の被告人の処遇については、ドルフ村神父のアルベルト・ヴェルナーに全てを委任する。以上! 本裁判はこれにて閉廷とする!」
 枢機卿は神父と村長を伴って法廷を出た。続いて周囲にいた傍聴人たちも次々と出て行き、法廷には佐緒里とエレンだけが残った。
「サオリさん。行くよ。神父様が言っている、21世紀の世界とかに帰るんでしょ?」
「うん・・ 」
 佐緒里はエレンに鎖を引かれて、法廷の外へ出ると、さらに教会堂の外へ出た。外ではカールが佐緒里のリュックを持って待っていた。カールは佐緒里の傍に駆け寄ってきて、佐緒里の手首をつかんで少し上に上げさせた。
「今、手枷を外すから」
 カールは鍵で手枷の錠を外し、佐緒里の両手を自由にしてから、手枷を傍にあった橇の中に放り込んだ。そして佐緒里にリュックを背負わせると、佐緒里の手首を持って、広場の方へと小走りに駆け出した。エレンもその後をついて行った。

 
 ACT.23 生還

 広場に到着すると、ハンスが準備をして待っていた。ステージ状の台の上に高さ2m位、太さが20cmくらいの木柱が立っている。通常ならば魔女の火炙りに使用するか、もしくは罪人を拘束して晒すためのものだが、今回は佐緒里を未来へ帰すために用意されていた。村人たちは準備の手伝いで近くに数人いたが、一通りの手伝いを済ませると、その場から皆去って行った。枢機卿の計らいで、佐緒里の事には絶対に関わらないよう、またこの事を外へ洩らさないよう、厳重な命令が出されていたのも理由のひとつだった。
「サオリ。こっちへ来い」
 ハンスが手招きして、佐緒里は木柱の傍まで来た。
「その柱に背中をつけろ」
 佐緒里がリュックを下ろして木柱の前に立つと、ハンスは持ってきた長い鎖で、佐緒里の腰から胸の辺りまでグルグル巻きに縛って、南京錠をかけて固定した。が、両手だけは動かせるように自由にしていた。そして佐緒里のリュックも佐緒里の傍に置かれて、鎖で巻かれた。
「サオリ。きつかったら言えよ。こいつは神父様の指示で、お前が衝撃で吹っ飛ばされねえように、ガッチリ縛れとのことなんだ」
「大丈夫です」
 そこへ神父が十字架の入った箱を持ってやってくると、銀色の十字架を取り出して、佐緒里に持たせた。
「サオリ。方法はこの前の実験でやった通りに行う。この銀の十字架を両手で持って、私が合図をしたら両手で頭の上にかざし、例の呪文を唱えるんだ。私がお前の正面で、こっちの金の十字架をかかげているから、お前の呪文で出る光をこの十字架で受け止めて、お前の持つ銀の十字架に反射した光をあてる。そうすればお前の体全体を光が包み込んで、お前はお前の世界へ帰れる。信じるんだ! お前は必ず帰れる。奇跡は必ず起きる!」
「分かりました。ところで枢機卿様は?」
「枢機卿殿は、教会堂の中で、お前の裁判の報告書を書いておられる。裁判で決まったように、お前の事は全て私が責任を持って任されている。いいか? そろそろ始めるぞ」
「待ってください。カール! 傍に来て」
 カールは佐緒里に呼ばれて、傍に駆け寄ってきた。
「何だいサオリ」
「私のリュックの右ポケットに手紙が入っているの。それを出して」
 カールはリュックの右ポケットを開けて、中から佐緒里が造った封筒を出すと、封筒を佐緒里に見せた。
「これだね?」
「うん。それでカールにお願いがあるの。その手紙をずっと持ってて。私がいなくなってから封を開けて中の手紙を読んでほしいの。約束して」
「分かった。約束するよ」
カールは佐緒里の真正面に来て佐緒里に顔を近づけ、佐緒里を見つめた。見つめられた佐緒里は顔を赤らめ、目から涙が浮かんできた。カールも涙ぐんでいる。

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「サオリ。さよなら!」
 カールはそのまま佐緒里と唇を重ねると、踵を返して佐緒里から離れた。
「みんな、サオリから離れるんだ」
 神父の一声で、カールとハンス。そしてエレンは佐緒里を遠巻きにするように距離を置いた。
「サオリ! 呪文を唱えろ!」
「はい!」
 佐緒里は両手で十字架を上に掲げた。
「スカーレットスパーク・エンジェルチャージ!!」
 その瞬間、佐緒里の身体が眩しい光に包まれ、真正面に立っていた神父は目をつぶった。光が神父の持っている金の十字架にあたって、反射光が佐緒里の持っている銀の十字架にあたり、佐緒里の身体が銀色の光に包まれた。昼過ぎにもかかわらず、あたり一面は太陽の光より強い光が覆い、みんなの姿をも光で見えなくした。
 そして光が消えたとき、そこには佐緒里の姿は無く、煙が燻った木柱と、佐緒里を縛っていた鎖だけが残されていた。
「消えた・・・ 成功だ・・・ サオリは自分の世界へ帰ったんだな・・・ 」
 神父は上に上げていた両手を下ろし、力が抜けたようにその場に座り込んだ。
「サオリーっ!!!!!」
 佐緒里を呼ぶカールの声が、むなしく木霊した・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

***************



「 ・・・ちゃん・・・ 佐緒里ちゃん・・・ 」
「ん・・・・ んん・・ 」
 佐緒里は誰かに呼ばれる声で、目を覚ました。
「佐緒里ちゃん! しっかりして。佐緒里ちゃん」
 佐緒里が目を開けると、すぐ目の前にエモトの顔があった。佐緒里の手には、例の銀の十字架がしっかりと握られていた。
「佐緒里ちゃん大丈夫? 急に倒れたから、何があったのかと思ったわよ」
「熱っ・・・・ 」
 佐緒里は十字架から手を離した。タイムスリップで熱を持っていたのだ。
「私・・ 眩しさでこの十字架をつかんだところまでは覚えてるんだけど・・・ エモトさん。エモトさんだよね」
「ちょ、ちょっと・・・ 倒れた時、頭でも打ったの? 佐緒里ちゃん。医者呼ぼうか?」

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 佐緒里はスカートの裾をパンパンとはたきながら、ゆっくりと立ち上がった。エモトが心配そうに、佐緒里のあちこちを見た。騒ぎに気付いたスタッフの何人かが、傍にやってきて回りを取り巻くように様子を見ている。
「エモトさん。大丈夫です。心配してくれてありがとう」
 佐緒里は傍に会ったリュックを背負うと、エモトの方を向いた。
「それじゃエモトさん。今日はありがとうございました。展示会の日にまた来ますから」
 佐緒里は踵を返すと、会場をあとにした。廊下を歩いている佐緒里は胸の辺りに強烈な違和感を感じて歩みを止めた。
「(何か変だ・・・ 胸の辺りがすごく熱い・・・)」
 佐緒里は熱さの元になっている部分を探った。それは左胸のポケットの中で、何かが入っているようだった。
「(胸ポケットには何も入れてなかったはずだけど・・・)」
 佐緒里は胸ポケットに手を入れた。すると中から赤いリボンが出てきた。カールが佐緒里にキスした時、素早く佐緒里の胸ポケットの中に忍ばせていたのだ。
「これは・・・ 」
 突然佐緒里の脳裏に、今までの事が全て甦ってきた。
「そうか・・  私・・・・ 中世のヨーロッパにタイムスリップして・・・ これはカールが私にくれたリボン・・ 」
 佐緒里の目から大粒の涙が溢れてきた。泣きたいわけではなかったが、それでも涙が止まらない。佐緒里はリボンをつかむと、そのまま建物の外へと一目散に駆け出した。


***************

 ACT.24 エピローグ

 そして展示会の初日・・・・・
 初日とあって、会場にはテレビカメラが入り、ニュースとして報道された。さらに『世界の果てまでGO GO GO』の特番として放送するため、そのスタッフも会場でカメラを回していた。会場の中に佐緒里の姿は無かった。佐緒里がいなかったのは、混乱を避けるために、エモトが前もって初日の事を佐緒里に話していたからである。
 ちなみに佐緒里のタイムスリップの原因となった金と銀の十字架は、佐緒里が握りしめていた銀の十字架だけが展示されていて、金の十字架はそこには無かった。佐緒里が中世にタイムスリップし、アルベルト神父の審問で話をしたことがきっかけとなって、その後の歴史が僅かに変わっていたのだ。十字架は銀の十字架、つまりズイルバー・シャッテンのみが略奪品の対象になり、金の十字架ゴルト・リヒトは略奪を免れたことになっていた。

 そして二日目の昼下がり・・・・
 佐緒里は友達の佳奈子たちを連れて会場にやってきた。会場は大盛況で、客の入りも凄かった。
「わあ・・ すごおい・・・ 」
「これが時価ン十億円の財宝かぁ・・・・ 」
「しかし、佐緒里ちゃんも凄い物見つけ出したね」

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 佳奈子たちが展示されている財宝を見ながら口々に言い合っている。ステージではエモトがテレビカメラの前で講演をしていて、その周りでは客やエモトのファンの人たちがエモトの講演に見入っているのが見えた。講演を終えたエモトは佐緒里に気付くと、周りにいたファンや客を押しのけて佐緒里の傍まで来た。
「おはよう佐緒里ちゃん。友達も来てくれたのね」
「おはようございます」
 佳奈子が色紙をおずおずと出し、エモトの前に差し出した。
「エモトさん。サインしてください」
「あ・・ 君は前に逢った事があるね」
「はい。佐緒里ちゃんの友達で、清水佳奈子といいます。私エモトさんの大ファンなんです」
 エモトはマジックを持つと、佳奈子が差し出した色紙に自分のサインをして、佳奈子に渡した。
「ありがとうございます。大事にします」
 傍で友人達が『よかったね』って口々に佳奈子に言った。そこへ聖奈子と絵里香、そして孝一がやってきた。
「あ、いたいた。佳奈子たちもう来てるわ。佳奈子!」
「お姉ちゃん」
「絵理香さん、孝一さんに聖奈子さん。おはようございます」

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「佐緒里ちゃんが古文書の暗号を解読して見つけ出した財宝だからね。見ずにはいられないわね」
「それにしてもすげえな。こんなのが日本に隠されていたなんて、まだ信じらんねえぜ」
「佐緒里ちゃん。美紀子さんも、もうすぐ来るわよ」

「やっほー! 佐緒里ちゃん。来たわよ」
「これが例の財宝かぁ・・・ ニュースで見たけど、実物を見ると改めて凄いって分かるわ」
美由紀と友里がやってきて、佐緒里に挨拶した。二人とも今までドラマの撮影があって、終了と同時にテレビ局からすっ飛んできたのだ。

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「美由紀さんに友里さん。この前の『二人は迷探偵』見ましたよ。二人ともゲストの出演だったけど、すごく良かったです」
「ありがとう佐緒里ちゃん。私たち次はいよいよ本格的なドラマに挑戦よ。来年の新春ドラマ劇場のスタッフからオファーがあって、もう撮影が始動しているのよ」
「ついさっきまでテレビ局で撮影してたの」
「わぁ凄い! 二人ともがんばってください」

 その時佐緒里の体に誰かがぶつかった。
「キャッ・・・」
「ア・・ ごめんなさい」
佐緒里が振り向くと、そこに学校の制服姿の麻美と紫央がいた。

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「麻美さんに紫央さん」
「久しぶり。佐緒里ちゃん元気?」
「はい。麻美さんも紫央さんも元気そうですね」
「勿論元気よ。今でも相変わらず妖怪相手に戦い続けているわよ」
「そうなんですか・・・ もし私が必要なら、いつでも呼んでください。必ず助けに行きますから」
「ありがとう」

 佐緒里は自分の知り合いたちに周りを囲まれ、その真ん中にいた。美紀子もやって来たが、佐緒里の周りに人が集まっていたので、少し距離を置きながら展示された財宝を見て回っていた。
 佐緒里がみんなと団欒しているところにエモトがやってきた。
「佐緒里ちゃん。あなたにお客さんが来てるわよ」
「私に? 誰だろう・・・ 」
「背の高い、ハーフっぽい男の子だったわ。年は君と同じくらいか、少し上かな・・・  廊下で待っていて、佐緒里ちゃんを呼んでくれって。実はその子昨日も来ていたんだけど、明日来るからまた来なさいって言って帰したのよ」
 佐緒里は一瞬考え込んだが・・・
「ちょっと私、行ってきますね」
 佐緒里はみんなに一礼すると、混雑をすり抜けて会場から廊下に出た。佐緒里は辺りを見回した。廊下は会場を出入りしている客でごった返している。すると、エレベーターの近くのフロアに立っていて、自分の方を見ている背の高い青年が目に入り、その人が手招きしていたので、佐緒里は小走りに駆けて行った。近くまで来て佐緒里はその青年を見上げた。佐緒里の身長は156㎝で、その青年は180㎝近くあり、どこか日本人離れしたハーフのような容姿をしていて、僅かながらカールの面影を持っていたので、佐緒里は思わず胸の高鳴りを感じた。
「赤嶺佐緒里さんですか?」
「そうですけど、あの・・ すみません。私に何かご用ですか?」
「はい。はじめまして。僕は白浜隆志(しろはまたかし)といいます」
 隆志は自分の名を告げると、持っていた紙袋の中から装飾された箱を取り出して開けた。中にあったものを見た佐緒里は、目を丸くした。例の金色の十字架『ゴルト・リヒト』だったのだ。
「あの・・ あなたが何故それを・・・・・ ???」
「やはりこの十字架の事を知っていたんですね。僕の曾々祖父(4代前)がキリスト教の牧師で、明治の時代にキリスト教の伝道のために日本に来て、その時にこの十字架を一緒に持ってきたのだと、僕の父が言っていました。その曾々祖父の名はアロイス・ヴェルナーといって、そのまま日本に帰化して、自分が最初に伝道した「白浜」という土地の名をとり、白浜の姓を名乗るようになったんです。そして、この十字架は『ゴルト・リヒト』といい、もう一つの『ズィルバー・シャッテン』という十字架とペアになっていて、父があなたに会えば、もう一つの十字架のところにたどり着けるとも言っていました。僕には何のことだかよく分からないんですけど・・・・  こういうものも預かっているんです」
 隆志は持っていたバッグから茶褐色に変色した封筒を出して、佐緒里に差し出した。佐緒里はそれがカールに宛てた手紙だとすぐに分かった。
「(私がカールに渡した手紙だ・・・・・ )」
 佐緒里は目頭が熱くなった。隆志は話を続けた。
「この手紙も代々家に伝わっていたものらしくて、先祖から代々引き継がれてきたらしいんですけど、詳しい事はよく分からないんです。僕の父が赤嶺佐緒里という人に会ったら見せてほしいって、昨年僕に渡してくれたんです。手紙に書かれていた日が昨日の日付で、昨日ここに来たんですけど、主催者のエモトさんが明日来るって言っていたから、今日改めて来たんです」

 この青年、白浜隆志はカールの子孫なのだ。年は佐緒里より一つ下の14歳で、現在中学校の2年生である。
 カールはあれからアルベルトの遺志を継いで神父になった。神父は規則で結婚が出来ないので、カールもアルベルト同様、養子を持った。そして年月が流れて、その末裔は17世紀頃にカトリックからプロテスタントに改宗し、代々牧師の職業を継いできた。そして日本の明治の時代にアロイスが日本へ伝道のため渡航してきて、そのまま日本に帰化して日本人の女性と結婚し、今日に至るわけである。
 隆志は封筒から手紙を出して佐緒里に見せた。手紙は茶褐色に変色していたが、佐緒里の書いた文字はくっきりと残っていた。佐緒里は手紙を隆志に返した。そして無意識のうちに目から涙がポロポロと落ちてきて、涙が止まらなくなった。

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「ど、どうしたんですか? 赤嶺さん」
「ごめんなさい・・・ 何でもないんです。何でも・・・ ないから・・・ 何でもない・・・」
 そう言いながら、佐緒里は自分の真正面にいた隆志に抱きついた。その瞬間、隆志は体全体に電気のようなものが走ったのを感じた。一種の『運命の赤い糸』のような現象だった。隆志の心の奥底に眠っていたカールの魂が復活した瞬間だった。
「あの・・ 赤嶺さん」
 佐緒里は隆志に抱きついていたが、吹っ切ったように隆志から離れた。
「ごめんなさい。初めての人にこんなことしてしまって・・・・ でも、何だかあなたが初めて会った人じゃないような気がしたんです。なんて言ったらいいのか・・・・ 変な話だけど、私の前世で出会った恋人のような気がしたんです」
「実は僕もなんです。赤嶺さんに抱きつかれた瞬間に、そんな感じがして、赤嶺さん、いや佐緒里さんが僕の生涯の人のように思えて・・・ こんな事言ったら失礼ですよね」
「いいんです。全然そんな事無いです。あの・・ あなたさえ良かったら、私とお付き合いしてもらえますか?」
「勿論ですよ! 是非僕とお付き合いしてください」
 突然のお互いの告白の会話に、二人ともそのあとはお互い黙ってしまった。暫しの沈黙を破り、隆志が話しかけた。
「僕はS県の城間という所に住んでいて、現在城間中学校の2年生です」
 佐緒里はビックリした顔で隆志を見た。
「(年下だったのか・・・ 高校生だと思った)  城間市だったら、私の隣の市ですよ」
「え? そうなんだ」
「私は鷲尾平です。今、鷲尾平一中の3年生です」
 佐緒里は右手を差し出した。隆志もつられて右手を出し、二人は握手した。そこへ美紀子がやってきた。
「あらあら・・・ こんな所で・・・ みんなあなたが戻ってこないから心配していたわよ」
「叔母様」
「佐緒里がなかなか戻ってこないから、様子を見に来たのよ。さっきから遠目で見ていたけど、二人ともなかなかお似合いのカップルに見えたわよ」
 佐緒里は顔を真っ赤にし、隆志も照れ臭そうな仕草を見せた。
「あ・・ 隆志さん、いや隆志君。この人は私の叔母で、紅林美紀子といいます。私は小学校の時に両親を亡くしているので、今は叔母の元で暮らしているんです」
「そうだったんですか・・・・」
「叔母様。この人は白浜隆志君」
 隆志は美紀子に会釈してから、美紀子に聞いた。
「ところで紅林って・・ もしかして城北大学の教授ですか?」
「あら、私を知っているの?」
「はい。父が城北大の卒業生で、よく話を聞くんです」
「あーっ・・ 君はもしかして私の先輩だった、白浜隆徳さんの・・・ 」
「はい。僕はその息子の隆志といいます。佐緒里さんとお付き合いしたいので、よろしくお願いします」
「佐緒里が選んだ人なら間違い無い。良いわよ」
「ありがとうございます」
「隆志君。色々と話したい事もあると思うけど、まず展示会へ行きましょう。私が案内するわ」
「はい」
 佐緒里は隆志の腕に自分の腕を絡めて腕を組んだ。隆志は少し顔を赤くした。そして佐緒里は隆志と一緒に、展示会の会場へと向かって歩き出した。

 (おわり)



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あとがき

『冒険少女佐緒里』無事完結しました。当初は自作の小説『10年目の回帰』の原作者である、カルシファー様の『囚われた少女』をモデルにした、魔女狩りとDIDをテーマにした作品でしたが、ストーリーの進行とともに、ファンタジー、ミステリー、またまた荒唐無稽といったスタイルに変わって、最後は男女の甘い恋の芽生えチックな形という終わり方をしました。
 タイムスリップのスタイルは、バック・トゥ・ザ・フユーチャーのアレンジを使用し、また魔女狩りがテーマの一つだったので、宗教的表現も入れ、キャラクターに宗教関係者を使うという選択をしました。気象現象や、温泉といったものをストーリーに使ったのは、中世の人々の感覚だと、それらが悪魔のようなものに見えるのではないか、という自分の見解からです。それは違うんじゃないか・・ という人もいるかもしれませんが、今の自分の知識ではこれが精一杯なので、指摘されても本編を書き直すということはしません。また、歴史上の都市名(コンスタンチノープル)や、歴史上の人物(マゼランやマルコ・ポーロ)。さらにジパングという名も使用しています。

 なお、佐緒里ちゃんと隆志君のこれからの事は、小説にはしませんので、皆様のご想像にお任せするという事で、結論に代えたいと思います。

 また、多分いないとは思いますが、イラストや小説で二次創作御希望の方がおりましたら、申し出てくだされば(無断はダメよ)ジャンルやシチュエーションに関係なく(ただしR-18Gはダメ)許可しますので、よろしくお願いします。

 最後まで読んでくださった方、また途中でも読んでくださった方々には、多大な感謝をいたします。読んでくださってどうもありがとうございました。

 鷲尾飛鳥



テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学